表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミツルとミチルとミクニとミコロ 〜 Romance Trium Regnorum et nobilis gladius 〜  作者: 硝酸塩硫化水素


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
46/93

Ep43 Chapter“2” Scene“1” Cut“6” Take“6” トンデモ理論は唐突に

「それで話しを戻しますけど、皆さんは何をしに来たんですか?」


「そりゃあモッチ、可愛いミチルっちに、ミコロっちと二人で会いに来たに決まってんじゃん!

 それにミチルっちの怒った顔も驚いた顔もチョー可愛かったしマジウケる!もっと色んな表情を見せて見せてッ!」


 (ミコロ)とカレンの理由は聞かなくても分かる。だからカレンが放り投げた言葉にミチルは納得()していた。そう、百歩譲って納得()()だ。しかしその考え()理解しようとは思っていない。むしろ理解した時に、自分の身の危険性が問われる事こそ理解している。


 だってミチルは「普通の高校生」だ。「ただの女子高生」だ。そんな高校生なのだから爛れたカンケイを望むハズもない。健全な恋愛ならいざ知らず、“百合の花園”なんてまっぴらごめんだった。


 しかし夕樹菜の考えは分からない。あの夜の話し合いで、夕樹菜はミチルを金輪際狙わないと聞いた記憶もある。それなのに何故、今頃になって突然現れたのか?部屋の鍵を強引に開け、犯罪者紛いのコトをしてまで。


「学園の方針が決まったから伝えに来てあげたのよ。貴女だって、アタシとの口約束だけじゃ心配だろうと思って」


「いや、それならなんで、勝手に部屋に入ったんですか?」


 ド正論のツッコミに夕樹菜は少し()()()()()()も、「あ、暑かったから」と小声で話したのだった。


「マジウケる超ウケる!チョベリバ過ぎて草生えるッ!」


「うっさいわね!アンタだって人の事言えないでしょ!本当にシメるわよ?」


 夕樹菜の言い分としてはこうだった。学園の方針をミチルに伝えに来たが、ミチルは留守。だからバイト先の“ばすまいけっと”に行ったが、ミチルはいない。しかし季節は夏。外は猛暑。外にはいたくない。

 ……で、悩んだ末に勝手にお邪魔した……と言うモノだ。


 そんなトンデモ理論を語られたミチルは、何も言い返す事が出来なかった。そしてそれ以上に、“ばすまいけっと”以外の“バ先”を知られていない事に安堵していた。


 その一方で夕樹菜とカレンは、ヒートアップし始めていた。その様子を「せめて外でやってくんないかなぁ」と、ミチルは呆れ顔で見詰めており、(ミコロ)は“通い妻ムーブ”に則り、飲み終えた湯呑みの回収を行っていた――



「そうだ三国さん。“孔明”と話す事は出来るかしら?戦隊ヒーローについて確認しておきたい事があるんだけど」

 ――ぴくッぴくくッ


 カレンは夕樹菜が上げた名前――「孔明」について少しだけ興味を惹かれた。カレンの中のイケメンセンサーが反応したのかもしれない。その一方で「戦隊ヒーロー」については聞き捨てならなかった。

 だから必死に聞き耳を立てて様子を窺う事にしたようだ。


「えっと、ごめんなさい夕樹菜さん。ミコロは孔明先生を常に喚び出しているワケではないんです。

 それにここ最近は、カレンさんと一緒に生活しているので“瞳”を使わないようにしてるんです」


 夕樹菜は「へっ?」と驚いた顔をした。(ミコロ)がこんな明らかに貞操観念の弛そうなオンナと、同居してるなんて思ってもみなかったからだ。


「そ……そそそ、そう?そうなのね、それじゃあいいわ。また日を改めて“孔明”と話しをさせてもらえれば問題はないから」


 斯くして話しは全て終わった。夕樹菜は手早く荷物を纏めると、()()()()()ミチルの部屋を後にした。

 夏になり陽が伸び、空は深い紫色を纏っていた。外の暑さは日中ほどではない。だが外に出れば汗が出る。淡いピンク色のブラウスに汗が滲んでいった。

 夕樹菜は一度、ミチルの部屋の方を見て「若い子の性癖って分からないわ」と呟くと駅の方に向って歩き出して行く――



「いい加減、二人共帰ってくれませんか?」


 夕樹菜が帰っても中々に帰ろうとしない二人。結局、ミチルから直接的に言われるまで居座っていた二人が、外に出た時には空は真っ暗になっていた。


「ねぇ、ミコロっち。聞いてもい〜い?」


「どうしたんですか、カレンさん。急に改まって」


 カレンはこの世界について知らない“事情”がある事を、先程の会話から察した。カレンは異邦人(ストレンジャー)であって、元からこの世界の住人ではない。だからこそ、『魔眼』について知る由もなかった。

 そして、「戦隊ヒーローについて」と夕樹菜が話していた事は、非常に疑問が残る。自分達以外の「職業戦隊ヒーロー」がこの世界にやって来ているとは思えない。だったら、自分達(ジャスティスファイブ)はいつの間にか、()()()()目を付けられた可能性が見えてくる。


 カレンは(ミコロ)に話し掛けたものの、上手く言葉が出て来なかった。自分が目を付けられた可能性が残る以上、(ミコロ)の家で暮らすのは彼女(ミコロ)に危険が迫る可能性がある。

 それに自分が、『アタマピンク』だと(ミコロ)が知った時、どんな目で見られるのかを考えると、堪らなく不安にさせた。


「ごめんミコロっち!なんでもないし」


「変なカレンさん……」


 (ミコロ)に自分の正体を明かすべきか否かを悩みながらカレンは、彼女(ミコロ)と共に家路に着く――



 ―― To the Next Scene ――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ