episode33
時は流れて学生達にとって楽しみにしていた休日となった。明楽の日曜日は雅臣との誕生日デートで、土曜日である今日は薫子とのショッピングの約束日だ。今日の服装は薫子がコーディネートしてくれるので、明楽は薫子が家に来るのを待っていた。そこへ"ピンポーン"とチャイムが鳴ったので、明楽は玄関へと向かいドアを開ける。するとそこには紙袋を持った薫子が立っていた。
「おはようございます。さぁ、おめかししますよ!」
「か、薫子...その紙袋は一体...?」
「貴方のおめかし道具です。さぁさ、明楽のクローゼットを見せてください。」
明楽が薫子を家に上げ、自室へと通すと、薫子は躊躇いもせずに明楽のクローゼットを"バーン"と開けた。そこに並んでいるのは、どれもシンプルだったり、ボーイッシュな物だったり。薫子はそれを見て「うーん」と考えていると、ふと、クローゼットの隅に置かれている袋が目に入った。
「?明楽、コレは?」
「!こ、コレは..!!」
明楽は慌てて袋を奪おうとしたが時既に遅し。薫子の手によって中身が広げられた。...そこにはスカートやワンピースと言ったものは無いにしろ、どう見てもレディースだとわかるような、可愛い系の服があった。
「...貴方、持ってるじゃないですか。可愛い服。」
「いや、コレは...お母さんが勝手に買ってきただけで...」
「なるほど、おばさんが。」
可愛い系だが流石母親とでも言うものか。どれも明楽に似合いそうなものばかりであった。薫子は「これならここにある服をベースにスカートを何着から見繕えば大丈夫か」と考えた。
「試しに今日はこのピンクのシフォンブラウスに、デニムのスキニーを合わせて、靴はこのパンプスを合わせましょう。」
「い、いきなりピンク?!」
「大丈夫大丈夫。おばさんのセンスは信用できますから。ハイ。コレに着替えて下さいな。」
「うぅ...」
明楽は薫子に押される勢いで着替えを始めた。シフォンブラウスには小さなフリルがあしらわれていたため少し躊躇ったが、思い切って袖を通した。そうしてスキニーを履くと着替えは終了。明楽はベッドに腰をかけ、スマホを弄りながら明楽の着替えを待っていた薫子に声をかけた。
「...薫子、着替えたよ。」
「ハイハイ。...まぁ!可愛いじゃないですか!良くお似合いですよ!」
「コレ、私には可愛すぎやしない?」
「何言ってるんですか。今日はスカートを買うつもりでいるんですよ?」
「制服ですらスカート似合わないのに...」
「...そんなこと思ってたんですか?普通に似合ってますけど...」
薫子は初めて明楽が制服姿に自信がないのを知った。もう少し自信を付けさせなくてはな、と思いながら、薫子は明楽をテーブルの前に座らせて紙袋からポーチをいくつか取り出した。実は薫子には年の離れた姉がいるのだが、その姉が「もう使ってない物だから好きに使って。」と渡してきた物である。中身は言わずもがな、メイク用品である。
「さぁ、明楽。もっと可愛くなるためにメイクしますよ。コレは姉が譲ってくれた物なので、そのまま明楽に差し上げます。だから簡単なメイクも覚えましょう。」
「...ハイ...」




