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遥か東より来た騎士18

トマスグリーン村ですることは特になく、道行く村人に、巨人を討伐したことを広め伝えるよう頼むだけだった。ローランが村人に駄賃を握らせ、ヨシタカ卿の名も忘れずに広めるよう言い含める。それを見て、如才ない奴だとヨシタカ卿は思う。そうして4人は村を出た。

「マーリンはどこに向かえと言っていたか」

「リンドウェルです」

ヨシタカ卿にメローラが答えると、エレンが補足した。

「ここからですと、北東を北寄りに進めば半刻足らずで着くでしょう」

「そうか。しかし強盗騎士とは……なぜ強盗が騎士を名乗れるのだ? 騎士が強盗を働くにしても、それと知れればお尋ね者であろうに」

「強盗騎士とは、言いがかりを付けて挑んだ決闘で相手を捕え、解放する代償として身代金をせしめる騎士をいうのです。商人や農民では武装した騎士にはまず勝てませんし、徒党を組んで複数人で決闘を挑み続けるため、名のある騎士であっても連戦のうちに疲れ、敗北することも珍しくないといいます。決闘自体は罪にはなりませんので……」

エレンが説明した。

「アグラヴェインは生真面目ですから、強盗騎士全てと決闘しようとしたのでしょう」

メローラが小さく眉を寄せた。

「律義さを逆手に取られたか。ところでエレン、魔法の紐の話を聞いた時にも思ったが、そなた、物知りだな」

「い、いえ、私など……私は剣もまともに扱えませんし、それくらいしか取り柄がないのです」

「それに目も良い」

「そ、それはそうと、ヨシタカ卿は弓がお上手ですね」

エレンは褒められるのが相当気恥ずかしいらしく、強引に話題を変えた。

「ブリテン騎士にはあまり好まれていないようだが、我が国では弓馬の道という言葉があるくらいでな。騎士は弓も引けねばならぬのだ。この辺りでは、イチイほどではないにせよ弓にするによいトネリコやハシバミの木をしばしば目にするゆえ、学ばぬのは惜しいと思うのだが……。遠くの的を射るには無論目が良くなければならぬし、そなたにも弦を引く力があれば、良い射手になれるものをな」

「私には……力もありませんから……」

エレンが目を伏せる。

「物事には要不要、向き不向きがあるというものよ。ブリテン騎士となるには射手の才はあまり要らぬな」

「ヨシタカ卿の弓は何の木で作られているのです?」

メローラが訊ねた。

「私の弓は……こちらの言葉では何と言ったか思い出せぬ、我が国の言葉では梓張りよ」

「アズサバル……?」

喉まで出かかっているのだが、とヨシタカ卿は唸っている。

「ともあれ、強盗騎士など巨人に比べれば大したことはないでしょう」

ローランの言葉を聞いて、ヨシタカ卿が笑った。

「ずいぶんと度胸が付いたものだ。だが勝って兜の緒を締めよという言葉があってな。巨人を倒して強盗風情に負けたとあっては笑い話にもならぬ。努々敵を侮ってはならぬぞ」

ヨシタカ卿の言葉に、3人の従騎士ははいと頷いた。

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