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異世界妖怪奇譚〜雪女の場合〜  作者: るうと280
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第17話:第二回河童釣り、のち、国家プロジェクト?


私たちはカインを引きずりながら、さらに流れの激しい上流のポイントへと移動した。

「せめて、抱えて」

「「「(でござる)」」」


そして、再びカインを激流へとドプンと投入した、その直後。


ブチィィィィィンッ!!!


「「「あ」」」


激しい水圧に耐えかねて、カインの腰に結んでいた頑丈なロープが、無情にも真ん中から激しく千切れた。


「ぶくぶくぶくぶく……(流されるカインの手)……ッ!?」

「カインどのーーーっ!?」


コテツちゃんが叫ぶ中、聖剣使い(笑)はもの凄いスピードで下流の彼方へとどんぶらこっこと流されていった。


私は、ツンとすました表情のまま、流されていく男の影に向かって、そっと胸の前で両手を合わせた。

(……合掌。強く生きてね)


男のことは一旦忘れて本題に戻ろう。

やっぱり人間を餌にするのは効率が悪い。私はアイラさんから貰った『油』をお皿に薄く塗り、その上に新鮮な『きゅうり』をいくつか乗せて、川辺の大きな岩の上にそっと置いてみた。


すると。


ペタペタペタペタペタペタッ!!!

「「「「きゅ、きゅうりだにゃーーーっ!!」」」」


入れ食いだった。

岩陰や川底から、緑色の甲羅を背負った生き物たちが、一斉にわらわらと狂ったように湧き出してきた。


河童の親分との交渉


とりあえず実力行使(絶対零度)で威嚇しておとなしくさせ、穏便に話を聞くことにした。私の肩の上では、子猫サイズのミケが「吾輩よりお調子者そうなやつらにゃ」と猫耳をピコピコさせている。


そこに、群れのボスらしき『大ガッパ』が姿を現した。

……大ガッパ、という割には、体長はおよそ150センチほど。人間の成人女性より少し小さいくらいだ。

周りの一般河童たちをよく見ると、平均80センチくらいしかない。ちっさ! 完全にマスコットサイズである。可愛いから許す。


大ガッパは、私の冷気(威圧)に冷や汗を流しながら、ペコペコと頭の皿を下げて事情を話してくれた。


「わしらは別に、人間に害をなしたいわけではないんじゃ。ここ最近の気候変動で、山奥の住処と食糧きゅうりがなくなってのぅ……。それさえ保証してもらえるなら、二度と村で悪さはせん約束をしよう」


私は真っ白な雪華の頭をもふもふしながら、冷徹なジト目で大ガッパを見つめた。


「……働く?」


ただできゅうりをあげるほど、私は甘くない。働かざる者食うべからず、とあのゴリラ辺境伯も言っていた。


「働け、とな? わしら河童に、一体何をしろと言うんじゃ?」

「……治水」


河童なら、水のコントロールに関しては人間より遥かに詳しいはずだ。川の流れを読み、土手を補強し、大雨の際の洪水を未然に防ぐことだってできるに違いない。


「お安い御用だ。水のことなら、わしらの右に出る者はおらん」

「……国全部。いける?」

「な、国全部とな!? スケールが大きいな……! だが、ここにいる一族の若い奴らを各地の水辺に遣わし、ネットワークを作れば不可能ではない」


私は、80センチほどのミニ河童たちをじっと見つめた。

「……小さい、大丈夫?」

「こう見えても一端の河童族じゃ! 土木作業や水の誘導なら任せて問題ない!」


大ガッパが胸を叩く。よし、交渉成立だ。


「……代表者、一緒に王都に来る」

「ふむ。では、族長であるわしが行こう」

「ん」


私は満足して、小さく頷いた。


王都周辺の川やため池の管理、ひいては国全体の治水事業を一手に担う『河童専門部隊』の誕生である。

怪異の調査を命じたら、なぜか緑色の河童の親分を連れて王都に帰還する私を見て、あのゴリラ団長(レオパルド辺境伯)が一体どんな顔をして腰を抜かすか、今から目に浮かぶようだ。


「ミャー、ところでカインは放置でいいのかにゃ?」

「……(がんばれ)」


私はツンとすました顔のまま、再び下流の方に向かって無言で頑張れポーズを送り、河童の親分を連れて意気揚々と王都への帰路につくのだった。

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