↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『悪役公爵令息レオンハルト』  作者: 覇王が好き
第三章 運命を奪われた勇者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
137/390

第137話 七属性の衝撃――上級生たちが認めた規格外の才能

王国暦八二二年、新春月二十五日。


王立アストレア学園。


中央闘技場。


「――勝者、レオンハルト・ヴァルディス!」


審判の宣言が、再び場内へ響き渡った。


観客席から、大きな歓声が上がる。


……。


俺――レオンハルト・ヴァルディスは、剣を鞘へ納めた。


目の前では、三年生のガルド・ヘルマンが、ゆっくりと立ち上がっている。


「……まさか、ここまで差があるとはな」


ガルドが、苦笑した。


「……正直、舐めてた」


……。


俺は、軽く頭を下げた。


「……こちらこそ、ありがとうございました」


……。


ガルドは、しばらく俺を見つめていた。


そして。


「……次は、もっと強くなって挑ませてもらう」


……。


俺は、微笑んだ。


「……楽しみにしています」


……。


彼は、大きく笑った。


「……ああ!」


……。


その様子を見て、観客席から拍手が起こった。


     ◇


貴賓区画。


セレスティアは、嬉しそうに微笑んでいた。


「……やっぱり、レオンはすごいわね」


リゼットも、目を輝かせている。


「……あの剣の動き、ほとんど無駄がありませんでした」


……。


エリシアは、ほっとしたように息を吐いた。


「……お怪我がなくて、よかったです」


……。


シャルロットは、少しだけ得意そうに笑った。


「……だから言ったでしょう?」


……。


「レオンの本当の強さは、あんなものじゃないって」


……。


そのとき。


「……確かに、見事な剣技だった」


低い声が響いた。


振り向くと、そこにはアーヴィン・グランフェルトが立っていた。


学園序列第一位。


三年生。


……。


彼は、静かに闘技場を見下ろしていた。


「……だが」


……。


「剣技だけでは、私には勝てない」


……。


シャルロットが、少しだけ眉を上げた。


「……そうかしら?」


……。


アーヴィンは、微笑んだ。


「……序列戦で、確かめることになるだろう」


……。


そして。


「……楽しみにしているよ」


……。


彼は、静かに去っていった。


……。


セレスティアは、少しだけ息を吐いた。


「……アーヴィン先輩、本気みたいね」


……。


シャルロットは、笑った。


「……望むところよ」


……。


「レオンなら、きっと勝つわ」


     ◇


午後。


予選第二試合。


《レオンハルト・ヴァルディス》


対するは。


《フェリクス・ローゼンベルク》


三年生。


序列第八位。


魔導研究会の実力者。


……。


俺は、闘技場へ入場した。


対面には、青い髪の青年が立っていた。


「……初めまして、レオンハルト殿」


フェリクスが、丁寧に一礼した。


「……よろしくお願いします」


俺も、頭を下げる。


……。


フェリクスは、微笑んだ。


「……クローディア嬢から、あなたの魔法研究について伺いました」


……。


俺は、少し驚いた。


「……リゼットから?」


「ええ」


……。


彼は、少しだけ目を細めた。


「……あなたの七属性魔法、ぜひ見せていただきたい」


……。


俺は、頷いた。


「……分かりました」


……。


審判が、右手を上げる。


「――両者、構え!」


……。


フェリクスの周囲に、三つの魔法陣が浮かび上がった。


水。


風。


雷。


……。


なるほど。


三属性の複合魔法か。


……。


俺は、静かに左手を開いた。


……。


「――始め!」


     ◇


フェリクスが、先手を取った。


「――《水風連刃》!」


水属性の刃が、風に乗って飛来する。


……。


俺は、軽く手を振った。


「――《土壁》」


薄い岩壁が、目の前へ立ち上がる。


……。


水の刃が、岩壁へ突き刺さった。


ズガガッ!


……。


だが。


フェリクスは、すぐに次の魔法を放った。


「――《雷穿》!」


紫電が、岩壁の隙間を貫く。


……。


俺は、少しだけ目を細めた。


……なるほど。


最初の攻撃は、目くらましか。


……。


俺は、右手を上げた。


「――《水鏡障壁》」


透明な水の膜が、雷撃を包み込む。


……。


パァン!


雷が、水の中で拡散した。


……。


フェリクスが、驚いたように目を見開く。


「……雷を、水で受けた!?」


……。


俺は、微笑んだ。


「……魔力の流れを調整すれば、可能ですよ」


……。


フェリクスは、しばらく俺を見つめていた。


そして。


「……面白い!」


……。


彼の周囲に、さらに三つの魔法陣が浮かび上がった。


……。


「――《三重魔導連鎖》!」


水。


風。


雷。


三属性の魔法が、連続して放たれる。


……。


俺は、静かに息を吐いた。


……。


そして。


左手を開いた。


「――《七彩神星陣》」


……。


瞬間。


七つの魔法陣が、俺の周囲へ展開された。


火。


水。


風。


土。


雷。


光。


闇。


……。


七色の光が、巨大な星形を描く。


……。


観客席が、静まり返った。


……。


「……な、七つ!?」


「本当に、七属性全部使えるのか!?」


「……あり得ない……!」


……。


フェリクスも、言葉を失っていた。


「……これが……」


……。


「……七属性の、完全統御……」


……。


俺は、静かに手を動かした。


……。


土属性が、水の刃を受け止める。


風属性が、雷撃の軌道を逸らす。


火属性が、残った水を蒸発させる。


光属性が、魔力の乱れを浄化する。


そして。


闇属性が、余剰魔力を吸収する。


……。


すべての攻撃が、消えた。


……。


フェリクスは、呆然としていた。


……。


俺は、静かに言った。


「……次は、こちらから行きます」


……。


「――《雷風連鎖》」


……。


雷と風が、螺旋を描く。


……。


フェリクスは、慌てて防御魔法を展開した。


「――《三重防壁》!」


……。


だが。


俺の魔法は、その防壁へ正面からぶつからなかった。


……。


風が、雷の軌道を変える。


……。


雷撃が、防壁の側面へ回り込む。


……。


そして。


「――《光縛》」


……。


白い光の鎖が、フェリクスの足元から伸びた。


……。


「……なっ!?」


……。


彼の身体が、一瞬硬直する。


……。


その隙に。


俺は、剣を抜いた。


……。


一歩。


……。


そして。


剣先を、彼の胸元へ向けた。


……。


「……ここまでです」


……。


審判が、右手を上げる。


「――勝者!」


……。


「レオンハルト・ヴァルディス!」


……。


闘技場が、再び歓声に包まれた。


……。


フェリクスは、しばらく黙っていた。


そして。


小さく笑った。


「……完敗です」


……。


俺は、剣を下ろした。


「……ありがとうございました」


……。


フェリクスは、静かに頷いた。


「……あなたの魔法理論、ぜひ教えていただきたい」


……。


俺は、微笑んだ。


「……もちろんです」


……。


その瞬間。


観客席から、さらに大きな拍手が起こった。


     ◇


夕方。


学園の中央掲示板。


予選結果が、次々と更新されていた。


《レオンハルト・ヴァルディス》


二戦二勝。


予選突破確定。


……。


俺は、その文字を見上げていた。


「……お疲れさまでございました」


隣に立つエレノアが、静かに微笑んだ。


「……ありがとう」


……。


俺は、少しだけ息を吐いた。


「……思ったより、楽しかったよ」


……。


エレノアは、嬉しそうに頷いた。


「……それは、何よりでございます」


……。


そのとき。


背後から、声が響いた。


「――レオンハルト」


……。


振り向く。


そこには、アーヴィン・グランフェルトが立っていた。


……。


「……アーヴィン先輩」


……。


彼は、静かに微笑んだ。


「……見事だった」


……。


「だが」


……。


その瞳に、鋭い光が宿る。


「……本戦では、あれほど簡単にはいかない」


……。


俺は、静かに頷いた。


「……楽しみにしています」


……。


アーヴィンは、笑った。


「……私もだ」


……。


そして。


「……学園の頂点で、待っている」


……。


彼は、静かに去っていった。


……。


俺は、その背中を見送りながら思った。


……。


序列戦。


まだ、始まったばかりだ。


……。


そして。


この大会が。


学園の未来を、大きく変えることになるとは。


そのときの俺は、まだ知らなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。