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第三章 崩壊(17) 二人の男(1)

 久しぶりにアレンが霜の国にやって来た。

 それをワーロックがニュールベルグで迎える。

 「様子はどうだ。」

 ワーロックが問いを発する。

 「ディアス達はアシュラ族と上手くやっている。

 ロニアスの南には亜人達が住み着きだしているようだが、なんの摩擦も起きていない。」

 一つ一つをアレンは語り出した。

 ディアス達の村ロニアスはアシュラ族との共存が進み、今ではアシュラ族の魔物退治にマルスとアレクも参加しているという。

 新たにイシューが王と成ったルミアスは、アルランダルと呼ばれる地で産出される金、銀で経済は潤いアシュラ族との提携も上手く

いっている。そのアシュラ族の男児を入れたクゥィランドの経営も成り立ち、その西に住むヤフー人と伴に外敵の侵入からルミアスを守っている。最近では山を隔てたドワーフ族との国交も深まり、何一つの憂いも見いだせない。

 但し、この地域において山脈の南に蔓延るアッティラ族の勢力の伸張には頭を悩ませていた。ピクト人、有尾人の勢力範囲どころか、ヤフー人の住地区からクゥィランド辺りまでを荒らし回っていた。

 「ピグマイオイって覚えているか。」

 アレンの問いに僅かに考えワーロックが首を縦に振った。

 「彼奴等がアッティラ族の勢力範囲の北の森に住み着いている。」

 「ミッドランドの黒い森を捨てたのか・・・」

 「ああ、そのようだ。確かにカミュやティア達と旅をした頃にはあそこにはいなかった。」

 「そうか・・・」

 ワーロックは遙か昔を思い出し、遠い目をした。

 「彼奴等、何かを守っているようだ。」

 「何かを・・・」

 「それが何だか解らん。結界が張られ、俺じゃぁ近づけん。」

 「いつかカイに調べて貰うか。」

 そういってワーロックは次の話しを促した。

 「カーター・ホフの森の南にはフィル・ボルグ族という低位の魔術を使う種族が住み着きだし、上手い具合にここ、霜の国への障壁となっている。」

 満足げに肯くワーロックに、

 「ただ一つ困った話しと、注意を要する話がある。」

 と、アレンが苦い貌を見せる。

 困った話しとはアルカイ神聖共和国のこと、遂にブラウニス公国を征服し、版図を大きく広げた。

 今、この大陸で大規模な戦争が行われているのはこのアルカイの辺りだけだった。

 「困ったものです。」

 ワーロックもアレンと同じ様に苦い貌を見せる。

 「もう一つ・・」

 アレンの顔が苦渋に歪む。

 「セイラが妊娠したようだ。」

 その言葉にワーロックが驚きの声を上げる。

 「しかも相手は兄、セフィロ・・と言う話しだ。」

 「また彼等に利用されますか。」

 「何者なんだあの七賢者とは。」

 「本能・・自己の欲だけの本能・・・」

 ワーロックの言葉にアレンが不可思議な顔をする。

 「遙か昔、この星は人という者の欲望の為死のうとしていた。それを救ったのが一人の科学者。

 彼は人と人である自身の存在を否定し、人としての自分の存在本能を斬り捨てた。

 その捨てられた本能の塊が七賢者・・

 彼等はこの星に生き残った人達とは比べものにならないほどの知恵と力を持っていた。それを使い自身の存在の為だけにあらゆる手立てを打ってくる。

 それは他者を苦しめようが、他者に恨まれようがお構いなしにむき出される。

 私はそれを制御しようとホーリークリフに登った。

 が、先の大戦で七賢者は早々にこの地ゴンドルスに逃げ、自分達の王国を造る為に様々な画策をした。

 そして出来上がったのが“光の子”を利用したアルカイ神聖共和国・・・

 彼等は自身等の為だけに益々動きを強めよう・・それが復活するかもしれぬ邪神を利することにならねば良いが・・・」

 ワーロックは暗い眼をした。

 「もう一つの件だが・・・」

 アレンは話を続けた。


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