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遥か東より来た騎士4

ヨシタカ卿は非常に困惑していた。なぜこのようなことになったのか。ヨシタカ卿は今、キャメロット城下にあるオークニー一族の屋敷にいる。オークニーはガウェイン卿が治める土地であり、またガウェイン卿の母であるモルゴースはアーサー王の種違いの姉であった。

「ですから! 私はヨシタカ卿の従騎士になると決めたのです!」

メローラの高い声が響く。こうして眠気の晴れた頭で聞くと、確かに女の声であった。


昼を過ぎてヨシタカ卿がガーエリス卿を訪ねると、ガーエリス卿は何やら弱った様子であった。事情を訊くと、ヨシタカ卿はガーエリス卿はオークニー一族の別邸へと連れて来られたのである。そこにはキャメロットに逗留中のオークニー一族が揃っており、どうやら大事が起こったようであった。


「だがな、メローラよ……」

卓の上座に着いていた長兄のガウェイン卿が口を開いた。

「お前は女ではないか。特に体が丈夫というわけでもなし」

「兄上ともあろうお方が、見た目で判断されるのですか! ガレス兄様が”美しい手”とあだ名されたことをお忘れですか!?」

線の細い四男のガレス卿が面白そうに笑って言った。

「私はいいと思いますけどね」

「お前はメローラに甘過ぎるのだ」

ガウェイン卿が苦々しげに答える。

「ヨシタカ卿はどうお考えなのです?」

五男のモードレッド卿に話を振られて、ヨシタカ卿は困ったように答えた。

「う、うむ……私はただ従騎士が必要だったというだけで……」

「私を従騎士にしてくださると仰ったではありませんか!」

メローラが心外とばかりに声を張り上げた。

「確かに言ったが……」

どうやら騒動の原因は、メローラが従騎士になることらしい。ヨシタカ卿は目でガーエリス卿に助けを求めたが、ガーエリス卿は気付かないふりをした。

「ガーエリス卿の許しを得ているのならばとも言ったはずだ」

「ガーエリス兄様は、ヨシタカ卿が許しさえすればとお言いになりました」

皆の視線を受けて、ガーエリス卿は嘯いた。

「私はヨシタカ卿が承諾するのならばよいかもしれぬと言ったのだ。まさか承諾されるとは思わなかったが」

メローラ以外が一斉にため息をついた。

「私の身にもなってくれたまえよ。冒険帰りで疲れているのに、いつまでもこの剣幕で食ってかかられてはたまらぬ。早めに切り上げたかったのだよ」

言い訳がましくガーエリス卿が言った。

「私はもっと外の世界を見てみたいのです! このまま城にこもって、求婚を待つだけの人生なんて耐えられません!」

このメローラの言葉が、ヨシタカ卿の心に刺さったままの棘を揺り動かした。

「あいわかった。騎士に二言はござらぬ。そなたを私の従騎士としよう」

メローラの目が喜びに開かれ、オークニー一族は驚いたようにヨシタカ卿を見た。

「メローラ殿が騎士になるか、あるいは気の済むまで私の旅の供をさせましょう。私の命ある限り、メローラ殿の無事をお約束いたします」

しかし……と納得しかねる様子のガウェイン卿を、妻のラグニルドがそっと諭した。

「よいではありませんか。かわいい子には旅をさせよと申します。双子の弟のモードレッド卿が既に叙任されているのですから、メローラも十分に大人でしょう。それにメローラには、お義母様譲りの特別な力もあります。大丈夫ですよ」

ガウェイン卿は重々しく息を吐くと、ヨシタカ卿に向き直って行った。

「それではヨシタカ卿、ご面倒をお掛けしますがメローラをよろしくお願いいたします」

「確かに承りました」

騎士たちが厳かに言葉を交わす中で、メローラは喜びに飛び上がらんばかりであった。

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