episode42
宣言通りいくつかのショップを周り、明楽が雅臣の洋服をコーディネートしていった。どのショップでも「彼女さんとショッピングとかいいですねー」と店員から声をかけられた。そうしていくつかの洋服を購入すると明楽も満足した。
「これでおあいこですね!」
「まさか明楽に服を買ってもらうとは...着るのがもったいない気しかしない...」
「ちゃんと着てくださいね?」
そうしているうちにだいぶ時間が経っていた。明楽がスマホを見ると、佐々木から「もうそろっと来れる?」とLINEが入っていたので、明楽は「これから向かいます。」と返信した。そして雅臣に「夕飯食べに行きませんか?」と問い、彼から了承を得ると四季へと向かうため、ショッピングモールを後にして、再び電車で揺られることに。この時間は電車も混んでいて、席には座れず立ったままの移動となった。明楽は人混みに揉まれながら「しんどいな」と感じていた時、身体に違和感を感じた。最初は気のせいだと思ったのだが...どうやら痴漢のようだ。明楽はまさか自分が痴漢にあうなんて...と思いながらも、こういう時、本当に声が出せないものだと実感した。明楽が痴漢に対して嫌悪感を抱き震えていると、それに気づいた雅臣が「明楽?」と声をかけてきた。が、今の明楽に返事をする余裕がなく、涙目で雅臣を見るしか出来なかった。それに対して雅臣は何かを察したようで、明楽の足を撫でていた痴漢の腕を掴んだ。雅臣は怒り心頭になっていたようで、痴漢の腕を掴む手には強い力が込められていて、それに加えてとてつもなく低い声で「次の駅で一緒に降りてもらう。」と言い痴漢をビビらせた。そして駅に着くと、駅員に痴漢を引き渡し、軽く調書を取られた。その間、明楽はずっと雅臣の手を握って離さなかった。調書から解放された後、雅臣は明楽に「もう大丈夫だよ」と声をかけると、明楽は安心したのか立ち上がり雅臣に抱きついた。
「あ、明楽?!」
「怖かった...。声、出せなくて...。気づいてくれてありがとうございます...!」
抱きついた明楽に顔を赤くした雅臣だったが、彼女が静かに涙を流していることに気がつき、そっと抱きしめ返した。
「ごめんね。混むような時間避ければよかったのに...」
「わ、私が移動しようって言ったから...雅臣先輩は悪くない...」
互いに自分が悪いと言い合ってキリが無くなってしまったのがおかしくなり、2人は笑みを零した。
「あと一駅分あるけど、電車じゃなくて歩いて行こう?少し落ち着くと思うし。」
「...ありがとうございます。...あの、手は繋いでいてもいいですか...?」
明楽の申し出に雅臣は「可愛すぎるだろ...」と思いながら、「もちろんですよ。オレのお姫様。」と手を繋いだ。




