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聖夜の髭男

2029年12月25日のお話。

一応夢ブレイカーな話なので注意。

「そういやおまえんちってサンタ来るの?」


「え、なに唐突に」


「いやそろそろクリスマスだなあと思って」


ある日の神社。

そろそろ雪の心配をし始める時期に優美の家にて、

突然その話をしだした優美である。

なお子供たちは当然近くには居ない。

夫たちに任せている。


「うん来るよ。毎年」


「やっぱ来るんか。何、おまえんちの子供ってどんなものお願いするの?」


「和弘は昔はおもちゃだったけど、最近はなんか精密機器が増えたなあ…今年は小型顕微鏡頼むらしいし」


「まじかよ。和弘小学2年だろ?早くね?」


「そういうの好きなんだよねえ。学校でやってないはずなのに」


「あれ小学三年生からだったよな」


「うんちゃんとやるのはそこからだったはずなんだけど…」


「まあ、情報源はいくらでも溢れてるですしおすし」


千夏の家には茂光の私物の本やらがそれなりにあり、

ネットも当たり前につながっているため、いくらでも情報を入手する手段はあるのである。

まあどっからその興味を沸かせたのかというのは謎だが。


「千尋は?」


「千尋はまだまだ可愛いもんだよ。女の子が好きそうな人形みたいなの頼んでる。まあ今年は人形用の家頼んでるんだけど…」


「出た。めっちゃ高い奴」


「ほんとにあれ高いねえ…」


「まあ万は軽く飛ぶよな」


あれ類は高い。

本当に高い。

が、サンタがいる以上持ってこれないはNGなので買わざる得ない。


「やっぱ何、二人が寝静まってる間にこっそりやる感じ?枕元にどさっと」


「そう言う時もあるし、二人が部屋にいないう間に置いておいたり色々やってるよ。今のところネタバレはしてないと思う」


「まああればれたら、その時点でサンタ終了だしなあ」


「まあね。といっても3年生くらいになったら学校で周りがネタバレし始めるからどうしようもなくなるけど」


「まあな、あれくらいからまわりが真実を知り始めるからしゃあない。俺が小学生の時もそうだったし」


「私の時もそうだったなあ…まあ私は今でもリアルサンタがいると信じてるけどね」


「まあ俺も結局小6までは信じてたしなあ…今もどっかにゃいると思ってるし」


「サンタはいるんですっ!」


「はいはい」


実際、誰もプレゼントを設置できない状況で、

突然プレゼントが出現していたらしいので、

リアルサンタがいたと信じてもおかしくは無いだろう。

なお現在に至ってもそのタネは不明である。


「ただねえ…なんかやっぱりもうそろそろ学校でそう言う話が出てるのか、若干和弘が怪しい」


「どゆことさね」


「サンタっていないの?って真顔でこの前聞かれちゃってね」


「なんて返したん」


「その時はそんなことないよーって笑ってごまかしといたけど」


「うん」


「なんか怪しんでる感じものすっごい」


「ばらさんの?」


「完璧にばれちゃったらもうばらす気だったけど、まだ疑ってるラインっぽいからどうしようかなって」


「成程」


「こうなんかいい感じに信じさせられる手段があればいいと思うんだけど」


「…ふむ。要するにリアルサンタがいると思わせればいいんだな?」


「そうそう」


「ほんならいいものがある」


「え、ほんとに?」


「嘘は言わん。何、ちょっとしたアイテムだが使えるだろ」


「某青い狸ばりに色々出てくるねこの家」


「倉庫が無駄に広いからね。ため込んでます」


「まあほこりかぶってるんだろうけど」


「言わんでよい」


そう言うと奥に引っ込んで何かを連れてくる優美。


「こいつを使うがいいさ。やるよ。家だと誰も使う人いねえから」


□□□□□□


「千夏さんが用と言うから来てみたが…優美ちゃん、どういうこと?」


「何、今からサンタを生成しようと思ってね」


「すまん、分かるように説明を」


「おめえがサンタになるんだよ!」


「…余計分からんぞ」


子供たちごと家に来た茂光。

子供たちは翔也に一度任せて、

三人で一部屋に集合する。


「ほら前和弘がサンタのこと信じられなくなってきてるって言ったでしょ」


「ええ、前聞きましたね。そろそろ潮時かと思いましたが…」


「おまえ、夢ねえなあ。子供にもっと夢見せてやろうって考えろや」


「いやまあ…いずれ分かることだしなあ…」


「だからこそ夢を長く見させてやるのも親の務め、だろ。ほらほら、ごちゃごちゃ言わずにこれに着替える!」


「ええ…」


「サンタはおっさんって相場が決まってんだよ!俺らじゃ駄目なの!お前がやるんだよ!」


「ちょちょちょ!分かった!分かったから無理やり着せないで!」


そうこうしてかなり強引に

倉庫のどこに眠っていたのか

サンタの衣装を着せられる茂光。


「…うーん、微妙」


「無理やり着せてその感想ひどくない?」


「うーんでも私的にもなんか違う感が…」


「千夏さんも!?いやでも俺サンタになったことないんで分かりませんよ?」


「いやなんつーかお前でかいけど、サンタ感はねえな」


「サンタ感って何?」


「いやサンタってひげもじゃの太ましいおっさんじゃん?」


「いや太ましいって」


「事実だろ。で、お前は体格は良いが、腹が引っ込んでるからこれじゃただのサンタコスの兄ちゃんだなあと思ってな」


「髭はあるけどお腹周りはどうしようもないよねえ…」


「これじゃあサンタじゃないってばれるなあ…」


「ちょっと待った、優美ちゃん何させる気?」


「え?クリスマスの日にプレゼントをその格好で運んでもらおうかと?」


「いやいやいや!そんな子供だましでサンタ信じ直さないって!」


「相手子供だぞ。通用するから子供だましなんだろ。とにかく他にいい案が思いつかなかったからお前が体張るんだよ」


「そんな暴論な…」


「お願いしげちゃん。せめて来年くらいまでは信じさせてあげたいからさ…」


「分かりました。やりましょう」


「お前のその手のひらクルー感やばくない?」


「千夏さんが望むなら俺は何でもやる気だ」


その後着々と計画を練っていく3人。


「とりあえず体系問題は詰め物でごまかせばいいな」


「適当すぎないか?」


「大丈夫大丈夫、家の中を歩くだけだしよっぽど落ちないって。最悪体に張り付ければ無問題」


「俺の体の事考えてね?優美ちゃん」


「まあやるの俺じゃないし」


「他人事!?ひどくない!?」


そしてそんなことをやりながら時間が過ぎ。


「じゃあ当日は今日練った通りに、サンタがいるように振る舞うんだぞー」


「無茶苦茶だ…」


「しげちゃんふぁいとー」


「が、がんばります…」


□□□□□□


そして当日。

ホワイトクリスマスであった。

千尋も和弘も自分の部屋に寝に行き、

状況としては最高である。


「…ぐお、思った以上に体が重い」


「うん、良い腹だ。これならばサンタっぽい」


「てかなんで優美ちゃんいるのかなあ?」


「いや一応発案者だから軽く見守ろうかなと?もっとももう帰るけど。家のほうでサンタしないといけないからな」


「え、優美ちゃんもやるの?」


「プレゼント枕元に運ぶんだよ」


「あ、そっち」


「普通はそれだけ。今回のこれがサプライズなだけだ」


「しげちゃん準備いい?」


「一応…」


「とにかく、起きてないかだけは確認するんだぞ。寝てないと始まらないんだから」


「了解…まあもう腹くくるわ」


「じゃ、あとで結果聞かせてね。さらば」


「ぐ、無責任な…」


「しげちゃんそろそろ」


「ああもう、分かりました。行ってきます」


こうして茂光の完全に巻き込まれたタイプの挑戦が始まった。


□□□□□□


「心臓われるかと思ったぞ」


「ほーやり遂げたのか。すげー」


「投げやりな感想だなあおい」


数日後。クリスマスの話をするために

優美の家にやってきた茂光。

わざわざ報告しにくるあたり律儀である。


「で、具体的になにしたのさ」


「いや、部屋に行ってみたら寝てたんだよ」


「まあそりゃな。あの時代はサンタの正体確かめようと思って起きてても知らないうちに寝るからな」


「で、プレゼント置いてもさっぱり起きないんだよ」


「ほう」


「で、それじゃコスプレの意味ないじゃないかと思って」


「うむ」


「悪いなと思ったが、わざとでかい音立てて起こした」


「まあ、見られないと意味ないもんな」


「で、和弘の目がうっすら開いたくらいで逃げ出した」


「…っておい!それ効果あるのかよ?認識されてんだろうなちゃんと」


「大丈夫だ。次の日和弘にそれとなく話を振ったら、サンタが大慌てで部屋から出ていったって話になった」


「ということは信じ直してくれた感じ?」


「ああ。成功したと思うぞ。サンタはあわてん坊だというイメージができたっぽいが」


「あわてん坊のサンタクロースってか」


「…で、来年も見たいなあとか言い出した」


「いいじゃないか、毎年コスプレできて」


「どこがだ!」


結果次の年もやるはめになったとかどうとか。




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