episode27
「いやぁ、まさか勇真があそこまで明楽に懐くなんてね...」
「珍しいんですか?」
「うん。あまり周りを信用しない節があってね。まぁ、アメリカにいた時に日本人と言うだけでイジメに近いことがあったのが原因みたいで...」
放課後になり、明楽が雅臣とバイト先へと向かいながら話しをしていると、話題は勇真のことになっていた。
「オレとビデオ通話している時はムリにでも明るく振舞っていた様だから、オレもその事を知ったのはさほど昔ではないんだ。」
「...そーだったんですね。」
「だから少し嬉しいんだ。明楽のお陰で元の明るい勇真に戻ってくれたから。...ホントにありがとう。」
雅臣が明楽に礼を言うと、明楽は「いえいえ!私は何も!」と返した。その後に「まさか恋敵になるとは思わなかったけど。」と言う雅臣の言葉は聞こえていなかった。
「まぁ、とりあえず、勇真のバイトのことは店長に相談してみてからだなぁ。」
「たしか、キッチンスタッフは募集してるんですよね?」
「そうそう。まぁ、アイツなら大丈夫だと思うけどね。」
「勇真の作るお菓子凄い美味しいですもんね。」
「弁当も自分で作ってるんだよ。」
たしかに思い出してみると、勇真の弁当は毎日色とりどりで、栄養バランスも良さそうな豪華な弁当だったなぁ、と明楽は思った。それなら、喫茶店のキッチンスタッフには持ってこいな人材であるだろう。
「意外な特技ですね(笑)」
「だね(笑)まぁ、その所もアピっておくから、面接でアイツがヘマしなければ即戦力になるだろうね。」
そんな話しをしているうちに2人はバイト先の喫茶店にたどり着いた。かと思いきや、店には短いが列が出来ていた。2人は顔を見合せどういう事かと思い、表からは入れそうにないので、店の裏口から入る。すると店長の佐々木が「お疲れ!」とアセアセとやって来た。
「どーしたんですか?あの列...」
「いやぁ...どーもクチコミサイトでウチの評価が爆上がりしているみたいでね。それもこれも、キミ達2人のお陰なんだよ!」
「私達...ですか?」
「なんでも、"ホールスタッフさんに王子様が2人いる""料理も美味しいが、接客が丁寧で、カッコイイ"。だって!」
「ハ、ハァ...」
佐々木は興奮気味に言うと続けて2人に「今日も馬車馬の如く働いてね!」と言い残し2人の元から去って行った。




