Ep51 Chapter“2” Scene“2” Cut“3” Take“5” 犯罪行為は唐突に
――今とは異なる歴史を歩んだ、とある世界――
――その世界の“時”が示すのは二十ニ世紀――
――その世界に於いて、二十一世紀末期に発明された、後に『アクティブスーツ』と呼ばれる“鎧”は人類の希望の星になった――
――『アクティブスーツ』は人類の期待を一身に背負い、災害を始め、医療、運送に介護と様々な人の役に立った。それこそ一般人だろうと、身に纏った者をヒーローにした――
――だがそんな便利なアクティブスーツに魔の手が迫り、それを悪用する組織が現れたのである――
――悪の手に渡り、その“悪”が栄えれば、良い物であっても法律は書き換えられる事になる。よって『アクティブスーツ』を一般人が使う事は禁止されるに至る——
――しかしこれを機に、戦隊ヒーロー時代が訪れる――
――様々な悪の組織が跳梁跋扈するようになった世界で、悪の組織に対抗出来る手段の一つとして“戦隊ヒーロー”は大活躍を果たし、知名度を飛躍的に向上させた――
――これにより、スポンサーから鎧と武器を借り、命を賭けて悪と戦い給料を稼ぐ“職業”としての『戦隊ヒーロー』が誕生する事になる――
――『多分戦隊ジャスティスファイブ』もそんな『職業戦隊ヒーロー』の一つだった――
――ピーッ、ピーッ、ピーッ。個体名、「野々山カレン」ノ、完全修復完了。“生命保護機構”ヲ、終了シマス――
――ぱちッ
見慣れた部屋の見慣れた天井。鎧からの合成音声で目を覚ましたカレンは、スーツ越しに状況を確認していった。
記憶を失うまでは外にいたハズが、今はこの家のリビングにいる。恐らく志が運んでくれたのだろうとカレンは解釈した。そして、その彼女は、カレンに寄り添いながら寝息を立てている。
――ピッ
気絶していた間のログを確認する。どうやらカレンの身体は大分損傷が激しかったらしい。完全復旧するまでに十時間近く掛かっていた。
「あれ?スーツの修復履歴もあるし。おっかしいなぁ、でもま、いっか!スポンサーいないし。怒らんなきゃ問題なっしんぐ!
それにしてもありがとう、ミコロっち。んーと、ココロっち?どっちでもいっか!ミコロっちはミコロっちだし!」
スーツ越しに見る志の顔はとても安らかな寝顔だ。だが、目の周りは腫れぼったくなっている。カレンはそんな志に対して、感謝と共に少しばかり悪い気がしていた。
「それにしても、アタシがジャスティスファイブの一員だって事を、ミコロっちも流石に気付いちゃったよねー。はぁ……どうしよ。
マジでチョベリバなんだけど……」
カレンの脳裏に浮かんだのはあの時、ミチルの部屋で聞こえて来た志と夕樹菜の会話。自分は夕樹菜に会いたくなくても、夕樹菜は“アタマピンク”には用があるのだろう。
そして、その話しをしていた志に知られた以上、「カレン=アタマピンク」という決定的な情報が夕樹菜の元に渡っても不思議ではない。
これは偏に、カレンからすれば、少し前まで自分が“ジャスティスファイブ”の一員だという事を、志に明かすか明かさないかで悩んでいたのがバカらしくなる幕引きだったと言える。
だがこうなってしまった以上、更には志から志を託された……と、勝手に思っているカレンは、志の目覚めと共に打ち明ける選択肢を選ぶに至る――
「とは言っても、このままミコロっちをここで寝かしておくワケにはいかないよ……ね?にへらッ」
志の制服は血と汗で汚れていた。流石に明日、その格好で学校に行かせるワケにはいかないだろう。そうなると、洗わなくてはならない。そして、カレンの“にへらッ”である。
良からぬ事を企んでいるのは明白だった。
カレンは志が着ている制服のボタンを外し、ブラウスのボタンを外し、スカートのチャックを下ろし……と、手際良く脱がせていく。流石に下着まではその手に掛けないが、「目の保養」とばかりに、自分よりも発育が良い志の身体を、これでもかとばかりに、舌なめずりしながら凝視し、スーツに保存していた。
この一連の行動は偏に“犯罪行為”であって、スポンサーにバレたら激怒案件では済まない“事案”になるのが確定なのだが、「この時代にスポンサーはいない」からこそ、カレンの自由奔放さが盗撮という「目の保養」を行わせたコトに違いはない。
言うなれば、二十二世紀のヒーローが二十一世紀で見付けた“シリガルセクハラ”という名の、“小さな自由”だった……のかもしれない――
「よぉっしよしッ!目の保養も済んだし、ミコロっちのパジャマはどこかなー?流石にこのままじゃ、夏とはいえ風邪ひいても困るし。
アタシみたいに可憐で純情なら風邪菌も逃げてくだろうけどー」
斯くしてカレンは志の部屋にパジャマを取りに行った。志は起きて着替えると必ず畳んでベッドの端に置いておく。脱いだら脱ぎっぱなしの誰かさんとは違う。
カレンは寝ている志を起こさないように、足音を殺して部屋へと通じる廊下を歩いて行く――
―― To the Next Take ――




