秋は、落ち葉と共に踊る暇もなく 04
放課後、部活で竹内先輩に、文化祭のクラスの出し物の用紙を提出した。
「へえ、劇をやるのね」
「どんな?」 高梨先輩が聞いてくる。
「それが……」 ぼくは、今朝の一部始終を話した。すると、大爆笑がおきた。一番笑っているのは、田中先輩だ。
「先輩……。そんなに笑わなくたって……」
「これが、笑わないでいられるかっ。『お化け喫茶でポップコーンと玉コンとおでん……』」 吹きだす田中先輩。
そのとき、部室の戸が、ガラリと開いた。
「静かにしてくださいますか? 今、美術部は文化祭に向けて、共同制作をしていますの。文芸部は今年も何もしないと、うかがっておりますので、美術部の協力をしていただきたいものだわ。静かにするくらい。幼稚園の子でもできるはずです!」 言うことをいうと戸をピシャンと閉める佐藤委員長。
「共同制作ねえ……」 高梨先輩がコンピュータをカチャカチャとたたきながら言う。
「あの美術部にできるのかしら」
「ふーん、そんなに、協力性がないのか?」 田中先輩が聞く。もうコンピュータはさわっていない。ゲームにあきたのかな。
「ええ、まあね……」
「あ、そうだ。沙貴絵にこれ渡しとかなくちゃ……」 竹内先輩はそういうと、ぼくがさっき渡した用紙を手に持って、部室を出て行った。
「あ、佐藤委員長に渡すなら、ぼくが持っていったのに」 と、ぼくが言う。
「いや、部長も気なったんじゃないの? 美術部の共同制作」
「もしかしたら、佐藤部長が文化祭の雑用係なのかもね」 笑い合う二年生の先輩たち。
「はあ」 ぼくは、ため息をつき、カバンから原稿用紙を取り出した。『お化け喫茶でポップコーンと玉コンとおでんを売る野球選手』の脚本を少しでも書かなければいけない。しめきりが十日後だし、何も考えがうかばないけど、何か書けばため息をついているよりはましだ。と考えたからだ。
まず、お化け屋敷だな。入ったことないから分からないなあ。ポップコーンと玉コンとおでん……コンビニみたいだ。それで、店員が野球選手で……。そうか、コンビニみたいな喫茶店の野球選手が店員の……。
ぼくは、ぜんぜんまとまりがないけど、何かしら原稿用紙に書いているとき、竹内先輩が戻ってきた。
「すごかったわあ、うん、本当にすごい」 戸を後ろ手で閉めながら、竹内先輩が言う。
「へえ、やっぱり、美術部、佐藤会長、だもんなあ」 田中先輩が、マンガ本を閉じながらうんうんとうなずく。
「そうなの。もう大乱闘よ。一つのテーブルに、五十人と集まって、あーだこーだと大さわぎ」
「え? そっちのすごいなんですか。てっきり、絵が上手いもんだと」
竹内先輩は、パイプ椅子に戻ると、文庫本を開いた。
「上手いだろうけど、あの調子じゃあ、作品に取りかかるのはまだまだね」
「やっぱりね。そうだと思った」




