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「追放王子の冒険譚」  作者: 蛙鮫


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「死闘の末」

心が晴れやかになるような青空が窓の外に広がっていた。


「アーケオ様? お体は大丈夫ですか?」


「うん。というかマシュロさんも安静にしていないとダメだよ」


「なんだか落ち着かなくて」

 マシュロがアーケオにお茶を出してきた。


 本来なら彼女も寝ていなくてはいけないが、従者として過ごしてきた彼女は動かないと気が済まないのが性分なのだろう。


「本当に終わったんだね」


「ええ。夜明けの翼も魔王との確執も全て終わりました」

 一晩で世界を脅かす二つの問題が解決されたのだ。アーケオは非現実的な感覚を覚えていた。しかし、窓の外から街の方を見ると現実であることが理解できた。


 崩壊した建物。抉れた大地。それが数日前の死闘の壮絶さを物語っていた。


「これから後片付けで忙しくなるね」


「そうですね」


「おや。元気そうだな」

 声のする方に目を向けるとクリスとリーシア、鋭心が立っていた。


「皆さん。今回は本当にありがとうございました」


「いいっていいって」


「あれを止めなければ世界は終わっていたわけだしな」


「ローゼンと手を組んだのは不本意だが仕方あるまい」

 各々、アーケオに胸の内を打ち明けた。


「もう怪我は大丈夫なんですか?」


「ああ、だから今日で帰ろうと思ってな。その挨拶をしにきたんだ」


「そうですか」

 アーケオは少し寂しさを覚えた。


「そんな顔すんなよ。また会えるさ」

 クリスがアーケオの頭を強く撫でた。


「ジルギスタンに来た時はいつでも連絡をしてくれ」


「ヤマトもな」


「はい!」


「皆様。どうかお元気で」

 マシュロとともに三人の友を笑顔で見送った。必ずまた会いに行く。アーケオは心の中で静かに決めた。





「アーケオいるか?」


「兄さん。大丈夫ですか?」


「まあな。従者からはもう少し寝ているように言われたが問題ない」

 部屋の入り口から松葉杖をついたブレドがやって来た。


「今回の一件。感謝する。俺や父上だけでは魔王を止めるのは絶対に無理だった」


「うん。兄さんこそありがとう。僕とマシュロさんだけでも無理だったよ」


「怪我が癒えた後のことは決めているのか?」


「旅を続けようと思う。まだまだこの世界を見たいから」


「そうか」

 ブレドが穏やかに微笑んだ。兄とこうして平和な時間を過ごせる日が来るとは思いもしなかった。そのきっかけが今回の争いというのが唯一の欠点だ。


「怪我が癒えたらどこに行きましょうか」


「そうだな。次はもっと南の方に行ってみようかな」


「南の島国には美味しい果物が多く実っていると聞いた事があります」


「果物か。楽しみだね!」

 アーケオはベッドの上でまだ見ぬ世界に胸を馳せた。


「マシュロさん。これからもよろしくね」


「ええ。こちらこそ」

 マシュロが朗らかな笑みを浮かべた。

 

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