episode30
晴れて恋人同士となった明楽と雅臣。明楽はそれが信じられなくて、まるで夢を見ているかのような気分であった。そして明楽は自身の恋を応援してくれていた幼馴染みで一番の理解者である薫子に報告することにした。
「もしもし。薫子、今大丈夫?」
「明楽ですか。バイトお疲れ様です。大丈夫ですよ。」
「...実は報告しなくちゃいけないことがあって...」
「報告?なんですか?...もしかして、小鳥遊先輩に告白でもしましたか?」
「え...」
「...え?」
正しくは告白"された"側であるが、薫子に見事に言い当てられ言葉を失ってしまった。
「明楽、貴方とうとう...」
「違う!いや違くはないんだけど...」
「どっちですか...」
明楽がしどろもどろになりテンパっていると、薫子は「落ち着いてください。」と声をかけた。
「いいですか?順を追って説明して下さいな。」
そう言われ、明楽は呼吸を整えて、バイトの帰り道の出来事を話した。一緒にいたいと伝えたら、好きだと告白されたこと。日曜日にデートすることになったこと。一通り説明し終わると、薫子が「フフッ」と笑った。
「良かったですね明楽。初恋は実らないと言いますが、実ったじゃないですか。」
「もう、夢みたいだよ...。でもデートだなんてどうしよう。私デートに着ていく様な服なんて持ってないよ...。それに、誕生日プレゼントだって用意しないといけないし...」
明楽が少し沈んだ声を出すと、薫子が「だったら」と言葉を発した。
「明楽、土曜日もバイトは無いんですよね?」
「え?うん。ないけど...」
「だったら私が付き添いますから買い物に行きませんか?」
「...ありがとう、薫子。凄い助かるよ。」
「じゃあ、土曜日は私とショッピングデートして下さいね?小鳥遊先輩より先に可愛くなった明楽を見せてくださいな。」
「幼馴染みの特権です。」と言うと、明楽は「なんだか恥ずかしいな。」と言う。
「土曜日は私にコーディネートさせて下さい。明楽の持っている服でも少しでも女の子らしいコーディネートして差し上げます。」
「...私スカートとか持ってないよ?」
「スカート姿は小鳥遊先輩に見せて差し上げて下さい。小物使いでも女性らしさは出ますから。ね?」
薫子にそう言われ、明楽は「ありがとう。よろしく。」と伝え、「それじゃあ、また明日登校時に。」と言って電話を切った。
「...初恋は実らない...ですか。自分で言っておきながら。でも明楽が幸せになるなら私は応援しますよ。なんてったって明楽は、私の王子様でナイトなんですから。」
何を言おう、薫子の初恋は明楽であったのだったから。




