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明末の麒麟児  作者: sawami
第2章
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済寧

 天津から出発した遠い道のりは実に退屈しないものだった。

 済寧までに滄州、徳州、臨清、聊城、南旺といった都市を少し見て回ったり、郷紳の家族と話し込んだりした。

 朱慈煥にとって孤独な旅路を彩る、貴重な時間だった。

 そしてついに済寧の港に着岸した。

 「済寧...一度見たことあるけどやっぱり現代とは違うなぁ」

 「何か言いましたか?」

 「いえ何も」

 済寧...その名は、自分にとって聞きなれないものではなかった。前世の知識が、かすかに蘇る。古くは春秋時代から学問が栄えた都市で儒教で有名な孔子や孟子などが輩出している。

 また中原(中華文化の発祥地である黄河中下流域にある平原)の物資集散の地として経済発展した都市であり絹織物や綿織物で経済発展した蘇州と比べられ「江北小蘇州」とも呼ばれていた。

 港に降り立つと、北京や天津ほど雰囲気は暗くなく活気が満ちていた。運河の岸辺には、大小Sマ座間な船が行き交い、商人たちの活気ある声が響き渡る。街の風景は兗州区といった古い町並みが残る一方で新しい建物も混在する済寧の独特の雰囲気を作り出していた。

 郷紳の家族と家にお邪魔し、お経を唱えた後、家を後にした。

 「本当にありがとうございました。」

 「おぼうさん、ありがとう。」

 「いえ、こちらこそどうもありがとう。ではこれで。」

 お互い感謝の言葉を述べ、朱慈煥は暖かい別れを告げた。

 別れの後、近くの客桟(旅人に食事と宿を提供する施設)に泊まってそこで休んだ。

 朱慈煥はここで暮らすのも良いと思ったがまずは南京を目指そうと考えた。

 郷紳の親子から少なくないお布施を受け取ったので南京への貨客船へ乗り込む手配を自分でやった。

 郷紳の実家の人から信用できる船頭を教えてもらえたのですんなりと上手くいった。

 朱慈煥はここを離れる前に観光地として有名な孔子ゆかりの建造物、孔廟、孔府、孔林を訪れた。中国三大宮廷建築で有名なだけあって孔廟はものすごく広く現代では古くなったり壊されたりして読めなかった石碑を食い入るように見て内心感動しながら夕方くらいになって孔廟、孔府、孔林を後にした。

 (もし、皇族じゃなく庶民だったらここに永住してたかもな~)

 そう思いつつ自分が泊っている客船へと向かうのだった。

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