夢の中へ
2016年3月のお話。
遅れましたすいません…
「おっはー」
「…おはー」
気の抜けた返事する優美と千夏。
だが今いる場所はいつもの神社ではない。
「…」
「…」
「…何時?」
「…今か?6時前」
「…そっか」
ここは神社からは遠く離れたとあるホテルの一室。
部屋の中には起き上がった優美と千夏、あと佳苗と茂光がまだ眠りこけている。
時間ができたので旅行しに来たのである。
「…2人は?」
「寝てる。見りゃわかるだろ」
「…」
「…」
「…何してるの?」
「ん、準備。外に出る為の。早く起きすぎて暇だったもんで」
優美が目覚めたのは5時前。
当然まだ辺りも暗く、誰も起きてなどこないわけで。
とはいえど二度寝するほど眠気があったわけでもないのでこうして起きていたらしい。
「…」
「お前も起きたなら準備したら?2人起こさないように」
「…ん」
「…まだ寝ぼけてます?」
「…」
千夏の首が縦に振られる。
実際千夏は朝にすこぶる弱いので仕方ない。
「うん、これでよしと」
「…はや」
既に優美はいつでも外に出ても大丈夫な格好である。
単純に時間があったからなのか、それとも旅行に来てテンションが上がった結果なのかは優美のみぞ知る。
「…ん、千夏さん、早いですね」
「ん、あ、しげちゃんおはよう」
そんなこんなでそこからさらに数十分。
ごそごそと部屋で巨体が動けば、
その巨体その人である茂光がのっそりと起き上がる。
「今日は早いんですね?寝起きがあんまりよくないって聞いてたんですけど」
「うん、寝てたよ。ただ、優美ちゃんのごそごそで起こされたから…」
なおベッドの数的な問題で、
優美と千夏は同じベッドを使っていた。
最初は茂光と千夏を並べる予定だったのだが、
茂光がものすごい恥ずかしそうだったので保留したのである。
「そういえば優美ちゃんは?」
「呼んだか?」
「うおっ」
後ろからぬっとあらわれる優美。
実際は茂光が起きた段階ですでにいたとかいうのは内緒である。
「突然現れないでくれよ。驚くなあ」
「ずっとこっちいたんだがね。なんだ」
「いや、優美ちゃんどうしてんのかなと思って、もう起きてるだろうし」
「ん?どうしてんのって言われても、やることやっちゃって暇としか言いようがないんだが」
「…ん、パジャマじゃなくなってるなとは思ったが…もう出れる?」
「あたぼうよ。ずっとおまいら待ちだぜ」
「う、すまん。すぐ準備する」
そう言いながら起き上ろうとする茂光。
「なーに、別に問題は無い。さすがに日が昇るよりも先にたたき起こす気にもならなかったしな。それに…まだ約1名が夢の世界の中だし」
そう言いながら裏を振り向く優美。
視線の先には気持ちよさそうに寝続ける佳苗の姿があった。
「ま、予定してた起きる時間まではまだあるしゆっくりやれよ。佳苗も寝させとけばいいし」
「…ちなみに、今何時」
「6時40分かな」
「…だいぶ早いな。分かった。まあゆっくり準備するわ」
「そうせいそうせい」
なお本来の予定していた起床時間は7時30くらいである。
佳苗が悪いと言うより、早く起きすぎた優美が悪い。
「…んぅ…あれ?」
「おはよう眠り姫」
「おはよー佳苗ちゃん」
「あれ?みんな早くない?もう準備終わってるの?」
そしてそれから数十分後、
案の定困惑気味に目覚めた佳苗を、
既に外に出る準備が終わった3人が取り囲んでいる。
「え?え?わ、私寝坊した!?」
「あ、安心してくれ。寝坊はしてない。俺たちが起きるの早すぎたんだ」
「むしろまだ予定時刻から見ると早いんだよなあ…」
「え、えーっと、寝坊してない、ってことでよい?」
「うんうんよいよい。まだ7時」
「…ふーよかった。あ!でもみんなの事待たせちゃったね。すぐ準備しまーす!」
「あ、別にそんなに急がなくても…おう人の話聞けや」
「洗面所に消えてった…」
どうやら寝覚めは相当いいらしい佳苗は目が覚めるや否や、
普段のテンションになり行動を開始する。
朝が強いとはこういうことを言うのかもしれない。
「待たせたなっ。というわけで準備終わりー!いつでもいけるぞー!」
「…結局本来の目覚めの時間で全員準備終わっちゃったよ」
「みんな楽しみだったんだねえ」
「俺が早起きしすぎて場を荒らしたせいな気がしなくもない」
「まあ確かに、私優美ちゃんのごそごそで起こされたし」
「う、すまそ」
「まあ、私起きてから行動するまで1時間くらいかかることザラだからいいよいいよ」
千夏の場合、全く動けないわけではないのだが、
下手に話しかけるととてつもなく機嫌が悪くなったりするので、
やっぱり寝起きは迂闊に手を出せない存在だったりする。
「さて、じゃあ予定よりだいぶ早いけど…行きますかー!」
「あいあいさー」
小型のバッグ等々をそれぞれが持ってホテルの部屋を飛び出していく。
大型バックが置きっぱなしと言うことは、まだ泊まる予定があるのだろう。
「いやー、なんかみんなで行くのってワクワクしますなー!」
「いつ以来だろ。めっちゃ久々だわ。結構楽しみ」
「俺は千夏さんと来れることが夢みたいです…」
「私もー、しげちゃんと遠出するのって修学旅行以来だしねー」
「おうそこ、電車乗ってる段階で既にラブラブオーラ全開なのやめーや」
「優美ちゃん…優美ちゃんは毎日千夏さんと一緒にいるから分からないかもしれないが…俺にとってはこうやって千夏さんと一緒に…しかも彼氏として一緒に居られるということが奇跡に思えて仕方ないんだぞ!」
「し、しげちゃん、周りの人に聞かれてる、ものすごい聞かれてる」
「あ、す、すいません千夏さん」
「まあでもお似合いなんじゃないかなーと私は思うよー」
「佳苗ちゃん…」
「ちなっち一人だとぽえーんってしてるとこあってちょっと不安だったしね!」
「ちょ、佳苗ちゃんそれどういうことかな!?」
4人のわーわー―ただし公共機関なのでやや抑え目―を乗せたまま電車はひた走る。
4人の行先はただ一つ。
「お、そろそろじゃないか」
「そろそろだねー。来ましたねー」
「権利関係に厳しい世界へようこそ」
「ちょ、優美ちゃん、現実に引き戻すようなこと言わないで。夢の国、夢の国だから」
4名が夢の国の門の前へと今降り立つ…
…最近予定時刻を過ぎることが多いので、
また近々更新曜日を改めるかもしれません。




