episode25
翌日、明楽が薫子と登校すると、早速大型犬...勇真が明楽の元へとやってきた。
「おはよう!明楽!西園寺も!」
「おはよう、勇真。いつも遅刻ギリギリなのに今日は早いね。」
勇真は「グッ」と一瞬うなるが、すぐ持ち越し「それはそうと!」と話しを切り替えた。
「今日はバタークッキーを焼いてきたんだ!...食ってくれるか?」
勇真はそう言うと、手に持っていたタッパーを明楽へと差し出してきた。タッパーからは甘くいい匂いがして、食欲をそそられた。
「美味しそうだね。1枚貰っていい?」
「おう!1枚とは言わずにたんと食ってくれ!西園寺もよかったら!」
「私も?ありがとうございます。」
明楽と薫子は揃ってタッパーから1枚ずつクッキーを取り出し口へと運ぶ。口の中にはバターの風味と甘さが広がり、まるでお店で出しているような出来栄えだった。
「勇真...コレお店出せるよ!すごい美味しい!」
「ですね。...私もお菓子作りしますけど、ここまでのものは作れません。」
明楽達がそう言っていると、クラスメイト達が集まってきて、皆、自分も食わせろと集まってきた。
「小鳥遊ー、オレ達にもそのいいもん食わせろよ。」
「花ヶ崎達ばっかりズルいじゃねぇか。」
勇真は仕方ないとばかりに「しょーがねぇからな!」と言うと、皆にタッパーを差し出した。するとクラスメイト達が群がってきて、タッパーの中身は瞬時に空になった。
「ホントだ、メッチャうめぇ!小鳥遊プロじゃん!」
「意外な特技だよね!今度作り方教えてー!」
クラスメイト達の反応に、勇真は満更でもない気分になり、「このクラスのおやつはオレが作ってきてやる!」と言い出した。
「勇真...それは大変だよ?材料費もバカにならないよ?」
「む...それなら月一ならどうだ!」
「それなら...良いのかな...?」
「明楽には前約束した通り、週一で作って来るからな!」
勇真は明楽にそう言うと、ニカッと笑った。明楽は「皆と一緒でいいのに...」と言うが、勇真は頑として譲らなかった。
「ダメだ!そもそも今日のコレもお前のために作って来たんだからな!」
「...わかったよ...」
明楽は肩をガクッと落としながらそう言うと、勇真は嬉しそうに笑った。その様子は、飼い主と大型犬の忠犬と言ったところであった。




