↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/76

祠の秘密

 まだ完全とは言えないマンバを支えて祠に連れて行った。バアルは罰として、しばらく抱かないことにする。察しているのか、バアルはおとなしくフヨフヨと浮いて付いてくる。


「この場所、多分、パワースポットみたいなもんだと思うんだけど」


 魔界に魔物を跳ね返す結界がある、と言うことに違和感を感じる。


「よくわかんないんだ。ここになんか建ってて。でも随分前だったんだろうね、木も腐ってて、元がどんな物だったのかもわかんねーんだけど……」


 そう言って、マンバはその祠の前で合掌した。


「ここに来て、この痣が浮き出したんだわ」


 襟をぐいっと引いて、さっきの痣を見せてくれる。


「あっちでも、まぁ、ちょっと霊感ある方っていうか。見えないものが見えちゃうタイプだったんだけどさ、こっち来たら、あんなことできるようになってたんだよね」


 襟元を戻しながら、祠の扉を開くと、美しい石が現れた。

 ごつごつした石の中から、結晶化した石が露出していて、角度によって色々な色に見える。


「これ、隠してんだよね。村人の諍いの元だって、村長が言うし。知らない村人も多いよ。ていうか、これ、持ちあげられるの、多分ウチだけだわ」


 ひょいと持ち上げて、マンバが目を閉じると、マンバの体の表面が薄く光り始める。マンバの血色が戻っていく。


「……マンマァ!」


 バアルはその光に怯えて、私のそばにやってきた。これは怖いかもね、と抱いてあげることにした。我ながら、甘い。わかってます。我が子の躾、……難しい。


「何人か盗んで悪魔に売り払おうとしたみたいだけど、誰も持ち上げられなかったみたい」

「悪魔に?」

「交換条件で人間界に戻してもらおうと思ったんじゃね。ーーどうせ、そのまま殺されちゃうのにな」


 過去を思わせる言葉に「何があったの?」を呑み込んだ。まだそこまでは、踏み込んじゃいけない気がして。

 マンバは石を祠に戻し、扉を閉めた。もう一度合掌して、顎で小屋に戻ろうと指図してくる。


「ね、マンバは悪魔も治せるんだ?」

「知らねーよ。やったことないのに」

「でも、バアル治してくれたでしょ」

「この子は……半分人間だろ」

「確かに」


 今の会話に、何かヒントがあった気がして、腕を組む。うーん、うーん。


「マンバ!」


 バティムが駆け寄ってきて、マンバを抱き上げた。


「あの薬草は人間にこんなに効くのか!?」

「おっ、降ろせよ!」

「それとも、お前は自分も治せるのか!?」

「おっ、降ろせって、オッサン!」


 マンバが照れているのを見て、思わず笑う。


「お前、すごいな!」


 はち切れそうな、目一杯の笑顔。

 大きな口を開けて、歯をむき出しにする、そうそのバティムの屈託のない笑顔。忘れちゃうよね、彼が悪魔だってこと。わかるわかる。

 一気に無言になったマンバを見て、私は恋に落ちる瞬間を目の当たりにした。


「異種族恋愛って、アリなの?」


 二人を見て私は思わず、つぶやいていた。


「ばっば……ばか!」

「まぁ、マンバか。……悪くないかもな」


 バティムがちらりと見ると、真っ赤になるマンバが、可愛くて私も笑う。


「お前! そう言うふざけたこと言ってっと許さねーからなっ!」


 茹でタコのようになって、バティムをポコポコ叩いている。楽しそうな様子を、エリゴールが遠くから見ていることに、ふと気づく。

 手を振ると、エリゴールは姿を消した。


「エリゴール……?」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。