変化する情勢のなかで
オリジナルのキャラクターが登場します。
1645年(隆武元年)8月 福建省平海衛
福州では朱聿鍵が皇帝に即位し、浙江の紹興では魯王朱以海が監国を称した。広西では靖江王朱亨嘉も監国を自称し、明の旗を掲げる者が各地で乱立した。乱世はまた一つ、混沌の層を重ねた。
だが平海衛の路地では、子どもたちが走り回っていた。
朱慈煥——いや、「朱文」は今日も路地の端に腰を下ろし、四人の子どもたちを眺めていた。
一番足が速いのは陳海生だった。漁師に生まれた男の子で、年は十歳ほど。朝から浜で網を引く父親を手伝っているせいか、足腰が妙にしっかりしている。鬼ごっこになると誰も捕まえられないくせに、逃げるときだけ本気を出すという要領の良さがあった。
「阿福、そっちじゃないぞ!」
呉阿福が路地の袋小路に迷い込んで、海生に捕まった。呉家の商家の子で、年は九つ。丸々とした顔に、いつも笑みが浮かんでいる。走るのは遅いが、なぜかいつも一番楽しそうだった。
林虎子が壁を蹴って飛び越えた。武官の林家の傍系の子で、十一か十二か。四人の中では最年長で、体つきも一番がっしりしている。鬼になると妙な気迫で追いかけてくるので、朱慈煥も本気で逃げたことがあった。
その後ろをちょこちょこついて回るのが林石頭だ。虎子の親戚で、年は七つか八つ。頭が大きく、走るたびに体がふらふらする。転んでも泣かない。ただ黙って立ち上がって、また走り出す。
朱慈煥は最初、彼らと打ち解けるのに時間がかかると思っていた。書生風の見慣れない顔が路地に現れて、急に遊ばないかと声をかけてきた——子どもたちが警戒するのは当然だった。
だが鬼ごっこを教えてから三日で、その距離は消えた。
子どもというのは単純で、正直だと思った。面白ければ受け入れる。それだけだった。
——そういえば、こんな風に楽しく走ったことはなかった。
朱慈煥は路地の喧騒を眺めながら、静かに思った。皇子という立場が、そういうことを全て遠ざけていた。転生してからも、常に何かを考えながら動いてきた。ただここにいるだけでいい、という時間が、これほど穏やかなものだとは思っていなかった。
虎子が石頭を抱えて走っているのが見えた。石頭の足が地面から離れている。石頭は特に抵抗もせず、ぶらぶらと揺れていた。
朱慈煥は少し笑った。




