表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界妖怪奇譚〜雪女の場合〜  作者: るうと280
PR
8/34

第7話:帰還、そして王都へ凱旋


今回の調査任務を終え、私たちは街への帰路についていた。


私は新しく従魔になった雪華せっかの背に乗っている。フェンリル状態の雪華はとても大きいので、レイラさんたち女性陣全員が一緒に乗ってもびくともしない。至高のもふもふに包まれる移動空間、これだけで転生してよかったと思える。


けれど、街の門が近づいてきた頃、レイラさんが困ったように眉を下げた。


「うーん、このままだと雪華ちゃん大きすぎて、街の門を通れないかも。一般の人たちもパニックになっちゃうし……」

「がう?」


私の膝元に顔を寄せてきた雪華が、短く鳴いた。


「え? 小さくなれるの? そうだね、秋田犬くらいになれるかな?」


あ。

また前世の癖で、この世界の人にはわからない「秋田犬」なんて単語を口にしてしまった。


「……っと、これくらいの大きさになれる?」

「ワフ!」


私の意図を察してくれたのか、雪華の巨体が眩い光に包まれる。光が収まると、そこには見事に(秋田犬くらいのサイズの)中型犬サイズになった真っ白なもふもふ狼が座っていた。


「……賢いね。えらいえらい」


私は表情筋を完全にピキピキに凍らせたクールなお嬢様の顔のまま、無言で雪華の頭を優しく撫でてあげる。心の中の元気印は『天才! 私の雪華ちゃん世界一可愛い!!』と大はしゃぎしているけれど、表には絶対に出さない。それが雪女の矜持。


すると、その様子をじっと見ていたコテツちゃんが、両手をグーパーさせながら限界そうな顔で近づいてきた。


「せ、せ、拙者も……拙者も撫でていいかな!? いいかな!?」

「……多分、大丈夫」


私が許可を出すと、コテツちゃんは目を輝かせて雪華の毛並みに飛び込んだ。


「うわぁぁ〜〜! もふもふだ〜〜!」

「お、じゃあ俺も――」


調子に乗って手を伸ばしてきた男の団員A(懲りないナンパ野郎・本日4回目)。


ガブッ!!!


「ギャァァァァァァァ!?」

男の悲鳴が森にこだまする。男はダメ。速攻で噛まれた。

首を食いちぎらないなんて、本当に雪華は賢くてえらいね。

あんなの食べたら、お腹壊しそう。


無事に街へ戻り、役場への報告を済ませた後。

レイラさんから、森の異常凍結(私が冷気を漏らしていたアレ)も完全に収まったため、明日には王都へ戻ると告げられた。


「そこでなんだけど、氷麗ちゃんはどうする? 正式な団員ってわけじゃないから、ここで自由に行動してもいいんだよ?」


そう言うレイラさんの目は、あからさまに「期待」で満ちていた。目の奥に『私を王都に連れて帰って毎日めでたい』とデカデカと書いてある。


実はこの数日、宿舎のお風呂で一緒だったのだ。

レイラさんには双子のアイラさんがいるじゃん、と思ったけれど、どうやら「年下枠の女の子」は別腹らしい。男からのナンパとはまた違う意味で生存の危機を感じたのは、ここだけの秘密だ。


さて、これからどうしようかな。

長生きするための拠点探しも必要だし、熱くない安全な場所がいい。


「……うん。レイラさんたちに、ついて行ってみようかな。色々なことは、王都に行ってから決める」


私がツンとした顔のままそう告げると。


「やったぁぁぁーーー! ツララちゃん大好き!!」

ぎゅうううううっ!


「……っ!?」


レイラさんに勢いよく抱きしめられ、そのまま頭をわしゃわしゃとナデナデされた。

急な体温に一瞬びっくりしたけれど……不思議と嫌な熱さじゃない。


(……まぁ、これはこれで、悪くないかも)


クールなポーカーフェイスの下で、ほんの少しだけ頬を緩ませてしまった私だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ