episode26
「そう言えば明楽、お前バイトしてるんだって?」
勇真が持っていたタッパーを片しながら明楽へ問いかけた。
「うん。喫茶店でホールスタッフのバイトしてるよ。」
「いつからしてんだ?」
「最近始めたばっかり。なんで?」
明楽は疑問に思い聞き返すと、勇真は口をもごもごとさせながら応えにくそうにしている。そんな様子に明楽の疑問は深くなり、勇真をジッと見つめた。明楽に見つめられ、勇真は顔を赤らめながら「だって」と意を決して言葉を続けた。
「だって明楽、放課後スグ帰るだろ?んで皆に聞いたらバイトしてるって言うから...」
「...なるほど、それで。」
「オレも明楽と遊びてぇよ!」と勇真が言うと、その様がまるで飼い主に構って貰えない大型犬のように見えてしまい、明楽は「うっ」と罪悪感を感じてしまった。
「なぁ、そのバイト、オレも出来ねぇか?」
「...私も紹介してもらって入ったから流石に...」
「紹介?誰からだ?」
「えぇ...と...」
明楽が言い淀んでいると、タイミングが良いのか悪いのか。雅臣が明楽達の教室へとやって来て、「明楽!」と呼んできた。
「雅臣先輩?どうしました?」
「LINEしたんだけど既読付かなかったから来ちゃった。今日のバイトのことなんだけど..」
雅臣が「バイトのこと」と言うのを聞いた勇真が「もしかして!」と大声を出した。
「ビックリした!勇真じゃないか。どうかした?」
「明楽にバイトを紹介したってのは雅臣?!」
「?そうだよ?」
雅臣が肯定すると、勇真は「だったら!」と言葉を続けた。
「オレもそこでバイトしたい!雅臣ばっかりズリぃ!」
「ズルいも何も...オレ達は仕事しに行ってるんだよ?」
「それでも!..オレじゃダメだってのか?」
勇真は雅臣を恨めしそうに見ると、雅臣は「ハァ」と息をつき、「キッチンスタッフなら募集してるよ。」と応えた。
「それでもいいなら紹介してあげる。勇真、料理得意だろ?」
「おう!それでかまわねぇ!」
こうして、勇真はキッチンスタッフのバイトを紹介して貰えることに。そして、雅臣の用事は今日の勤務時間の変更を告げることらしく、それを伝えたら「またね。」と言い去って行った。どうやら店長の佐々木からのLINEにも気づかなかったため雅臣が伝達しに来てくれたというわけなのであった。




