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『悪役公爵令息レオンハルト』  作者: 覇王が好き
第一章 運命を覆す者

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第39話 七星王家の最後の姫と、書き換えられた運命

第39話 七星王家の最後の姫と、書き換えられた運命


 王国暦八百二十一年、夏月十四日。


 午後二時。


 王都西部、旧地下水路最深部。


 巨大な石扉の向こうには、白い光に満ちた空間が広がっていた。


 円形の部屋。


 中央には、古い祭壇。


 そして。


 祭壇の上には、一人の少女が眠っていた。


 年齢は、十歳ほどだろうか。


 長い銀色の髪。


 透き通るような白い肌。


 そして、胸元には七つの星を象った紋章が刻まれている。


 ……何だ、この子は。


 俺は、静かに目を細めた。


 魔力反応はある。


 だが。


 ……普通の人間ではない。


 その身体は、光の粒子によって形作られているように見えた。


「……レオンハルト様」


 エリシアが、静かに声をかけた。


「……この子です」


 俺は、彼女を見た。


「……助けを求めていたのか?」


「……はい」


 エリシアは、ゆっくりと頷いた。


「……この子の魂が、苦しんでいます」


 俺は、静かに息を吐いた。


 ……なるほど。


 魂を利用した古代術式。


 その中心にいる少女。


 ……嫌な予感がするな。


 ◇◆◇


「……リゼット」


 俺は、静かに声をかけた。


「……この祭壇、解析できるか?」


「……はい」


 リゼットは、すぐに魔力測定器を取り出した。


 そして。


 祭壇へ向けて魔力を流す。


 次の瞬間。


 彼女の表情が、驚愕に変わった。


「……そんな」


 俺は、眉をひそめた。


「……どうした?」


 リゼットは、震える声で答えた。


「……この少女」


 そして。


「……三百年以上前の魔力構造を持っています」


 ……三百年前?


 俺は、静かに息を呑んだ。


 ……まさか。


 七星王家が滅亡した時代。


 その頃の存在なのか?


 ◇◆◇


 そのとき。


 少女が、ゆっくりと目を開いた。


 淡い金色の瞳。


 そして。


 どこか悲しげな表情。


「……あなたたちは……?」


 か細い声が、響いた。


 俺は、静かに近づいた。


「……俺は、レオンハルト・ヴァルディス」


 そして。


「……君を助けに来た」


 少女は、俺を見つめた。


 その瞳が、わずかに揺れた。


「……黒い星……」


 俺は、静かに眉をひそめた。


「……何?」


 少女は、震える声で続けた。


「……あなたが、黒い星を宿す人……?」


 ……また、その言葉か。


 俺は、静かに頷いた。


「……そう呼ばれているらしい」


 少女は、ゆっくりと涙を流した。


「……やっと、来てくれた……」


 俺は、思わず息を呑んだ。


 ……待っていた?


 ……俺を?


 ◇◆◇


「……あなたは、誰なんだ?」


 俺が尋ねると、少女は静かに答えた。


「……私は、ルナリア」


 そして。


「……ルナリア・セレスティス」


 その名前に、リゼットが驚いたように顔を上げた。


「……セレスティス!?」


 俺は、彼女を見た。


「……知っているのか?」


 リゼットは、静かに頷いた。


「……七星王家の、最後の王女の名前です」


 ……最後の王女。


 俺は、静かに息を吐いた。


 ……なるほど。


 この少女が。


 ……七星王家の生き残りなのか。


 ◇◆◇


 ルナリアは、静かに続けた。


「……私たちの王家は、滅びました」


 その声には、深い悲しみが宿っていた。


「……魂を救うための力が、誰かを支配するために使われたから」


 俺は、黙って彼女の話を聞いた。


「……私は、最後に封印を守る役目を与えられました」


 そして。


「……でも、失敗したの」


 その瞳から、涙が零れた。


「……封印の中に、闇が入り込んでしまった」


 俺は、静かに目を細めた。


 ……なるほど。


 今回の黒幕は、その闇を利用しているのかもしれない。


 ◇◆◇


「……黒い星について、教えてくれ」


 俺が尋ねると、ルナリアはゆっくりと頷いた。


「……黒い星は、世界の理から外れた魂」


 俺は、静かに息を呑んだ。


 ……世界の理から外れた魂。


 ……まさか。


 転生者である、俺のことか?


 ルナリアは、静かに続けた。


「……本来、この世界に存在しないはずの魂が、別の運命へ入り込んだとき」


 そして。


「……黒い星が生まれる」


 俺は、静かに拳を握った。


 ……やはり。


 俺の転生は、何か特別な意味を持っているのか。


 ◇◆◇


「……では、十七歳の運命とは?」


 俺が尋ねると、ルナリアの表情が曇った。


「……それは」


 彼女は、少しだけ言葉を詰まらせた。


「……決められた未来ではありません」


 俺は、思わず目を見開いた。


「……何?」


 ルナリアは、静かに続けた。


「……誰かが、そうなるように仕組んでいるのです」


 ……仕組んでいる?


 俺は、静かに息を呑んだ。


 ルナリアは、俺を見つめた。


「……十七歳という年齢は、黒い星の力が最も強くなる時期」


 そして。


「……その瞬間を狙って、魂を奪おうとしている者たちがいます」


 俺は、静かに目を細めた。


 ……なるほど。


 原作のレオンハルトが十七歳で死亡した理由。


 ……単なる処刑ではなかったのか。


 ◇◆◇


「……では、あの未来は変えられるのか?」


 俺が尋ねると、ルナリアは静かに頷いた。


「……はい」


 その声には、確かな希望が宿っていた。


「……未来は、まだ決まっていません」


 俺は、静かに息を吐いた。


 ……そうか。


 なら。


 ……変えてやる。


 俺は、静かに拳を握った。


 ◇◆◇


 そのとき。


 祭壇の周囲に、黒い魔法陣が浮かび上がった。


「……っ!?」


 リゼットが、叫ぶ。


「……術式が、再起動しています!」


 俺は、すぐに右手を上げた。


 《万有引力》。


 魔法陣の動きを、強制的に停止させる。


 だが。


 ……やはり。


 魂へ直接作用する部分が、残っている。


「……エリシア!」


「……はい!」


 彼女が、両手を掲げた。


 《七星聖光》。


 白い光が、祭壇を包み込む。


 ルナリアの身体を縛っていた黒い鎖が、ゆっくりとほどけていく。


「……ありがとう……」


 少女が、静かに呟いた。


 俺は、穏やかに微笑んだ。


「……まだ終わってないぞ」


 そして。


 《無限神力》。


 神力を、慎重に流し込む。


 白い光と金色の光が重なり、黒い魔法陣がゆっくりと崩れていく。


 パキィン!!


 最後の鎖が、砕け散った。


 ◇◆◇


 静寂。


 祭壇の光が、ゆっくりと収まっていく。


 ルナリアは、静かに俺を見つめた。


「……ありがとう」


 その声は、穏やかだった。


「……これで、少しだけ自由になれました」


 俺は、静かに頷いた。


「……これから、どうする?」


 ルナリアは、少しだけ微笑んだ。


「……私は、まだここを離れられません」


 そして。


「……でも、あなたたちへ伝えたいことがあります」


 俺は、彼女を見た。


「……何だ?」


 ルナリアは、静かに続けた。


「……黒い星の運命を変えるには、七つの絆が必要です」


 ……七つの絆?


 俺は、静かに眉をひそめた。


「……どういう意味だ?」


 ルナリアは、静かに微笑んだ。


「……七つの星は、七つの魂を繋ぐもの」


 そして。


「……あなたが一人で戦えば、必ず敗れます」


 その言葉に、俺は息を呑んだ。


 ……一人では、敗れる。


 ……なるほど。


 だからこそ。


 ……仲間が必要なのか。


 ◇◆◇


 その頃。


 王都の地下。


 黒衣の男は、静かに目を開いた。


「……ルナリアが、目覚めたか」


 その声には、わずかな驚きが宿っていた。


 だが。


 次の瞬間。


 男は、薄く笑った。


「……構わん」


 そして。


 古い羊皮紙へ、静かに指を置いた。


『黒き暴君――覚醒予定年齢、十七歳』


 その文字が、黒く輝いた。


「……運命は、簡単には変わらん」


 男は、冷たく微笑んだ。


「……むしろ、これで準備が整った」


 ――七星王家の最後の姫。


 そして、黒き星の運命。


 レオンハルトの未来を巡る戦いは、新たな段階へ進もうとしていた。

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