↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生三回目の俺、今度こそラブコメもダンジョンも攻略したい  作者: 読むの大好き工房
3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/38

3章9話「氷室先生、参戦」


「よく持ちこたえた。

 負傷者は下がって、天城先生のところで治療を受けるように。」


イレギュラーボスが三体いる。

それなのに、それが些末なことのように氷室先生は静かに話す。


氷室先生は、Aランク冒険者だった。

そんな噂が、一年生の間では流れている。


いや、最上位事象系スキルを扱うところを実際に見た限り、その実力は限りなくSランクに近い位置にいることが分かる。


イレギュラーボスにも強さにランクがある。

もとがEランクのゴブリンだ。

強化されたところで、Cランク下位~中位がせいぜいだ。

そんなやつが、Aランク冒険者に敵うはずがない。


そう考えている間にも、イレギュラーボスは氷室先生のスキルで全身氷漬けにされて、最後には砕け散ってしまった。


(つ、つよすぎる……

 しかも、強いだけじゃなくて、イケメンでハイスペックで高収入……


 これは、世のご婦人・奥様方が黙ってはいませんよ……)


あまりにも現実離れした強さに、俺は先ほどの激闘も忘れ、ぼうっと立ちつくしてしまった。


「殿を、黒鋼先生と私の生徒達が務めてくれています。

 これから私は、そちらの援護に向かいます。

 こちらは任せました。」


氷室先生が背を向け、静かに歩き出す。

その背中は、戦場の喧騒とは無縁のように落ち着いていて、まるで “ 氷の舞闘者 ” が冷たい舞台を優雅に踏みしめていくようだった。


俺たちは、声を出すことすら忘れてその背中を見送った。



ふと、氷室先生が思い出したように振り返る。


「それと、戦場で呆けるのは感心しません。

 次からは注意するように。」


淡々とした口調なのに、不思議と胸に刺さる。

言うべきことはすべて伝えたという風に、氷室先生は再び戦場へと消えていった。


その瞬間、俺たちはようやく自分の役割を思い出し、動き出した。


負傷者の搬送、武器の回収、周囲の安全確認──

戦闘の余韻が残る中、俺たちはそれぞれの持ち場へ散っていく。


陽斗と藤宮君たちタンク組は三グループに分かれ、交代で草むらを警戒。

俺としずくは、少し離れた位置でいつでも動けるように待機。

雨宮さんと白石さんは怪我人の手当てを手伝っていた。


おそらく、氷室先生が周囲の魔物を間引いてくれたのだろう。

それからしばらくは、魔物が押し寄せてくることはなかった。




戦いは終わった。


──戦闘中に再現した “ あの時の感覚 ” と “ 赤い粒子 ” 。

身体が軽くなり、相手の動きが “ 視えた ” あの瞬間。


不可解な現象に戸惑いながらも、俺は胸の奥から湧き上がる興奮と喜びを噛みしめていた。






【一年一組担任:氷室玲(ひむろ れい)視点】


◆

丘での戦いを終え、黒鋼先生と生徒達が戦う戦場へ向かう。

歩きながら、私は先ほど見た生徒の動きを思い返していた。


(……彼が、黒鋼先生の言っていた生徒か。


 反応速度も身体能力も、常人の域を超えていた。

 あれは、 “ マナ ” をうまく扱えていないとできない芸当だ。


 強力なスキル保有者はうちのクラスにも多い。

 だが、 “ スキルが強いこと ” と “ マナを扱えること ” は別ものだ。


 岡田倫太郎──

 彼は “ マナ覚醒者 ” とみて間違いないだろう)


魔物を倒しながら、私は静かに思考を巡らせる。


(あの子は、いずれ必ず “ 壁 ” にぶつかる。

 だが──乗り越える素質はある)


戦闘のなかで成長していた彼の動きを思い出し、私は安堵の息を吐いた。


(この演習が終わったら、黒鋼先生としっかり話をする必要がある。

  “ マナへの覚醒 ” は、祝福であると同時に呪いにも変わり得る。

 過去に暴走した例もある。

 私たちは先導者として、彼をどう導くべきかを考えなくてはならない)


そのためにも──

この異常を、生徒に犠牲を出さずに終わらせなければ。


私は歩みを少し早め、迫る魔物を次々と氷結させていく。


倒した魔物の残骸の上には、薄い氷が白い線となって残る。


まるで自分の決意を刻み込むように、 “ 白い軌跡 ” が静かに戦場へと伸びていくのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。