第5話:自己紹介は簡潔に?
レイラさんに連れられて宿舎の食堂へ向かうと、そこに騎士団の「女子」メンバーが集まっていた。男だらけのむさ苦しい宿舎に、こんな癒やし空間が存在していたなんて。
「みんな、集まってくれてありがと。今日からしばらく私たちと同道することになった、氷麗ちゃん。みんな自己紹介よろしく!」
レイラさんの言葉を皮切りに、女の子たちが順番に口を開く。
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個性豊かな女性騎士メンバーは以下に・・・簡単でいいよね。
ミナちゃん(経理助手)
丸メガネが似合う知的な女の子。挨拶の第一声が「はじめまして。ちなみに団長たちの飲み会は絶対に経費で落としません」だった。お堅いけどブレない姿勢、好き。
アイラさん(調理担当)
レイラさんの双子の妹さん。お姉さんとは対照的に、おっとりしたお姉様癒やし系。とにかくご飯を作るのがめちゃくちゃ上手いそうだ。聖母。「氷麗ちゃんは好き嫌いある」「虫料理はダメです」
メイちゃん(調理助手)
中華風の服を着た活発な子で、中華的料理担当。太極拳の達人、挨拶しながら見事な演武のポーズを決めてくれた。頭のお団子が可愛い。
レナさん(探索・諜報要員)
影からスッと現れた、スタイリッシュな洋風忍者。クール系かと思いきや、私の着物を目の前にして「……可愛い、和風いいよね……」と小声で限界化していた。気が合いそう。ゴシックマニア
コテツちゃん(騎士見習い)
はるか遠くの国の「サムライ」の家系らしい。腰には大小の刀を刺していた。12歳の私より少し年上くらい。凛々しいポニテ。 イッツ ア サムライガール!騎士道ならぬ武士道を突き進んでいる。健気で最高に可愛い。「氷麗殿のお召し物は、拙者の国の着物に似ているでござる」ござるガールだった。
(……な、なにこの空間。みんな個性的で、めちゃくちゃ可愛いんだけど……っ!!)
前世の「可愛いもの好き」な元気印が、脳内でスタンディングオベーションを送りながらのたうち回っている。コテツちゃんを今すぐ抱きしめてもふもふしたい(※人間だけど)。
けれど。
ここで鼻血を出して倒れるわけにはいかない。
「……氷麗です。よろしく、おねがしましゅ」
どえええ、噛んじゃった。
とは、決して表に出さない。
私はツンとすました表情のまま、小さくお辞儀をした。
「おおお、氷麗殿は我が国の作法にも精通していると見えるでござるな」
表情筋は完全にマイナス40℃。どれだけ内心が狂喜乱舞していても、決して表には出さない。それが「雪女としての矜持」であり、私のライフラインなのだから。
「うんうん、よろしくねツララちゃん! ちょうど夕飯ができたところだから、一緒に食べましょ」
アイラさんが優しく微笑み、大皿に盛られた料理をテーブルに並べてくれた。
今日のメニューは、アイラさん特製の肉煮込みと、メイちゃん特製の中華風炒め物。湯気と一緒に、脳髄を揺さぶるような良い香りが鼻腔をくすぐる。
(あ、でも、私って雪女だし。熱いものダメって言ったし、溶けちゃうかも……)
一瞬不安がよぎったけれど、私には転生時に執念で取得した【熱耐性】がある。
恐る恐る、スプーンで熱々の肉煮込みを口に運んでみた。
「…………っ」
美味しい。
信じられないくらい美味しい。じっくり煮込まれたお肉が口の中でとろけて、スパイスの旨味がじゅわっと広がる。熱耐性のおかげで、体が溶ける気配も一切ない。温泉に入る前に、こんな最高の形でスキルの恩恵を受けるなんて。
「どうかな、口に合う?」
アイラさんが心配そうに覗き込んでくる。
「……うん、美味しい」
私はやっぱり、クールなお嬢様感を微塵も崩さないまま、冷徹な美少女の顔で淡々とスプーンを動かした。
(美味しいぃぃぃ! 生きててよかったぁぁぁ! いや死んだけど! おかわり! おかわりください聖母アイラ様――っ!!)
心の中で限界突破の絶叫をあげながら。




