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秋は、落ち葉と共に踊る暇もなく 06

 弟? 一体どういうことだろう。

 「ああ、姉ちゃん」 透が竹内先輩のほうを見る。

 「え、もしかして、透と竹内先輩って兄弟?」 ぼくは、竹内先輩と透を見比べる。良く見ると、竹内先輩とそっくりだ。

 「そうだよ。竹内透。知らなかったのか?」 透は幼なじみで、家にも遊びに行ったことがある。そうだ、家にお姉ちゃんもいたぞ。それが、竹内先輩だったのか……。あれ、そういえば、もうひとり、家にいたような……。

 「知ってたけど、知らなかった……」

 「は?」

 「で、わたしは何をすればいい?」 竹内先輩は、知らない女子のとなりに座る。「あいかわらず字が下手ねえ、響は」竹内先輩が、くすくすと笑い出す。

 「もう、これは下手じゃなくてくせ字よ、姉ちゃん」 響と呼ばれた子が、ほほをふくらませた。ぼくは、透に聞く。

 「もしかして……、双子?」

 「ああ……、おまえ、家に遊びに来たとき何見てたのさ」

 「さあ……、本当に、何見てたんだろ」 そうか、この響って子が、ストーカーされているって言う……。うん、たしかに、竹内先輩と年のはなれた三つ子だ。良く似ている。

 「ほらほら、手を動かしなさい。テキパキとね」 竹内先輩がニコニコと笑いながら言った。

文化祭の三日前、やっと 『文化祭』 という大きな紙と、大量の鳥の絵 (これは、ほとんどぼくが書いた) と、大量の色紙を落ち葉の形に切ったものなど、たくさんの飾りができた。それを、体育館に持っていって、バランスよくはり付けなければならない。

 竹内先輩は副委員長だから一年生ばかりにかまっていられない。他の学年も見て回らなくてはいけないし、響は部活の練習があるから、と行ってしまった。だから、ぼくと透だけで、この広い体育館の飾り付けをしなくてはいけないのだ。

 「大変なことになったなあ」 体育館の広い空間の真ん中辺を見つめて、透がつぶやく。

 「うん」 ぼくは、うなずくしかない。

 はたして、終わるんだろうか……。

 「ボゥとしてもはじまらない。チャッチャとかたずけよう」 そでをまくる透。大そうじをするんじゃないんだから。

 「誰かに、助っ人を頼む?」 袋に入った飾りをガサガサと出しながら、ぼくはいう。

 「文化祭の三日前に、暇な人なんていないよ」 はあ、と大きなため息をつく透。ぼくも大きなため息をついた。これから、大変な作業が待っているというのに、今から疲れていていいんだろうか。

 「じゃあ、結人は上の方から。おれは、下の壁のほうから」

 「分かった」 ぼくは、うなずくと、いったん体育館の入り口に戻った。そこから、体育館の内側にあるベランダみたいなところにのぼる階段があるんだ。

 大きな袋と飾りをはるセロハンテープをもって階段をのぼっていく途中にふと下を見た。

 「ん?」 誰だろう。ジャージを着た人が、体育館の入り口のところでキョロキョロとあたりを見渡している。誰かを探しているんだろうか。ぼくと目が合った。その人は、とてもびっくりしたみたいで、文字通り飛びあがると、そそくさと去って行った。ぼくは、首をかしげると、残りの階段をのぼりはじめた。


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