背
2014年10月のお話
「よっ…よっ…くっそ」
「なーにしてんの優美ちゃん」
「見て分からんか」
「分かんない。なんか跳ねてるのは分かるけど」
ある日の神社の倉庫にて、
優美の姿が見えないので探していた千夏が倉庫に入ると、
なんか跳ねてる優美がいた。
「いやーあれよ、あれ」
「どれよ」
「上上」
「上?」
「そう、上においてあるあれ」
「ああ、あれ?」
優美の指さした先にあったのは、
サイズ的にはそこまで大きくないゴミ箱であった。
「何故ゴミ箱」
「いやさ、なんかお守り売ってるとこあるじゃん」
「あるね」
「あそこにゴミ箱ないこと思い出してな。不便じゃん」
「でも優美ちゃん長時間あそこに居なくない?」
「それ言うなし。あれでも1時間くらいいたりするんだからな」
「あれ、そんなにいるもんなの?」
「昼間ね昼間。お前学校行ってるだろ」
「ああ、その時かぁ」
「だからさ、こう例えば鼻かんだ後のゴミ捨てるのに家戻ってくるのすっごいめんどくさいわけですよ」
「歩いて数十歩だけどね」
「その数十歩がだるいの」
「めんどくさがり」
「実際めんどいっちゅーに」
販売所と家は決して離れているわけではないが、
繋がっているわけではないので、
往復を繰り返すと結構面倒くさい。
「でまあ、ゴミ箱探しに倉庫きたら置いてあったから取ろうとしてたんだけど」
「…ああ、背が足りなくて取れなかったのか」
「その察しましたみたいな顔やめーや。実際そうなんだけどさ」
「素直に台使いなよ」
「はあ、背が足りないって不便ね」
そう言いながら奥から台を引っ張り出してくる優美。
どうしても届かない時はこれを使う。
が、今回は届きそうで届かないラインだったのでがんばっていたようである。
「とりあえずこれ置いてくるわ」
「あ、うん。リビングいるよ」
「あいよ。置いたら戻る」
それから数分。
宣言通りにゴミ箱を設置した優美がリビングに戻ってきた。
「お帰り」
「ただいま。これから寒くなるから絶対ゴミ箱必須だわ。鼻かむだろうし」
「そもそもあそこ寒いとかいう」
「ほんそれ。暖房器具無いしな」
「基本的に風入ってくるしねー」
「ストーブでも設置しようかしら」
「あったかい風が外に逃げてきそう」
「確かに」
どかっと座り込む優美。
基本胡坐なので見えそうである。
「それにしても背かあ。縮んだよねえ」
「縮んだな。20㎝くらい下がったし。前なら届いた場所に手が届かないのほんと不便」
「それ言うなら私もっと縮んでるんですがそれは」
「お前元がでかかったからなあ。25㎝?30㎝くらいか?」
「なんというか前の時の椅子に座ってるのと視線が大して変わらない」
「そりゃまた難儀なこって」
「もうね、家はまだいいんだけど」
「うんうん」
「外がヤバい。というか主に学校がヤバい」
「そりゃまたどうして」
「みんなが大きい」
「…いやまあそりゃな。男子よりは確実に小さいだろうし」
「あのですね、私は見下ろすことばっかりだったんですよ。前は」
「まあお前縦に長かったもんな」
「そうそう、って縦に長かったは余計です」
「もやし」
「言うな」
ちなみに実際に一時のあだ名はもやしであったらしい。
「で、まあこう見上げるってことがあんまりなかったわけなんですけども」
「うんうん」
「今男子と会話しようと思うとほとんどこう見上げる感じになるんだよねえ」
「まあそりゃなるだろうな。160以上は最低でもあるだろたぶん」
「なんかね、すっごい違和感」
「いやまあ、そこらの女子と大して変わらん背だしなあ」
「それにそこもなんですよ」
「えーっとそこってどこだ」
「そこらの女子と大して変わらないってとこ」
「いやまあ普通だろ?」
「そう、以前は見下ろしてばっかだった女子と同じところに目線があるっていうのがさらなる違和感」
「見下ろされる側の気持ちが理解できたから良かっただろ」
「いやあれ怖いね。特に大柄な男子相手だとなかなか」
「怖いか」
「うん、もうね、威圧感と言うかなんというか。普通に喋ってるだけでもなかなか押されてる感あるよ」
「じゃああれ、あの茂光とかやばいんじゃないの」
「ああうん。よく一緒にいるけどものすごい威圧感あるよ。ある意味頼もしいけど」
「まああいつ背もでかいし肩幅も広いからなあ。そこまでマッチョではないと思うが存在感は間違いなくあるな」
「なんというかいるだけで危ない人から守られてる気がする」
「お守り代わりに使用されてら」
「でも実際下手に一人でうろうろすると何かあると困るから」
「まあ今の我々はエロ同人される側だからなあ」
「そこに繋げなくてよろしい」
優美に突っ込む千夏。
そっち方面への興味は優美の方が強い。
千夏はむしろファッション方面への興味の方が強い。
「しっかしあれやね、背が高すぎて困るってのも聞くけど低いのよりはマシやね」
「そうだねえ。てかさっきも優美ちゃん言ってたけど本当に不便」
「手が届く範囲が狭まるからなあ…余計だよな」
「というか全体的に縮んだせいで足も遅くなった気がする」
「歩幅短くなるもんな」
「学校までの道のりが余計長く感じます」
「40分くらいだっけ?歩きで。結構距離あるよな相変わらず」
「前の私ならきっと20分で…!」
「いやそれはさすがに早すぎるだろ」
「でも全力疾走すればいける。たぶん」
「全力疾走しないと間に合わない時間にまず家を出るなよという」
「うるさい。朝はゆっくり寝てたいの」
「でも良くも悪くもここに来てから家事があるからそれなくなったよな」
「優美ちゃんが寝させてくれないし…」
「まあまあ、早く行って悪いことはねえ」
「確かにそうだけどさあ…」
ここに来る以前はものすごいぎりぎりに家を出るのが通例であった。
そのせいでものすごいダッシュする日々であったらしい。
「まあ、でも縮んでよかったこともある」
「え、そんなのあるの」
「あるぞ、相手を威圧することは少なくとも無くなった」
「ああ、さっきの逆ね」
「いや俺とか謎の貫録があるとかさんざん言われてたけどそれ無くなったし」
「その見た目で貫録もへったくれもないと思うの」
「まあそうだが」
「それ背というより女の子になった影響じゃないの」
「背の高い女なら貫録じゃないけどまた別の何かが発射されていたかもしれんし」
「ああまあそれは確かに」
「今のお前がそのボディからエロオーラ発射してる感じで」
「してないから!なにそのオーラ!というかさっきからそっちに話を持って行くな!」
「ふひ、さーせん」
ニンマリ顔の優美。
どこか千夏の反応を楽しんでいる節があるので仕方ない。
「あ、でも今の優美ちゃんからもオーラ出てるよ」
「何オーラ」
「愛玩動物オーラ」
「おう、もみくちゃにされるじゃねーかやめーや」
巫女る第1話まさかの4コマ漫画化…
teruru先生の作品です。(pixivに飛びます。下のURLをコピペしてください)
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=60848878




