「援軍」
ローゼン王城の外。開けた場所でアーケオとブレドは窮地に追い込まれていた。
「どうした! 勢いが落ちているぞ!」
レックスが攻撃を受けながらも、笑みを浮かべている。
「がっ!」
突然、アーケオの隣でブレドが血を吐いた。アーケオは目を疑った。ブレドの目と口から血が流れ始めたのだ。長時間未来予知を使っていたせいで、彼の体は限界に近づいていたのだ。
レックスが大剣をブレドの剣に叩きつけた。あまりの威力にブレドは壁に叩きつけられた。ブレドの口や鼻から勢いよく血が吹き出た。
「どうやら未来予知はもう出来ないらしいな!」
レックスの速度を予想しようと魔法を発動していたブレドの脳には大きな負荷が掛かっていたのだ。
「未来予知が使えないなら、恐るに足らんな!」
レックスがブレドに大剣を叩きつけた。凄まじい勢いでブレドが近くの建物の壁に吹き飛んだ。
「兄さん!」
「人の心配をしている場合か?」
アーケオの頭上に鉄塊のような剣が降ってきた。そこからレックスの猛攻が続いていた。あまりの重さに関節の節々が痛くなってきた。
その時、レックスの首元に誰かが飛びかかった。マシュロだった。彼女がナイフでレックスの首を刺していたのだ。
「させない!」
「タフだな」
マシュロが目を血走らせながら、ナイフを力強く刺している。レックスがマシュロの服を掴んで、近くに投げ捨てられた。
その隙にアーケオはレックスから離れて、マシュロに駆け寄った。
「大丈夫!?」
「ええ。なんとか」
「そろそろ、しつこいな」
レックスが指を鳴らした。すると合図を待っていたかのように物陰から魔物が次々と現れた。唸り声を出しながら、アーケオ達を取り囲む形で迫ってくる。
「ゲルルル」
「ガルルルル」
「くっ」
アーケオは息を切らしながら、剣を構える。魔物達が一斉に走ってきた。凶暴な双眸が近づいてきた時、魔物達の首が一瞬で宙を舞った。
その近くには男が立っていた。独特の衣類と履物。そして、刀と呼ばれる剣。その後ろ姿には見覚えがあった。
「待たせたな。アーケオ」
「鋭心さん」
そこにはかつてヤマトで親しくなった黒瀬鋭心が立っていたのだ。
「俺達もいるぜ」
「久しぶりだな。アーケオ」
「クリスさん。リーシアさん」
ザザラ砂漠で知り合ったジルギスタン王国のクリスとリーシア。ヤマトの鋭心。
そして、それぞれの国の兵士達が武器を構えていたのだ。
「他にも世界大会に参加したやつとかもいるらしいぜ」
「そんなにたくさん」
「なんとか間に合ったか」
「父さん」
額から汗をかいているルーベルトがアーケオの元に駆け寄ってきた。
「ブレド。もう無理するな」
「父上」
「ローゼンに手を貸す気は無かったが、我が国の恩人の頼みとあらば、断るわけにはいかんと言って手を貸してくれた」
父の言葉を聞いて、アーケオは目頭が少し熱くなった。自分が結んだ縁がこのような形で力となり、自分を支えてくれたことに胸が高鳴ったのだ。
「さあ、形勢逆転です」
アーケオはレックスと唸り声を上げる魔物達に目を向ける。




