episode37
そして自室へと戻ってくると、明楽は昨日薫子から貰ったメイク道具で教わった通りにメイクをしていき、次いで昨日買ったスカートとトップスに着替えて全身鏡を見ながら変なところがないかチェックをした。鏡を見る限り、明楽的には大丈夫かと思ったので、そのまま持ち物の準備をした。準備をしている最中に、スマホから"ピロン"と音が鳴ったのでスマホをチェックすると、雅臣から「これから迎えに行く」とのLINEであった。明楽は「了解しました。」と返信すると、急いで準備を終わらせ、バッグとスマホを持ち再びリビングへと足を踏み入れた。すると、母は「やっぱりこういう服も似合うわぁ!」と明楽に近寄り、父は目をまん丸くして明楽を見つめていた。
「ど、どうかな...?変じゃない?」
「変じゃないわよ!とっても可愛らしいわ!ね、お父さん!」
「あ...あ、あぁ!普段見慣れない分新鮮でいいな!よく似合ってるぞ!」
両親にそう言われるのはやはり気恥しいものである。
「やっぱり、そのコーディネートにして正解でしたね。まるでモデルさんのようですよ。明楽。」
「ありがと...って、薫子?!なんでいるの?!」
「明楽が困っていたら助けて差し上げようと思いまして。」
突然現れた薫子に、明楽は「心臓に悪いよ。」と呟いた。そうこうしているうちに"ピンポーン"とチャイムが鳴ったので明楽はバタバタと玄関へと向かい、靴を履いてドアを開けた。そこにはオシャレなデート服に身を包んだ雅臣がいた。明楽はその格好良さに。雅臣は初めて見るどこからどう見ても女性らしい姿の明楽を目にし、2人とも見つめ合いながら固まってしまった。
「あらあら、おはよう雅臣君!お誕生日なんですってね!おめでとう!」
「あ、...お、おはようございます。ありがとうございます。」
「あら?もしかして...明楽の可愛さに見惚れちゃった?」
「!!」
母の言葉に雅臣は顔を真っ赤にしてしまう。そんな雅臣の姿に母は「あらあら、まぁま!」と言って明楽の背中を押した。
「ささ!2人とも固まってないで!でーと、楽しんでらっしゃい!」
母に押された勢いで、明楽は雅臣の胸に飛び込む形になった。バランスを崩した明楽を支えると、雅臣は「大丈夫?」と声をかけてきた。
「だ、大丈夫です。...ありがとうございます。」
「なんか今日の明楽、明楽じゃないみたい...。可愛さ倍増ってやつかな?」
「何言ってるんですか?!」
「うんり可愛い!それじゃあ、明楽。行こうか。」
明楽と雅臣が外へ出ると、扉の向こうから3人分の「行ってらっしゃい」が聞こえた。それに2人は「行ってきます」と応えた。




