白い水
2015年10月のお話。
前回の話は諸事情により削除させていただきました。
ご了承ください。
「あうあー」
「どうしたのそんな声出して」
「いや、別に」
「なんでもないならその声なんだし」
「うめき声?」
「なんで疑問形」
「いやただこう伸びしたら出ただけだからなんとも」
「ああそういう」
夜。
この時間は自分の部屋に帰ることの多い二人であるが、
今日はリビングに二人ともいた。
「なんつーかさ」
「うん」
「疲れた」
「…優美ちゃん、なんかやったっけ?今日」
「いや、いつものルーティンワークして、パソコンいじってただけだけど」
「それ疲れる要素なくない?」
「ちょっと腰痛い」
「それ完全にパソコンやるときに姿勢悪いせいでしょ」
「そうかな」
「いやそうでしょ。重いもの持ったりしてないだろうし」
「今日持ったもので一番重いのは箒だな」
「それ重くないから…」
「まあなんというかだるーん」
「いっつもじゃないそれ」
「そうか?」
「そうだと思う」
「まあいいや。風呂入ろ風呂。もうやったっけ?」
「まだだけど」
「そうか。洗ってくるわ」
「お願い」
そのまま浴槽に向かう優美。
あんまり風呂掃除とかも千夏任せでやらないが、
稀にやったりする。
「…広いなあ。この風呂。昔の風呂とはえらい違いだ」
今現在住んでいるこの家の風呂場の浴槽はだいたい畳二畳分ほどある。
さすがに銭湯には負けるにしても十二分に広い。
特に優美は背がそこまで高いわけでもないため、猶更である。
「掃除も面倒だな。広いのも考えもんだ」
まあ広いので狭いよりは面倒なのは当然である。
「こんなもんだろ。終わり終わり」
適当である。
まあ自分が満足いく内容であれば優美はいいのである。
「お湯張りっと…」
そこらへんは自動化されてるのでボタン一つで終わる。
「むう。足がぬれちまったな…まあいいか」
多少なりとも水がとんだりしているため、
足が濡れてしまっているが拭きもせずに脱衣所に出ていく優美。
タオル出すのがめんどくさいとかそんな感じの理由である。
「終わった」
「お疲れー。ありがと」
「ん、久々にやるとめんどくさいな」
「私ほとんど毎日やってますけどね」
「お疲れ」
そのままリビングの床に仰向けに寝転ぶ優美。
「ふと思ったんだけど」
「何?」
「いや、風呂」
「お風呂がどうかした?」
「そういえば入浴剤あったなと」
「え、あったの?」
「いやほら、脱衣所に置いてあるじゃん」
「どこに。私知らないんですが」
「え、ほら、洗濯機脇にこう」
「あ、なんか置いてあったっけ。あれ入浴剤だったの?」
「そうそう。倉庫に置いといたら忘れそうだったしあそこに適当に」
「いつの間に」
「別に買ったわけじゃないけど」
「ん、違うの?」
「なんか参拝客のじいちゃんに貰った」
「なんだそれ」
「いやそのじいちゃん銭湯にしかいかないから使わないんだってさ」
「なんで優美ちゃんにくれるんだし」
「さあ?気まぐれ?」
「太っ腹ですね」
「まあ貰いものらしいけど」
「うんまあ使わないもの買ってくるはずないしね」
「でまあ、思い出したし入れようかなーと」
「使って大丈夫なんだよね?」
「変なものではないから大丈夫だろ。どうみても市販品だし」
「そっか。それにしてもそんなことが…」
「まああのじいちゃんとは結構仲いいしなあ。偶に来た時に話すくらいだけどさ」
「優美ちゃん妙なところにつながりあるよね」
「職業柄致し方なし。もっとでっかい神社ならこうはならん気がするけど。まあこじんまりしてるからこういう感じの付き合いが起きるんだろうな」
「まあいいことなんじゃないですか?優美ちゃん人と話すことあんまりなさそうだし」
「お前とは話してるけど」
「私以外と」
「まあね。そういう感じに来る人と話すくらいだよな」
まあ数日に一回とかそんなレベルだが。
「じゃあ風呂ができたら放り込んでこよう」
「ほい」
「何個入れればいいんだ」
「え、固形なら一個でいいんじゃないの」
「いやうちの風呂広いし、こう三個くらいぽいぽいするべきなのかなと」
「いやいいでしょ一つで。広いって言ってもたかが知れてるし…」
「え、でも広くない?」
「いやまあ広いと言えば広いけど別に銭湯のお風呂ばりに広いわけでもないし」
「まあ確かに。え、でも一個でいいのかな」
「まあ別に入れたいなら何個か入れてもいいんじゃない?悪いことはないと思うし」
「たくさん入れたら入れたで溶け残りそう」
「それこそなさそうだと思うんですが」
「飽和するほど突っ込む方がないか」
「うん。それ箱ごと入れるとかしないなら大丈夫だと思う。さすがに」
「そうか。なら三個くらい入れようかな」
「結局三個放り込むんですね」
数分後。風呂ができたと同時に、
湯船に入浴剤を放り入れる優美。
言った通り三個である。
「入れてきた」
「何個?」
「三個」
「あ、結局三個入れたのね」
「大丈夫かしら」
「大丈夫でしょ。たぶん」
「ちょっとネットで調べてみよう」
「入れる前にやるべきなんじゃないのそういうこと」
「やってしまったが故致し方なし」
「それ仕方ないって言わないからっ!」
つけっぱなしで机の上に放置されていたノートPCで検索をかける優美。
「…」
「どう?」
「よく分かんね」
「そういう記事ないの?」
「知恵袋とかにちょろっと。まあ大丈夫っぽいけど。種類違うの混ぜたりしなけりゃ」
「まあ混ぜるのはダメだよね」
「変な化学反応起こりそう」
「混ぜるな危険ってやつ」
「あれ類は本当に危険だからなあ。風呂場でそれはやりたくないね」
「で、優美ちゃん。お風呂冷めるよ?」
「あ、じゃあ入ってくら」
「行ってらー」
「そういえば」
「ん?何?」
「今回の入浴剤は白色だ」
「そうですか。何色でも大丈夫だけど」
「白濁液に浸かる美少女…」
「なんで優美ちゃんはすぐそういう発想に至るんですかねえ…」
なお入浴剤を三個も放り入れた湯船は、
白くこそなっていたが、普段の湯と色以外に何が違うのかよくわからなかった優美であった。
効能とかは興味ないので仕方ない。




