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異世界妖怪奇譚〜雪女の場合〜  作者: るうと280
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第16話:河童釣りします。



苦情のあった川辺に到着した私たちは、さっそく異世界河童を誘い出すための作戦を実行。


題して、【河童釣り作戦】。


「さて、釣るとなれば当然『餌』が必要なわけだけど……」


レナさんが顎に手を当ててそう呟いた瞬間。

私、レナさん、コテツちゃん、そしてミケの視線が、示し合わせたかのように同時に一人の男へと集中した。

うん、当然の帰結。


視線の先には、きょとんとするカインwithエサ。


(……うん。男を見せるのだ、カインくん)


私は声を出さず、ジト目で「お前が行け」と強い圧力をかけた。


「え!? いや、ちょっと待って! 普通そういうのって、きゅうりとかじゃないの!? なんで俺をそんな目で見るの!?」

「カッパは、尻子玉が好物」

「カイン、これも故郷の村を救うためよ。諦めなさい」

「カイン殿、お覚悟ーーっ!」

「ひゃああっ!? レナ先輩、コテツちゃん、引っ張らないで! 服を剥かないでぇーっ!!」


抵抗虚しく、カインは優秀な白狼騎士団の女子二人によって、あっという間に剥かれてしまった。

インナーが残ったのは、誰もカインのものなんかは見たくないからだ。

そして、腰に頑丈なロープをぐるぐる巻きに括り付けられる。


ドプンッ。


小気味いい音を立てて、カインはそのまま冷たい川へと放り込まれ、仕掛けのようにどんぶらこと流されていった。


あとは、雪だるまの任せよう。


川辺での女子会(カイン放置中)


カインを川に流してから、しばらくの時間が経過した。

私たちは川辺の岩場に腰掛け、アイラさんが持たせてくれた美味しい焼き菓子を食べながら、のんびりと歓談していた。


「そういえば、王都のあの新しいお菓子屋さん、もう行った?」

「気になってたござるよ! 今度一緒に行くでござる!」

「ミケちゃん、それ美味しい?」

「ミャー! サクサクしてて最高にゃ!」


私はもっぱら聞き役に徹しつつ、時折フンスと相槌を打ちながら、足元の雪華をわしゃわしゃともふもふしていた。カインが川の中で「ぶくぶくぶくっ!」と溺れかけている音がBGM代わりに聞こえるけれど、気にしたら負けだ。


しばらくして、私はお菓子のクズをパッパと払い、川の方へと視線を向けた。


「……かからないね」


私はツンとすました声で呟いた。

カインという最高に活きのいい(?)餌を投入したというのに、河童どもが食いついてくる気配が全くない。冷気レーダーにも反応がない。


「ポイント変える?」


レナさんが「そうね、もう少し上流の、流れが澱んでいる場所か、逆に激しい場所に行ってみましょうか」


ロープを引っ張られ、川底の石に頭をぶつけながらズタボロの状態で引き揚げられたカインが、白目を剥きながら激しく咳き込んだ。


「ごほっ、げほっ! げほっ!……い、いや、ちょっと待ってツララちゃん……! これ以上流れが激しい場所に移動したら、河童に釣られる前に俺、ガチで死んじゃうから……!!」


涙目で必死に訴えかけてくる聖剣使い(笑)。

ちゃん呼び許したかな?


「氷麗様、どうかお慈悲を」

どうやら、私の無言の意図は通じたらしい。


(……大丈夫、根性さえあれば何とかなるよ)


私は相変わらずマイナス40℃の無表情のまま、両手をきゅっと握りしめて、胸の前で小さく上下に動かした。


【がんばれ、がんばれ】


声には出さない。ただ、冷徹極まりない「頑張れポーズ」で、カインくんを最大限に激励してあげた。


「目が! 目が1ミリも応援してない上に、めっちゃゴミを見る目になってるよぉぉぉぉぉ!!」


カインの悲壮な叫びが山々に木霊する。

まぁ、人間一度死ぬ目に遭うと成長するっていうし。

こうして、私たちはカイン(餌)を引きずりながら、さらなる激流ポイントへと移動を開始するのだった。

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