Ep46 Chapter“2” Scene“2” Cut“2” Take“3” ピチピチギャルは唐突に
「単刀直入に言います、オナカブラックさん、黄色くて力士みたいな人はお仲間ですか?もしそうなら、彼も『多分戦隊ジャスティスファイブ』の一員ですか?」
「知っている。そしてその考えは概ね当たっている。(だが知っている限り、イエローは最後まで「悪の種」に呑まれていた。こちらの世界でも、まともな状態とは思えないが)その黄色いのがどうしたと?」
オナカブラックの認識では、この世界に来る前に最後に見たタベスギイエローは少なくともまともな状態ではなかった。だが、もしもイエローがその状態なら、この国の一つの街は一日もあれば失われる。「悪の種に呑まれている」という事は、そういう事だ。
しかし、もう彼らがこの世界に来て一年は経過している。……が、そんな話しは聞いた事がない。
そこから判断するに、「方法は分からないがイエローは元の状態に戻っている事になる」とブラックは結論付けた。
「この国は戦争に巻き込まれています。それをなんとか打開する為に、“黄色い人”の力を借りたいんです」
「解せんな。それならその話しを直接、黄色いのにすればいい。私に話しをする必要性が感じられないな」
これは腹の探り合い。この青年は少なくとも何かしらの組織に関与している。国の戦争を憂うただの一般人は戦隊ヒーローに救いを求めても、協力を求める事はしない。
「そうなると背後にあるのは、国……か」ブラックはそう結論付けたかった。だが、どこか引っ掛かる――
自分達、“職業”戦隊ヒーローが活躍していた時代は22世紀。この時代よりも百年近く後の世界だ。だからこそ、「日本」という国は腐っていた。それこそ善良な市民を、善悪の区別の付かない幼子の頃から改造するほどに。
だが今は21世紀。そこまでの技術力は全世界を見ても、どこの国も保有していないだろう。
しかし、この稜真と名乗った青年の力は、明らかに異質なモノだった。自分達のいた時代より過去のこの世界で、自分達が知らない事が起こっている。「歴史」の中にあった「戦争」以外の出来事。
てっきり自分達は、純粋な「過去」に飛ばされたモノだと考えていたブラックは、考えを改める必要性を感じていた――
「ボク達は“学園”に所属しています。ただ、その“学園”は政府の犬です。ボクは学園長に救われましたが、このままでは何も変わらない。
だから変えるために新たな組織を創ろうとしている人がいるんです」
「そこに、ジャスティスファイブを組み込みたい……という事か?」
ブラックの探しモノ。それは残る四人のジャスティスファイブだ。もしも全員が集まれれば、元の時代に戻る事が出来るかもしれない。そう考えているからこそ探していた。ならば、組み込まれる事には異論があるが、その過程には意味がある。
そのブラックの意図を知らないであろう稜真は、コクっと頷いていた。
「それならば、その人間に会わせてもらおうか。何を考え、何を求め、何故我らに協力を求めるのか。それを見極めない事には協力出来るハズもない」
「はいはーい、腹黒さん!あーしからもいいですかぁ?」
突然湧いたシリアスな空気をモノともせず全力でブチ壊しに来る梓の発言。その破壊力にブラックは肩透かしを食らった気がしていた。だが話しは纏まりつつある。よって無碍には出来ない。
「なんだ?」
「それって、変身した姿なんですかぁ?お顔は見せてもらえませんかぁ?」
中の人を見せろと梓は告げた。そこにどんな意図があるのかブラックは考えていた。確かにこの中身が生きている人間なのか、それともアンドロイドやロボットといった“機械”なのかで対応は変わるだろう。
だが、その要望には応じられない。
「見せる事は出来ない。ただし中身はれっきとした人間だ。機械ではない。もしも中身が見たいのであれば……そうだな、お前達の指導者と話しが無事に終わり、協力体制が築けた後になる」
梓は非常に詰まらなそうに「ちぇッ、ケチぃ」と呟いていた。そんな彼女を見て稜真は申し訳なさそうに「すいません」と漏らしていった。
「私からも聞きたい事がある。構わないか?」
「あーしの事ですかぁ?えっとそれなら、年齢はヒミツですがピッチピチのギャルでぇっす!身長148センチ体重はもっとヒ・ミ・ツのDカップ、只今絶賛カレシ募集ちゅぅでぇすッ」
稜真は更に申し訳なさそうに深い溜め息を吐いていく。ブラックはそんな彼に親近感が湧いたようだった。
「キミの力は私が知らない力だった。一体、何を隠している?」
ブラックからの質問に梓はむくれ、稜真は驚いた顔をしていた。だがそれは稜真が言い当てられたからではない。
この世界に於いて、異質な力というのは『魔眼』の力だけだ。イジュウランスインの光から三十年近くが経過して、報道される事は殆ど無くなったが今の時代、小学生でも知っている。
彼はそれを知らないブラックの異質さに驚きを隠せなかったのである――
―― To the Next Cut ――




