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春は、桜の絵を言葉で描いて 10

 「ふああ」 あくびをする、竹内先輩。小さくて上品なあくびだ。

 「ねむいわ。……ほんとにねむい」 テーブルにつっぷす竹内先輩。

 「やっぱり、受験勉強とかってしているんですか?」 田中先輩の言葉を思い出し、ぼくは聞く。

 「んや、ぜんぜん。昨日の夜中まで、ゲームしてたんだよう」 とろんとした顔を、ぼくに向ける。

 「へえ。なんのゲームですか?」

 「テトリス」

 「…………テトリス。……どれくらいやってたんですか?」

 「うーんと、十時からだから……五時間くらいかな」 十時から五時間って……夜中の二時までテトリスをやってたってことか……。

 そのとき、戸が開いて、田中先輩が高梨先輩をつれてきた。

 「こっちこっち! ここに座って、薫子」 竹内先輩が、ぼくの前の席を手で示す。長テーブルの辺が長いところを二つくっ付けた形のテーブルの四つの角に、四人が座ったことになる。

 「じゃじゃーん。部長、竹内光から、嬉しい情報です! 新入部員の高梨薫子さん! 拍手!」 一人で拍手をする竹内先輩。そうか、これできげんが良かったんだなあ。ぼくも、拍手に加わる。パチパチ。

 「え、ええー!」 田中先輩が、となりに座っている高梨先輩を見て、それはそれは大きな声を出した。

 「うるさいなあ」 田中先輩を横目でにらみながら、耳をおさえる高梨先輩。

 「さあさあ、新入部員を歓迎して、みんなで自己紹介と行きましょう!」 イエイと一人で盛りあがる竹内先輩。

 「わたしは、三年四組の竹内光です。ここの文芸部部長と生徒会副会長をやってます。よろしく! はい、田中くんの番」 田中先輩は、先生に当てられた小学生みたいにピシッと立ち上がった。

 「二年二組、田中太一です。文芸部副部長です。えっと……、よろしく」

 「はい、次は、佐沼くん」 ぼくが、ここに入部したときも、こんな感じだったなあ。一年前と竹内先輩の印象がちがくて、すごくびっくりしたんだよなあ。と、ぼやぼや思いをめぐらせていたので、当てられて、ぼくも田中先輩みたいに、立ち上がってしまった。恥ずかしいけど、すぐ座るものおかしいので、立ったまま自己紹介する。

 「一年五組の佐沼結人です。入って、まだ一ヶ月もたっていないので、いろいろ教えてください……じゃなくて、えっと、よろしくお願いします」 ぼくは、軽く頭をさげると、やっと座ることができた。

 「はい、薫子」

 「はい、高梨薫子、二年二組です。美術部に入っていたのですが、つまらないので、やめました。光先輩、結人くん、ついでに太一。これから、よろしくお願いします」 高梨先輩は、深く頭を下げた。自然とわきおこる拍手。

 「今から、部員は四人ね」 竹内先輩がニッコリと笑った。


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