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転生三回目の俺、今度こそラブコメもダンジョンも攻略したい  作者: 読むの大好き工房
1章

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3/24

1章3話「冒険者学校高等部へようこそ」

2026/8/7更新:後書きを追加。


後半は “ ダンジョン基礎講義 ” で少し長めです。

読めば世界観をより楽しめるかと思いますが、読まなくても本編の理解に支障はありません。

ラブコメだけを追いたい方は、軽く流し読みでも大丈夫です。

(後半にあるラブコメ要素は、本当に少しだけです)

バスを降りて、校舎へと向かう坂道を上りきると、

“ これから冒険者になるための日々が始まるんだ ” という実感が、じわりと胸の奥に広がった。


ワクワクが抑えきれず、鼓動とともに、俺の歩く速度も自然と速くなってしまう。


「……そんなに急がなくても、授業は逃げないよ。」


「いや、だってさ! ついに “ 冒険者学校の授業 ” だぞ!?

 テンション上がるだろ!」


「……ふぅん。」


興味なさそうに返すくせに、歩幅はちゃんと合わせてくれる。

そういうところは、昔から変わらない。


一年二組の教室に着き、扉を開けると、

すでに何人か生徒が登校してきていた。


机を寄せて話しているグループ。

黙々と教科書を読んでいる生徒。

ざわついた空気が、いかにも “ 新学期 ” って感じだ。


そんな中、ひときわ明るい声が飛んできた。


「おっす倫太郎! 今日から本格的に授業だな!」


彼の名前は佐伯陽斗さえき はると


茶髪でツーブロックのショートヘアに、快活な笑顔。

背がとても高く、肩幅も広いが、筋肉がないというわけではない。

陽キャな外見の通り、趣味もアウトドアスポーツ全般だ。


学生服は俺と同じ組み合わせだが、

トレランシューズは黒色をベースに、細い青ラインが入っている。


明るく社交的で、誰とでもすぐ仲良くなれる、気のいい奴だ。

実際、俺も入学式のあとで少し話しただけなのに、一瞬で友達になれた。


「おはよう、陽斗。 テンション高いな!」


「当たり前だろ! 冒険者学校だぞ!? 燃えるに決まってんだろ!」


そこへ、彼と同じ中学校出身の女の子。

雨宮夕雨あまみや ゆうがしずくの方へ歩いてくる。


「しずくちゃん、おはよう。昨日はちゃんと休めた?」


「おはよう、夕雨。……うん。ありがとう。」


彼女は、ショートヘアのしずくとは対称的に、

長い黒髪を肩の辺りで赤いシュシュで束ねて右肩前に垂らして、

ルーズサイドテールにしている。


彼女の学生服も、しずくと同じ組み合わせだが、

スカートと白いトレランシューズには、細い赤のラインが入っている。


スカートの丈は、ふくらはぎの辺りまで伸びており、上品さを感じさせる。

そして、落ち着いた雰囲気からこぼれる柔かな笑顔は、どことなく母性を感じさせる。

もちろん胸も大きく、男子生徒からの注目は非常に高い。


俺達は、それぞれ同じ中学から進学している。

しかし、中学から冒険者学校に進学する生徒は、決して多くない。

それは冒険者が、危険と隣り合わせの職業だからだ。

実際、俺の友達はみんな別の学校に行ってしまい、正直ちょっと心細かった。


そんな中で知り合ったのが、陽斗と雨宮さんだ。

2人がいてくれるだけで、なんか安心する。


しずくも雨宮さんとは気が合うのか、ぎこちなくも優しい笑顔を返している。


そんなしずくの姿をじっと見つめていると、

しずくが一瞬だけ俺を見たが、すぐに視線をそらしてしまった。


雨宮さんはその様子に気づいて、くすっと小さく笑う。


……ほんと、なんで俺だけ、こんなに塩対応なんすかね?


俺は自分の席に荷物を置くと、クラス全体を見渡してみた。


こそこそと女子の話をしている男子。

友達と話しながら、ちらちらと男子をのぞき見する女子。

すでに距離が近い男女もいる。


カースト上位っぽい男女の集団や、気の合う仲間で固まっている小規模グループ。

そして、ひときわ目立つ金髪ギャルの女子――

校則が緩い冒険者学校ならではの、自由な雰囲気をまとっている。

気だるげに机に突っ伏しているが、存在感は抜群だ。


(……いいねぇ。青春って感じだ。)


ここからどんなラブコメが生まれるのか。

俺は期待に胸がふくらむのを感じた。



四人でしばらく話していると、授業開始のチャイムが鳴った。


すると、騒がしかった教室の空気を断ち切るように、

ドアが勢いよく開き、長身の男がずかずかと教室に入ってきた。


「席につけ、お前ら。」


茶髪でサイドと後ろを短く刈り上げた、スポーツ刈りの頭。

灰色のカーゴパンツに、ダークグレーのコンプレッションインナーと黒い革ジャン風の戦闘服を着ている。


クラスの誰よりも背が高く、筋肉質で、

サングラスをかけたら米国軍人に間違えられそうな顔の、熱血気味の先生。


我らが一年二組の担任――黒鋼くろがね先生だ。


「今日からお前らは “ 冒険者の卵 ” だ。

 命を張る覚悟を持て。

 だが、死ぬ気でやれとは言わん。

 俺が死なせねぇように鍛えてやる。」


教室の空気が一気に引き締まる。


「まずは自己紹介だ。前から順にいけ。」


俺たちは、自分の順番が回ってくると、席を立ち自己紹介をしていった。


「岡田倫太郎です。えっと……まだ何もできませんが、

 ここで強くなりたいと思ってます。よろしくお願いします」


自分でも “ 普通だな ” と思うくらい無難な挨拶だ。

でも、黒鋼先生はしっかりうなずいてくれた。


「水無月しずくです。……よろしくお願いします。」


しずくは相変わらず淡々としている。

けれど、その小さな声に、女子から「かわいい」と小さなざわめきが起き、

男子の何人かは、思わず姿勢を正して、しずくを見ていた。

……ただし、しずく本人は、そんな視線にまったく気づいていないわけだが。


「雨宮夕雨です。えっと、まだ分からないことばかりですが、

 みなさんと仲良くできたら嬉しいです。よろしくお願いします。」


雨宮さんのやわらかい声に、男子がざわつく。

何人か頬を赤らめ、ぼーっとした表情で眺めていた。


「俺は佐伯陽斗! 前衛やる予定だ! みんな、よろしくな!」


陽斗は明るく元気に締めて、クラスの空気が一気に明るくなる。


そして、クラス全員の自己紹介が終わると、黒鋼先生は黒板に大きく文字を書きだした。


「よし、自己紹介が終わったな。

 今日の一限目は “ ダンジョン基礎講義 ” だ。

 冒険者を目指すなら、まずは知識から叩き込む。」


冒険者学校では、一般教養のほかにダンジョンの知識や訓練が組み込まれている。

そのため、各授業の密度は濃く、一般教養は出される宿題も多い。

授業が始まった瞬間、クラスメイト達の表情は真剣なものとなった。


「ダンジョンは “ 階層型 ” が基本だ。

 ダンジョンの上層は弱い魔物が多いが、下層に行くほど危険度が跳ね上がる。

 そして最深部には “ コア ” が存在し、

 これを破壊するとダンジョンは消滅することが分かっている。」


(……核って本当にあるんだな。)


「魔物は大きく三種に分かれる。

 “ 獣型 ” 、

 “ 人型 ” 、

 “ 霊体型 ” 。

 特に霊体型は冒険者が最も苦戦する魔物だ。」


(……確かに、霊体型は前世で俺も苦手だった。)


「ダンジョンも魔物も、難易度の低い方からF~A, Sランクとなっている。

 そのあたりのランク付けは、冒険者等級と一緒だな。」


「魔物を倒す方法だが、奴らがダンジョン内にいるうちは、

 ダンジョンの外にある武器がほとんど効かん。

 ダンジョン素材で作った武器か、素手で攻撃しろ。」


教室がざわつく。


(……このあたりは前世と違う。なにか理由があるのかな?)


黒鋼先生はチョークを置き、こちらを見渡した。


「それと、ダンジョンの入口、

  “ ゲート ” についても覚えておけ。」


「ゲートは、地面や壁に穴が開いてるわけじゃねぇ。

 見た目は鏡みたいに揺らめいていて、

 触れた先が “ 別の場所 ” につながっている。」


「ゲートの向こうは、地球とは別の空間だ。

 だが、なぜか “ ゲート周辺の環境に似た場所 ” につながっていることが多い。

 森の中にゲートがあれば、向こう側も森。

 山なら山、海なら海……そんな具合だ。」


「理由はまだ分かっていない。

 だが一つだけ確かなのは、

 ――ゲートの向こうは、地球の常識が通じねぇ場所だということだ。」


生徒たちが息をのむ。


(……ゲート、か。

 前世でもあったけど不思議だよな。誰が作ったんだろう。)


黒鋼先生は続ける。


「ダンジョンが50年前に出現して以来、

 何度も “ 異常発生 ” を起こしてきた」


「異常発生とは、

 魔物が強化されたり、階層構造が乱れたり、

 イレギュラーボスが出現する現象のことだ。」


「だが、安心しろ。

 国はすべての異常発生を記録し、対策を講じてきた。

 学校の授業で扱うF~Dランクダンジョンでは、異常発生は確認されていない。」


黒鋼先生は、チョークを置きながら言った。


「この50年間、多くのことがわかってきたが、いまだに未知は多い。

 だからこそ、冒険者は冷静でなければならん。

 異常発生は珍しいが “ 知っているかどうか ” で生存率は大きく変わる。」


「冒険者ランクが低いうちは、入れるダンジョンも限られる。

 お前らは全員 “ Fランク候補 ” だ。

 明日からの実技訓練に合格すれば、正式にFランクとして認められる。」


「最後に、厳しいことを言うが

 Fランク冒険者の一年間の死亡率は3%だ。

 そして、FからEに上がれるのは毎年半分だけだ。

 ここから先は “ 生き残るだけじゃ足りねぇ ” 。

 実力を示せなきゃ、冒険者として食っていけねぇぞ。」


クラスがざわつく。


死亡率が高く、冒険者専業で十分な収入が得られるのはCランクから。

……このクラスの中で、何人が生きてそこまで辿り着けるんだろう。


「雨宮、大丈夫か?」


「う、うん……ありがとう、陽斗くん。」


顔色を悪くした雨宮さんに、陽斗が優しく話しかける。

……この2人、雰囲気がまるで熟年夫婦なんだよな。

本当に、付き合ってないのが不思議なくらいだ。


ただし、こういうのは、外野が茶化すと関係がこじれることが多い。

だから俺は静かに見守る派だ。(キリッ)


「しずかにしろ。」


黒鋼先生の声で、教室が一瞬で静まり返った。


「厳しい現実を突きつけたが、ダンジョンを甘く見た連中の末路だ。

 正しい知識と訓練は裏切らん。

 だからこそ、俺の授業は絶対にサボるな。基礎は命を守る最後の砦だ。」


この世界には、ゲームみたいな “ パーティ補正 ” も “ 魔法 ” もない。

怪我をしたら痛いし、死んだら終わりだ。

だからこそ、 “ 知識と準備 ” が命を守る。


俺は、絶対に死にたくない。

でも――

前世で中途半端なまま終わってしまった自分を、ずっと後悔している。


他の職業でも生きていける。安全に。普通に。

だけど……それじゃあ、また同じ後悔を繰り返す気がした。

冒険者になりたいという気持ちは、もう止められなかった。


その後もダンジョンに関する講義が続き、

気がつくと授業終了のチャイムが鳴り響いていた。


「明日から実技訓練に入る。

 武器の扱い、基礎体力、連携……全部やるぞ。」


黒鋼先生の言葉に、教室がざわつく。



明日から、ついに “ 冒険者としての訓練 ” が始まる。

俺は、自分の胸が高鳴るのを抑えられなかった。




TIPS:冒険者

・冒険者は資格制となっており、認定ランクは高い方からS, A~Fランク。

・Cランク以上で十分な収入が得られる。

 Eランク以下の収入では冒険者一本で生活するのは厳しい。


TIPS:ダンジョン(情報更新)

・ダンジョンにはゲートという入口があり、ゲートの先は別の空間につながっている。

・ゲートの先は、ゲート周辺の環境に、ある程度酷似していることが知られている。


TIPS:ゲートの先の空間

・ゲートの先は “ 地球とは別の法則が働く空間 ” 。

・明確に解明されておらず、現在の有力説としては以下の通り。

 ▶地球側の環境情報を参照して、ゲート先の空間として自動生成される

 ▶どこか異世界に接続している

 ▶未知の存在が “ ダンジョンとして創った ” という説もある


ここまでお読みいただきありがとうございます。


「おもしろかった!」

「続きが気になる!」

と思ってくれた方は、ぜひ高評価(★満点)とブックマーク等をお願いします。


それでは、引き続き、本作をお楽しみください。


X(旧Twitter):@yomu_kobo

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