第三章 崩壊(20) 二人の男(4)
アッティラ族の領域に二人は入った。
すぐに、何人かのアッティラ族が寄ってくる。
「何処に行く。」
「東に・・」
アッティラ族の男の問いにバルディオールはぶっきらぼうに答えた。
その言い方がアッティラ族の感情を逆撫でにした。
バルディオールの後でドンと凄まじい音がした。
ジャンクが軽く突いただけでアッティラ族の男が弾丸のように木立に叩きつけられ悶絶した。
凄いな・・それを横目で見たバルディオールが思わず漏らす。
ところがジャンクは自分が弾き飛ばした相手に駆けよりその安否を確かめている。
あれさえなければ・・・今度は苦笑い。
だが、それだけで相手は怖じ気づいた。
「通して貰うだけだ。」
そこにバルディオールがすかさず凄味をきかせ、あっさりとその場を凌いだ。
何度かそんな事があったが、割と楽に二人は有尾人の領域に入った。
顔に酷い火傷の痕がある男とぼろ布で顔を隠した男、有尾人達は彼等を怪しみ、恐れ、そしてピグマイオイとドワーフに連絡した。
バルディオールはジャンクを集落内に残し、自分は集落の外を歩き回った。
この恐ろしげな二人は、悪事を働くでもなく一日を過ごし、夜は集落の外にある木の根に休んだ。
それでも有尾人達は警戒の色を解かなかった
夜が明け、昼過ぎにピグマイオイが駆けつけ、それからまた二日でドワーフ達がやって来た。
こちらから手を出さなければピグマイオイは何もしなかったが、気の荒いドワーフ達は違った。息巻き、脅し、喧嘩をふっかけてきた。
が、それもバルディオールとジャンクの敵ではなかった。バルディオールは手を出してきたドワーフを殴り倒した。ところがバルディオールが動いても動こうとしないジャンクを軽く見たのか、一人のドワーフがジャンクに襲いかかった。だが、ジャンクが軽く腕を振るとそのドワーフは土の上を滑り倒れた。
「俺達は喧嘩しに来たわけではない。」
バルディオールが大声を上げる。その声に乗りピグマイオイ達がドワーフ達を止めた。
それから話し合い・・バルディオールは集落を護る為その回りに壕を掘ったりその内側に先を尖らせた竹を結い回して集落を護ることを提案した。
それはいい・・と、先に手を打ったのは、さっきまで二人を敵視していたドワーフだった。
その中で、
「この女を知らないか。」
ここでもジャンクはそればかりを言っていた。
だが、ここでも似顔絵の女を誰も知らず、ジャンクはガックリと肩を落とした。
「妖精の国へでも行ってみたらどうだ。」
ドワーフの一人が突然そう言った。
「妖精の中には物知りもいるだろうからな。」
「何処にある。」
「北・・カーター・ホフと呼ばれるところだ。」
× × × ×
「そんな男が二人こっちに向かっている。」
アレンは話を続ける。
「どうやらこいつ等はティアを探しているようだ。」
そこまでの話しの流れでワーロックもそう察していた。
「片方の男はバルディオールという・・ミッドランドでの大戦でユングの下で戦った男だ。」
「危ないな・・・」
アレンの言葉にワーロックが腕を組み、難しい顔をする。
「もう一人は・・・」
「ジャンクと言うらしい・・凄まじく強い。」
「危ないな。」
ワーロックはもう一度同じ言葉を吐き、ウィーゴにオベロンへの使いを頼んだ。




