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正義を振りかざす最強勇者  作者: コヨコヨ


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二十四話 抱く

「シロがミリュに連れ去られた」

「は、はは……。ミリュさんのお節介が発動したみたい」


 ブレイブは今日の事件の後始末を担い、ベンゼ公爵家当主のパックスの悪事を国王に伝えた。

 ベンゼ公爵家は公爵の爵位の剥奪と王都からの追放処分を受ける。奴隷はほとんどの者が開放された。

 帰る場所がない奴隷はマドロフ商会が引き取り、合法的な奴隷として再教育し、法律を守る購入者とめぐり合わせられるよう配慮するそうだ。

 引き取り手がいる場合は、そちらに奴隷の所有権が移る。


「魔王の調査はどうなっている」

「収穫なし。でも、今まで反応していなかったミリュさんの鼻が王都に来て何か臭うって言っていたから、見えているようで見えていなかったのかもって思った」


 ブレイブはリンゴジュースを飲みながら笑顔で話している。いつも以上に笑顔が目立った。


「いやー、アイクが女の子と一緒に生活しているとは思わなかったよ。しかも、めっちゃいい子だし」

「今日で、シロは自由だ。今後はあいつが決める」

「あぁ、復讐が終わったら抱くって話か。いいかい、アイク。超優しくだよ。入れる場所を解して準備してからじゃないと入れたら駄目だからね」


 ブレイブはアイクが失敗しないようあれこれ伝える。全て理解しきれなかったアイクだが、とりあえず自ら動くのは最小限にしておくべきだと察した。


 ブレイブと食事を終え、訓練場で日課の鍛錬をこなす。

 全身が汗だくになったころ赤髪と尻尾、大きな胸を揺らしながら大股で歩いてくるミリュが現れた。


「アイク、さっさと部屋に戻りなさい。あと、戻ったら媚薬を飲むこと。今なら半分くらいでいいと思うわ」


 ミリュに急かされ、訓練を中断し部屋に渋々戻る。


「……お帰りなさい」


 シロは、さきほどまでとはまるで別人のような佇まいで部屋にいた。

 整えられた銀糸のような髪は柔らかく光を反射し、湯上がりの肌はほのかに紅を差して、その滑らかさを際立たせている。

 肩に羽織った純白のバスローブは、彼女の輪郭を柔らかく包み込みながらも、どこか神秘的な気配を漂わせていた。まるで月夜に舞い降りた神獣のようだ。


 アイクはミリュにいわれた通り、渡された小瓶の液体を半分だけ喉に流し込んだ。熱された蜜を飲んだような刺激が喉を焼き、胃の奥へと沈んでいく。

 瞳孔が少々広がる程度で、特に目立った変化はない。


 服を脱ぎ、手早く身体を拭こうとした瞬間、シロが静かに近づく。

 まるで何かの儀式のように柔らかな手つきでアイクの身体に濡れた布を当てた。体が拭かれるたび、空気が張り詰める。


 アイクの瞳は淡々としていた。ただ目の前の彼女がまとっている夜の気配と、そこに宿る意図を静かに受け止めているだけだった。

 拭き残しは下着の下だけになったころ……シロはバスローブを脱ぐ。

 奥が透き通って見えてしまう黒い下着を身に着けていた。

 彼女がアイクの下着を脱がすと、脈動している性器が現れる。


 シロは彼の体調や反応に注意を向ける。目の光り方が変わった。顔をそっと近づけ、棒状の性器に舌を這わせる。

 アイクのにおいが鼻を突き、真っ白な尻が震え、尻尾が上を向く。

 下から上に血を流すように舐めるたび、普段はない脈動が起こる。それだけではなく棒状の性器の付け根から先まで芯が入ったように硬くなっていく。


 シロは好物の肉を前にした時の表情で躊躇なく咥えこんだ。口の中に到底入り切る大きさではない。

 否応に唾液があふれ出て、しゃぶりやすくなった。夢中で貪り、愛液が滴る股間をいつの間にか自分で虐めている。


 準備は十分と察したシロは口から性器を離す。

 鋼鉄以上の硬さを思わせる棒状の性器は反り上がりシロの視界を埋め尽くさんばかりに、その存在感をありありと放つ。

 あまりに凛々しく、逞しく、男らしいそれを見るだけで息が荒くなり、瞳が大好きな男と子供を作りたいという女の本能に支配されそうになっていく。

 シロはまるでマタタビに酔った猫のように腰を引き気味にしながら、静かにベッドへと這い上がった。動作には戸惑いと決意が入り混じり、慎重さの中にほんのりとした熱がにじむ。

 彼女は四つん這いの姿勢になり、静かに身につけていた黒の下着を外す。その動きに無駄はなく、ゆるやかでいてどこかしら挑発的だった。

 しなやかな腰の曲線が浮かび上がり、アイクの方へと背を向けたその姿は、見る者の意識を自然と引き寄せる。


「アイクのちょうだい……、もう、体が、おかしくなりそうなの……」


 『精霊眼』に映るシロは『状態:発情』になっていた。つまり、彼女も獣族の観点からすれば成人と認定される。


 アイクはブレイブに言われた通り、シロの性器に指を入れ、穴を解す。四〇度近くありそうなほど熱い内部からスライムを掻きだすように指を優しく動かすだけでシロはベッドの上で大きくよがる。

 シーツを強く掴み、腰をくねらせ、足先に力が入っていく。その間、ずっとアイクの名を熱った声で漏らしていた。


 湿り気を帯びた夜風が小さく開けられた窓から静かに流れ込む。空気はどこか甘く、肌に触れるたびにほんのりと暖かい。カーテンが部屋の中の熱気をかき混ぜるように優しく揺れるたび、シロの白い背中に汗がにじんだ。


 アイクの指が二本入るようになったころ、シロは『状態:絶頂』に二回なっていた。指を性器から抜き取る刺激だけで、彼女は背筋が反り、尻が浮く。


「入れるぞ」


 アイクは指の代わりの反り立った性器をシロの中にゆっくりと入れる。沼に足が取られるように、入り込んだ。ここからどうするか聞いておらず停止。

 だが、目を見開く。


 ――これで、さらに強くなれるかもしれない。


「あぁ、これ、やばい、ぜったい、やばい……、頭、おかしくなっちゃうやつだぁ……」


 アイクが一分近く停止していたら、シロの腰がひとりでに動き出す。ものの数秒で腰が浮き、体を反らせながら『状態:絶頂』になる。

 枕に顔を埋め、声が出ないように息を殺すも全身が痙攣し、止まらない。


「ア、アイク……、あ、頭、なでなでしながら腰を前後に動かして……」


 アイクはシロの背中に覆いかぶさり、言われた通りこなす。シロの口からきいた覚えもないような声が漏れだし、脚をじたばたさせ数回の前後運動で『状態:絶頂』になる。気づかぬ間に、うれしょんし、ベッドの上は洪水になっていた。


 アイクに動かれたら駄目だと察したシロはアイクをベッドに寝かせ、馬に乗るように股間に座る。性器を入れただけで顎が上がり、首すじが浮かぶ。


「アイク……、アイク……、アイクぅ……」


 今、生きている実感を胸に秘め、溶けるアイスクリームのように甘い表情のシロは声が我慢できていない。スライムが這うような音と彼女の口からこぼれ出る喘ぎが重なり、部屋の空気はより一層湿度が上がっていく。


 ――ただ見つめているだけではつまらんな。


 冷たく硬い剣だけ握っていた手は、人肌が暖かく努力を惜しまない彼女にまるで触れたがっているようにうずく。

 静かに上半身を起こすと、いつものようにシロの髪へと指を滑らせた。細く柔らかな白い髪が手のひらに絡みつく。そのまま頬を撫でると、シロの表情がさらに蕩け喉が鳴る。

 頬から頭を撫で始めると、シロも自然にアイクの首に腕を絡める。

 空の上では思うように集中できなかったが、今、二人だけの空間では思いをすべて解き放ち、ようやく真面に深いキスを交わす。

 強い風が吹き抜けカーテンが乱れる。されど夜の静けさが二人を包み込み、ゆっくりと深まっていく。


 シロがキスを求めるとアイクも答える。

 いつもは強くぶっきらぼうで投げやりな男だが、キスはとても繊細だった。微弱ながらも針が唇に触れたような確かな刺激が、シロが守り続けてきた世界をゆっくりと崩し、理性の輪郭さえ霞ませていく。


「アイク、あ、いく、また、凄いの来ちゃう……」

「嫌なのか?」

「い、嫌じゃ、ない。でも、でもぉ。アイクにも……」

「俺のことは気にするな」


 アイクはシロの奥深くにある弱点を的確に刺激する。

 その度、シロの呼吸は細く熱を帯びていき、息つく間もなく訪れる快楽に琥珀色の瞳が揺れ動く。互いの汗が混じり、命が一つになったような一体感が生まれた。


 シロはアイクに抱きしめられていると体が思うように動かせない。だが、それゆえに抗えない刺激によって理性がぬるく溶け、心の奥までゆっくりと濡れていく。

 まるで抗うことさえ快楽に変わってしまうようだった。


「あぁ、あいく、アイクっ! あぁ、あ、アイ、ク、あぁ、アァ、イっ……ク!」


 発情で乱れているシロをアイクは大地のようにどっしりと受け止める。

 二人きりの夜は、触れ合うたびに熱を孕んでいった。指先が髪をすくい、肌を撫で、抱き寄せて、熱を確かめて、また抱き寄せて。


 喉が渇いたら水を求めるように、互いの存在が切実で無意識に寄り添いあっていた。

 時間の感覚はほころび、今夜はまるで終わらない夢の中にいるようだった。


 シロはただアイクのそばにいるだけでは足りず、何度も愛を叫び、長い夜を過ごした。

 今日だけで『状態:絶頂』を二〇回以上経験したのに対し、アイクは今日もゼロ回だった。


 疲労困憊で気を失うように眠ったシロの隣で、アイクはそっと彼女の肌についた水分を丁寧に拭い取っていた。

 加護のおかげで風邪を引くことはないかもしれない。それでも、冷えたままでは眠りが浅くなる。そのため、放っておけなかった。

 ただの配慮だと自分に言い聞かせ、無表情ながらも、その手つきにはどこか、大切なものを愛おしむような優しさがにじんでいた。


 朝、そっと目を開けたシロは、隣で眠るアイクの姿を見つめる。

 彼の純粋無垢の子供のような穏やかな寝顔を見つめ、ふっと微笑んだ。

 手を伸ばして触れることはせず、ただその存在を目に焼きつけるように、静かに見つめていた。

 すっぽんぽん同士でベッドに横たわって状況を改めて見ると、昨夜のことを思い出したかのように、シロの頬にゆっくりと熱が差す。

 胸や鎖骨、首まで赤色に染まりかけ、たまらず顔を手で覆う。微笑みが止まらなかった。


「今日からわたしはアイクのために生きるんだ……」


 シロは寝起き早々、静かに部屋の掃除と衣類の洗濯に取りかかった。窓から差し込む朝の光が床を照らす中、せっせと動く彼女の手際は無駄がなく、どこか楽しげでもあった。

 アイクが目を覚ますころには、厨房で焼かれている焼き立てのパンの香りが窓から入り込んでくる。

 整えられた空間を見渡すと、すぐ隣に爽やかな笑顔があった。


「不束者ですが、よろしくお願いします」


 寝起きざまにシロに頭を下げられ、よくわからず眉間を揉む。


「もう、自由なんだぞ。わざわざ、俺といなくても……」

「わたしは、わたしの意思でアイクと一緒にいると決めた。ずっと、一緒にいたい。これで、文句ないでしょ」


 そのまっすぐな言葉に、アイクはしばらく何も返せなかった。ただ、「わかった……」と、ようやく絞り出すように答えるのが精一杯だった。


 一人でも困ることはなかった。誰かがいなくても、淡々と生きていけた。けれど「一緒にいたい」と言われたその瞬間、全身から力が抜けた。


 ――悪くない。


 そう思った自分に少し戸惑いながらも、アイクはシロをそっと見つめた。


「仕事に行くか」

「ああ、困っている者を沢山助けて、魔物も沢山倒す!」


 今まで以上にやる気が盛り上がっているシロは昨晩で体中が筋肉痛になっており、歩き方が変になっていた。そこをアイクに指摘され、無理やり姿勢を正される。

 無慈悲だった。

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