4章5話「上層探索一日目」
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翌朝。
俺たちは二泊三日分の荷物を背負い、ダンジョンゲートをくぐった。
ひやりとしたダンジョンの空気を頬に感じ、自然と気持ちが引き締まる。
「それじゃあ、演習の時と同じルートで進んでいこう。」
俺が声をかけると、みんなは自信に満ちた顔で静かに頷いてくれた。
今回の探索では、上層の中間地点まで進もうと考えている。
実はこれ、演習の折り返し地点だった場所と同じなんだ。
……まあ、俺としずくは崖から落ちて救助されたから、そこまで辿り着いてないんだけどね。
他のみんなは無事に辿り着けたらしく、予定通りなら二日目の夕方には辿り着くとのことだ。
(今回の探索は、俺としずくにとっては前回のリベンジだな。)
前回は工藤先輩ともう一つのパーティーが一緒だったが、今回は俺たちしかいない。
だけど、湊と白石さんがパーティーに加わって、みんなの装備も新調している。
昨日の感触も悪くなかったし、油断しなければ問題なく進めるはずだ。
頼もしい仲間たちと共に、俺たちはダンジョンの奥へと進んでいった。
遭遇する魔物と戦いながら、目的地を目指す。
午前の探索は順調に進み、昼前には昨日のエリアを通り過ぎて、早めの休憩をとった。
しかし――
休憩を終えて奥へ進み始めると、魔物の出現頻度がじわじわと上がっていくのが分かった。
上層に出るのは武装したゴブリンだ。
一体ならEランク相当で、特別に強いわけではない。
だけど、群れで襲ってくる場合はDランク相当の危険度になりうる。
昨日は、多くても一度に七体だった。
それが今は、十体へと増え始めている。
「……思ったより、きついな。」
陽斗が汗を拭いながらつぶやく。
俺も同じ感覚を覚えていた。
単純に敵の数が増えただけじゃない。
前回よりもパーティーが一つ少ない分、連戦の負担が大きい。
それが地味に効いてきている。
「……ギャッ! ギャッ!」
「……前方! また、魔物が来たよ! 今度は七体!」
白石さんの声に、俺たちは戦闘態勢に入る。
彼女も疲れて気づくのが遅れたのだろう。
敵は思ったより近くまで来ていた。
「……雨宮さん! ギリギリまで敵の数を減らして!
……晴斗と湊は、足止めの準備を!」
気力を振り絞って、声を張り上げる。
疲労が溜まると、自然と口数が減る。
正直、声を出すだけでも、結構キツい。
「……なるべく、数を減らします!」
「……後ろには通さない。 行くぞ、湊!」
「……うん。 分かってる!」
雨宮さんが敵を減らしてくれて、残り五体が襲い掛かってくる。
「……しずくっ! 行くぞ!」
「……うん!」
これが終われば休めるはず。
その気持ちだけで、俺は魔物へと飛び掛かっていった。
戦闘が終わり、短い休憩を入れる。
本来なら、演習時に使ったキャンプ地で休んでいる時間帯だった。
でも、夕方を過ぎても予定していた距離の半分しか進めていない。
「……もう時間も遅いし、キャンプ地を決めて休憩しよう。
白石さん、近くのキャンプ地まで、あとどれくらい?」
今日中に、予定したキャンプ地に到着するのは不可能だ。
俺たちは計画を変更して、別のキャンプ地を目指すことにした。
白石さんは地図を見て、苦笑しながら答える。
「うーん……3km先だから、あと一時間ってところかな。」
「……なら、もうひと踏ん張りだね。」
いつも元気な白石さんの顔にも、疲れが見えている。
正直、もう休んでしまいたい。
だけど、ここは見晴らしが悪くてキャンプ地には向いていない。
だから、心を鬼にして次のキャンプ地を目指すことにした。
そして一時間後。
俺たちはヘトヘトになりながらも、ようやくキャンプ地に到着した。
そこではすでに、別の一年生パーティーが焚き火を囲んでいて、俺たちに気づくと軽く手を振ってくれた。




