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転生三回目の俺、今度こそラブコメもダンジョンも攻略したい  作者: 読むの大好き工房
1章

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1章5話「初めての戦闘、そして――」

本日の投稿はこれで終了です。

なお、明日以降は、しばらく毎日(19時)投稿予定です。

「最初は俺一人でやる。戦わなくていいから、装備だけ構えて、よく見てろ」


工藤先輩が俺たちを下がらせる。

そのあとに、通路の奥で硬い何かが “ コツ、コツ ” と岩を叩くような音がした。

暗がりの向こうに、赤い光点が二つ浮かぶ。


「うわっ来た!」

「きゃっ!」

「――っ!」


他の三人も気づいたようだ。

暗がりから現れたのは、額に約15cmほどの黒い角が一本生えた、

小型犬ほどの大きさの、白い毛並みの赤目のウサギ。

――ホーンラビットが、「キュッ、キュッ!!」という鳴き声と共に姿を現した。


可愛い外見と鳴き声とは裏腹に、発達した後ろ足には筋肉が詰まっているようだ。

戦闘モードに入った瞬間、さっきまでの慎重な足音が嘘のように消え、

地面を「ドン!」と蹴るたびに、3mほどの距離が一瞬で縮まり、砂が大きく飛び跳ねる。


(……あれ? 思ったより冷静だな、俺)


「ホーンラビットだな。Fランクの中でも弱いが、突進力だけは侮れねぇ。

 真正面から受けるな。横に流すのが基本だ。」


工藤先輩はそう言い、

ホーンラビットが地面を蹴った瞬間に半歩だけ横にずれ、

バットで横腹を軽く叩いた。


ホーンラビットはそのまま転がり、動かなくなる。


「これで終了っと。まあ、こんなもんだ。」


そして流れるように、魔物の素材部位を確保していく。


「ホーンラビットの素材部位は、角と毛皮と魔石だ。

 時間が惜しいから、毛皮を取るのは今回だけだな。」


「ダンジョン内で討伐した魔物は、ある程度の時間がたつと、

 かすかに光る赤い粒子のようなものに包まれたあとに、

 粒子ごと消えて魔石が残るっていう話だ。

 さぁ、時間も惜しいし、次の獲物を見つけにいくぞ。」


そして、工藤先輩の後を追うようにして、俺達はダンジョンの探索を続けた。

しばらくすると、次の魔物が現れて、たいして苦労せずに工藤先輩が倒す。

このダンジョンの1階層には、ホーンラビットが基本的に1体ずつしか現れないようだ。


倒した魔物が片手で数えきれないぐらいになると、

工藤先輩がこちらを振り返りながら言った。


「よし、せっかくだから一人ずつやってみろ。……倫太郎、いけるか?」


「え、俺ですか?」


しずくが、俺の服の袖をぎゅっとつまむ。

その指先が微かに震えているのが分かった。


「……まあ、やってみます。」


自分でも驚くほど、声は落ち着いていた。


通路の奥から、また “ コツ、コツ ” と音が響く。

おそらく、現れるホーンラビットは次も1体。


「うわっ、また来た!」

「り、倫太郎くん……気をつけて!」


陽斗と雨宮さんは、まだ魔物の出現に慣れていないのか、

戦うというより “ 見入ってしまっている ” 様子だった。

そして……しずくさんは、なんで袖をつかんだまま睨んでくるんですかね。


(……今は戦闘に集中しよう。)


「しずく、危ないから少し離れていて。」


しずくが不満げに俺から離れていったあと、

ホーンラビットが地面を蹴り、一直線に突っ込んでくる。


(来る……!)


俺は半歩だけ横にずれ、木剣を構える。

体が自然に動く。

前世の経験が、反射として染みついているのが分かった。


「はっ!」


横腹に木剣を叩き込むと、ホーンラビットはバランスを崩して転がった。

久しぶりの戦闘に、工藤先輩よりは動きにぎこちなさが残るが、魔物には十分に対処できている。


だが――浅い。

俺は決して油断せず、魔物に追撃を行った。

ホーンラビットは再び動き出すことができず、その場に倒れた。


「おお、いいじゃねぇか。初めてでこれなら十分だ。」


工藤先輩の声を聞いた瞬間、

張りつめていた糸がぷつりと切れたように、全身から力が抜けた。

呼吸が一気に荒くなり、額に汗が流れ落ちる。

どうやら、思った以上に緊張していたらしい。


固く握っていたこぶしをゆっくり開き、

体に入っていた余計な力を抜くように深呼吸をする。


「うぉおお!すっげえ! やったな、倫太郎!!」

「倫太郎くん、すごい……!」

「よかった……。倫太郎にケガがなくて。」


そういえば、これがこの世界で初めて魔物を倒した瞬間か。


4人に褒められて、じーーんと心に温かいものを感じた。

あれ、俺、いま めちゃくちゃ かっこいいんじゃね。


「今年の一年生は優秀だな。

 ……じゃあ、次は陽斗いくか。

 倫太郎は、少し離れた位置で、俺と一緒にフォローで控えててくれ。

 ただし、声をかけるまでは、手は出さなくていい。」


「はい! 俺やります!!」

「わかりました。 工藤先輩!」


そこからしばらく、一人ずつで、魔物との戦闘を何回か繰り返した。

最初は緊張していた皆も、初めて魔物を倒した後は、徐々にいつもの調子に戻っていった。


そうして一時間が過ぎ、皆が魔物との戦闘に慣れたころ、

工藤先輩が休憩を提案してくれた。


ダンジョンにセーフゾーンはない。

そのため、比較的襲撃に備えやすいエリアで休息をとるか、

複数のパーティーで集まり休憩をとることが多い。


今回は後者だ。

ある程度、休憩をとるタイミングを決めていたのだろう。

足場が比較的平坦で、片側が壁となっているスペースに移動すると、

そこには、すでに他のパーティーが休んでいた。


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