episode58
後夜祭が始まる前に一度雅臣と分かれ、クラスへと戻った明楽達はクラスメイト達からお礼を言われた。
「ありがとう!三人のお陰ですごい売上だったよ!」
「いや、ただコスプレしプレート持って文化祭楽しんでただけだよ?」
「そうそう!写真メッチャ撮られてたぜ(笑)」
「...早く着替えませんか?」
「後夜祭始まっちゃいますよ。」と薫子が言うと、明楽は「雅臣先輩待たせちゃってる!」と言い、勇真も「ヤベェ!薫子!逃げるなよ!」と捨て台詞を吐いてそれぞれ着替えにとりかかった。
「ふぅ...。制服ってこんなに楽なんだね。」
「ですね。肩コリました...。明楽。」
「ん?なんだい?」
「久々に"おまじない"、してくれませんか...?」
薫子の言う"おまじない"とは子供の頃、不安になる時に互いに抱きしめ合うものである。
「いいよ。おいで?」
「...ハイ。」
「心配いらないよ。勇真の気持ちには気づいているんだから何も怖くない。大丈夫。」
「...ありがとうございます。」
「それじゃあ行っておいで。」
「ハイ。」
明楽と薫子が教室を出ると、そこには勇真が待っていた。
「勇真。薫子をよろしくね。」
「おう。行こう薫子。」
「...わかりました。」
明楽はその場を去る二人の後ろ姿に手を振りながら、「上手く行きますように。」と思いを込めた。そして、「さて、私も行かなきゃ。」と歩こうとした時、背後から抱きしめられた。
「うわ!」
「...そんな驚く?」
「驚きますよ!はぁ...心臓にきました...」
「ごめんごめん。オレ達も後夜祭楽しも!特等席に案内してあげる。」
「特等席?」
「おいで。」と雅臣は明楽の手を引き少し歩くと階段を登り始めた。「後夜祭はグラウンドの筈なのに一体どこへ?」と明楽が思っていると、屋上に続く扉の前まで来た。
「雅臣先輩!屋上って立ち入り禁止ですよ!」
「大丈夫!次期生徒会長権限!」
「...え?」
「黙っていてごめん。今の生徒会長から頼まれて次の生徒会長になる事になったんだ。」
「それって...」
「うん。バイトも土日だけになっちゃうかな。」
「そう...ですか...」
「さみしい?」
雅臣はとんでもないカミングアウトをしてきたので、思わず呆然としてしまった。そして屋上へと足を踏み入れると柵のそばまで行き、明楽の両手を握ってきた。
「幸い、副会長はまだ決まっていないんだ。そこで明楽にお願い。」
雅臣のバックに花火が咲いたその時、
「明楽、副会長としてオレを支えてくれないかな?」
それに対する応えはー。




