episode51
勇真にとってのバイト初日であったが、持ち前のフレンドリーさと料理の腕前に、スタッフ達からはとても評判が良かった。そしてシフトの終了時間になると、佐々木が明楽と勇真の元へとやって来た。
「いやぁ、雅臣から推薦される人材はハズレがないから嬉しいよ。勇真もこれからよろしくね。」
「はいッス!」
「それじや、お疲れ様。気をつけて帰ってね。」
「「お疲れ様でした。」」
2人は佐々木に挨拶をすると店を後にした。勇真は明楽を家まで送ろうとしたが、明楽が「薫子に見られたら誤解されるかもよ?」と言うと「それは困る!」と言って途中まで一緒に帰って分かれた。そして明楽は家に着き玄関を開けると、自分の物ではないローファーが置かれていたので「もしかして」と思いリビングへと行くと、思った通り、薫子が訪ねてきていた。
「ただいま。薫子、いらっしゃい。」
「あら、明楽。おかえりなさい。」
「おかえり、明楽。」
「薫子。話があるんだけどいいかな?」
「?いいですよ。」
「じゃあ私の部屋に行こうか。」
「別にここでも...」
「いいからいいから。」
明楽はそう言うと、薫子の背中を押しながらリビングを後にして自室へと向かった。そして部屋に入り、2人してテーブルを挟んで座ると、明楽は「さて、どう切り出そうか...」と考えた。そうしているうちに薫子の方から声を発した。
「明楽。あなたの事ですからもしかして気づいているんじゃないですか?」
「え?」
「明楽、私に好きな人が出来たのに気がついているのでしょう?」
「...やっぱりそうなんだね。相手は勇真で合ってる?」
「そこまでバレてましたか。」
薫子は明楽がその勇真からまさか恋愛相談をせれているとは思っていないようだ。
「私...初めてなんです。男性にこんな気持ちを抱いたのは。」
「うん。私も今まで気づいたことなかったね。」
「...明楽と小鳥遊先輩が付き合い始めたとカミングアウトしたあの日、小鳥遊君と話ししていて、その時にえ、笑顔がその...可愛いって言われて...」
「勇真らしい直球さだね...」
「私、可愛いなんて家族や明楽からくらいしか言ってもらったことなかったので...い、意識してしまって...」
だんだんと顔を赤く染めていく薫子に、明楽は「こんな反応する薫子初めて見るな」と思った。
「じゃあさ。文化祭、勇真と一緒に周ったらどう?」
「ふ、二人でですか?!ムリ!ムリです!」
もの凄い勢いで否定されてしまったので明楽はどうしたものかと考えたが、急に"ピンッ"と閃いたのであった。それは...
「ダブルデートとか、どう?」




