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夜が溶けるまで  作者: 蒼狐


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第13話「夜の奥へ」

ドアが閉まる音が、静かな空間に小さく響いた。


鍵がかかる。その音が、妙に長く耳に残る。葵は、靴を脱ぐ動作さえ、指先が微かに震えているのを感じていた。背後で、涼の気配がすぐに近づいてくる。次の瞬間、大きな手が、ゆっくりと自分の腰に回された。シャツ越しに、硬くて熱い胸が、背中に密着する。吐息が、耳のすぐ後ろに落ちた。


「一日中、我慢してた」


低い声が、掠れて熱い。鼻先が、首筋に触れる。軽く、皮膚を擦るように動く。鳥肌が、一気に立った。涼の唇が、耳たぶを優しく挟む。歯の感触が、甘い痛みとともに広がる。吸うように。舌先で、ゆっくりと内側をなぞるように。甘い痺れが、耳から首筋へ、鎖骨へ、そして胸の奥へと、じわじわと沈んでいく。


「痕、ちゃんと残ってるな」


指先が、化粧で隠した首筋の部分を、優しく撫でる。熱い。昨夜の感触が、すぐに蘇る。涼は、低く息を吐くと、唇をそこに重ねた。吸うように。熱を残すように。新しい痕を、丁寧に重ねていく。体が、自然と後ろに寄りかかる。膝が、微かに弛んだ。


「部屋、行くぞ」


腕が腰から離れず、ほとんど抱きかかえるようにして廊下を進む。歩くたびに、太腿が軽く触れ合う。生地越しの熱が、じわじわと内側に染みていく。寝室のドアが開く。窓から、夜の街灯がぼんやりと差し込んでいた。カーテンは、半分だけ閉じられている。薄い光が、大きなベッドを照らしている。


背中が、マットレスに沈む。

上から、涼の体が覆いかぶさってくる。重みと熱が、全身に広がる。シャツのボタンが、自分の頰に触れそうになる。石鹸の匂いと、微かな汗の匂いと、男の熱が、一気に鼻腔を満たした。


唇が、すぐに重なる。

深く。熱く。貪るように。


舌が絡みつき、吸うように、押し合うように動く。甘い水音が、夜の空気に溶ける。吐息が乱れ、鼻先が触れ合い、額が軽くぶつかる。涼の手が、シャツの裾から直接肌に滑り込む。掌の熱が、生の皮膚に触れた瞬間、背筋を甘い電流が走った。指が、腰骨のラインを丁寧に辿る。一回。二回。ゆっくりと、肋骨の方へ移動する。


「熱い……朝より、余計に熱くなってる」


掠れた声。唇が、首筋に落ちる。吸うように。歯で軽く挟むように。甘い痛みが走り、吐息が短く漏れる。シャツのボタンが、一つつ、外されていく。冷たい空気が、露出した肌に触れるたびに、彼の掌がすぐにそれを埋める。鎖骨から肩へ。肩から腕の内側へ。指先が、脇の下の柔らかい部分を、ゆっくりと撫でる。鳥肌が、止まらない。


シャツが、完全に開かれる。

涼の視線が、ゆっくりと自分の体を這う。恥ずかしさと、甘い羞恥が混じって、頰が熱くなる。彼の唇が、鎖骨から胸の谷間へ落ちる。生地越しに、熱を伝えるように。吸うように。体が、自然と弓なりに反った。ブラのホックが、背中で外される音。涼しい空気が、肌を撫でる。掌が、直接、柔らかな曲線を包み込む。熱い。大きくて、骨ばった手が、優しく、しかし確実に、輪郭を確認するように動く。親指が、先端を、ゆっくりと円を描く。甘い痺れが、一気に広がる。


「……ん、はぁ……」


声が、思わず漏れる。涼の唇が、そこに落ちる。吸うように。舌先で、優しく刺激するように。甘い快楽が、波のように押し寄せる。腰が、自然と浮く。もう一方の手が、スカートの裾をゆっくりと持ち上げる。生地が、太腿を擦る感触。指が、太腿の内側を、慎重に、丁寧に辿る。熱が、じわじわと内側に染みていく。


「ここも、朝からずっと熱かっただろ」


低く、確認するように問われる。指が、敏感な境界に触れる。優しく。円を描くように。触れた瞬間、体がびくりと跳ねた。甘い電流が、背筋を駆け上がる。腰が、自然と彼の手に押し当たる。


「感じるな……お前のここ、もうこんなに」


掠れた声。耳元で、熱い吐息。指の動きが、徐々に深く、丁寧になる。甘い快楽が、繰り返し押し寄せる。吐息が乱れ、声が抑えきれずに漏れる。涼のシャツも、いつの間にか乱れていた。葵は、後ろに回した手で、彼のシャツを開き、直接肌に触れた。硬くて、熱い。心臓の音が、掌に伝わってくる。早い。


「俺のことも、触ってくれ」


その言葉に、胸の奥がきゅっと締め付けられる。

葵は、小さく息を吸い、指を下へ移動させた。彼の硬く熱い感触に、触れた瞬間、涼の体が大きく震えた。低い声が、漏れる。自分の名前が、掠れて呼ばれる。それが、ひどく愛おしくて、さらに丁寧に、熱を込めて動かす。


二人の吐息が、重なり合う。

涼の指が、自分の内側で、より深く、熱を帯びて動き続ける。甘い快楽が、徐々に高まり、波が、大きく、大きくなっていく。体が、震える。視界が、わずかに白く霞む。涼の額が、自分の額に寄りかかり、吐息が完全に混じり合う。


「葵……俺は、お前だけだ」


その言葉が、胸の奥に直接落ちる。

快楽の波が、頂点に達した瞬間、甘い声が、抑えきれずに漏れた。体が大きく反り、熱が、全身を駆け巡る。溶けるように、深く、夜の奥へと沈んでいく。涼も、同じように体を震わせ、低い声を漏らしながら、自分を強く抱きしめた。


余韻の中で、唇が、額に、目尻に、頰に、優しく落ちる。

乱れた呼吸を整えながら、彼は自分の髪をゆっくりと撫でた。


「……好きだ。十年分、ずっと」


低い声。確かな熱を帯びて。

葵は、彼の胸に顔を埋め、小さく、しかしはっきりと答えた。


「私も……好き。ずっと、好きだった」


夜は、まだ深く、二人の体温で、ゆっくりと溶けていく。

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