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 もしクロードがホタル集めに失敗したら、マルネーヌのダンスパートナーになる……。

 

 くらりと立ちくらみを覚える。

 だって宮殿で催される年に1度のダンスパーティーで、18歳を迎えた貴族令嬢のダンスパートナーに指名された男性は、将来その令嬢の結婚相手になるのが慣習なのだから。

 たいていは貴族の両親同士が示し合わせて互いの相手を決めることになっている。

 でもマルネーヌの両親は既にこの世にいない。

 だからってマルネーヌ自身が自分の結婚相手を選んでいいの?

 しかもよりによって、寝ることしか頭になくて、出自もよく分からなくて、敬語も使えなくて、いっつも無表情な、ただの執事なんて……。


 ありえない! ダメよ! 絶対に!!

 

 でもクロードだってアッサム王国の人間なら、それくらいの常識はわきまえているはず。

 絶対に断るに決まってるわ!


「そうか。そんなことでいいなら問題ない」


 はっ……?

 ちょっと、何言ってるのこいつ?

 そんなことって何よ!

 問題ないですって?

 問題なら大アリよ!!


 心の中で金切り声を上げる私をよそに、マルネーヌとクロードは話を進めていく。


「ふふ。じゃあ、決まりですね」

「ああ、その代わり、成功したら俺の願いを聞いてもらうぞ」

「ええ、もちろんですわ」

「よし、なら決まりだ」


 私を置き去りにしたまま、とんとん拍子で決まってしまった……。

 呆然としている私。その手をマルネーヌが優しく取った。


「今夜が楽しみですね! シャルロット様!」


 今日の太陽みたいな笑顔のマルネーヌ。

 

 クロードが自分の期待に応えてホタルを用意するのが楽しみなのか。

 それとも彼が失敗して自分のダンスパートナーになるのが楽しみなのか。

 果たして本心はどちらなのだろう?

 

 私は引きつった笑みを浮かべるのが精一杯だった――。

 


 

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