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バカだけど戦えば強いってどうよ?   作者: 狸之大将
村で過ごすってどうよ?
36/38

暇人達の気ままな遊び

「暇だな」

そんな一言から始まった今日の朝

そう、何もすることがないのだ

「いきなりそんなこと言われても何も出ないぞタヌピス」

「んじゃペンよ、なんか暇つぶしはないか」

「釣り」

「却下」

ため息をつきながらヒマコレメンバーはリビングでダラダラしていた

「こんにちは…?これは一体どういう状況…」

そんなこんなでダラダラしていたら

アイがアジトに入ってきた

「おぉ、アイか。今見ての通り暇しててな。やることを探していたんだけど」

「はぁ…と言われましてもここで出来る事は修行か各々の趣味くらいなので」

そしてまた振り出しに戻った

うーんと唸り続けること数10分

考えた末の結果が

「よし、トランプしよう」

「お前トランプなんて持ってきたのか?」

「いや?作るよ?アイ、なんか紙くれ」

「あ、はい分かりました」

「あと書くものをくれ。できれば消えないやつがいい」





キュッキュッと油性ペンのようなもので

紙にマークを書き始めるタヌピス

「お前遊びになるととことん器用だよな」

「んぁ?ペンとかぺるしぃとかに比べたらまだまだガサツな方だろ俺」

数字を書き終わり次はジャック、クイーン、キング

そしてジョーカーの絵柄を書くタヌピス

「なんかこいつら見たことあるような顔してるな」

「もちろんモデルはいるに決まってる」

「これ俺に似てるな」

そう言ってきょっけが取ったのはジャックのカード

「そう、このジャックはきょっけがモデルだ」

「これは私に似てますね」

アイが取ったのはクイーンのカード

「それも大当たり。アイがモデルだ」

「つまりキングが…」

「もちろん俺だ、リーダーだからな」

やれやれ。

みんな内心そう思いながらも

確かにそうなので誰も口出しできないのだ

「で、ジョーカーは…」

「あぁ…」

クロマがやっぱりか

みたいな声を出したが

そう

ジョーカーはクロマなのである

「ところでタヌピスさん」

「ん?どうしたアイ」

「トランプってなんですか?」

え。

その場にいたヒマコレ勢が全員固まってしまった




舞もリビングに来てトランプの何たるかをアイに軽く説明して

やるゲームが決まった

「クロマ抜きだな」

「そのネームはやめてくれタヌピス。ババ抜きでいいだろ」

机の周りにみんな座り

かぶりカードを机の上に捨てていきゲームが開始した



「で…どうしてこうなった?」

今残っているのはタヌピスとアイだけ

そしてタヌピスは残り1枚

アイは残り2枚なのだ

「言い出しっぺが負けるって相場はやっぱり決まってるみたいだな」

「うるせぇペン三郎。ちょっと運がなかっただけだぞ」

常時発動オートスキル激運のお前が何を言うか…」

うんうんとその場にいた全員が肯定していた

「さぁ引くぞアイ」

「ど、どうぞ…」

タヌピスは右の方に指を進めた

すると

「ヒャッ!」

「ん?」

タヌピスがアイの顔を見ると

青ざめたような顔をしていた

左に指をずらすと

「あっ…」

一瞬で顔が明るくなって嬉しそうな顔をしている

また右に指を戻すと

「あぅ…」

とてつもなく悲しい顔をした

(これ絶対左がジョーカーだ…!)

もうタヌピスの中では確信していた

左がジョーカーだと

(これはどうするべきだ…ここでキッパリ勝負を決めるか…!?)

「ひ、引かないんですか?」

そしてもう1度顔を見ていると

バレないように顔を固めていた

(可愛すぎかよ)

そうしてタヌピスが選んだのは

「左の」カードだった

案の定このカードはジョーカー

つまり次アイが正解のカードを引けばアイの勝ちになる

「ふぅ…」

タヌピスはカードをシャッフルして

目を瞑ってアイの前に出した

(これでどっちを引いても運の勝負…怨みっこはなしだぜ…)

ううう…

アイの唸り声が聞こえる

そして悩んだ末に選んだ

「これです!」

パッと引かれ

タヌピスが目を開けるとそこに残っていたのは

「ジョーカー…か…」

「こ、これは…」

「あぁ、アイの勝ちだよ」

「やったぁ!」

そこですごく嬉しそうに喜ぶアイの姿があった

それを見てタヌピスも嬉しい気持ちになった


「さて、トランプも終わったし次は何をしようか」

「んー昔俺らが遊んでたのはあるけどレベル高すぎ問題発生したからな」

満場一致で頭に浮かんだ

「缶蹴りか」

「そうそう、あれは無しだな」

ペンが思い出したのは

ヒマコレメンバーでやった缶蹴りだった

本人達曰く

ろくな事が起きなかった

とのことでこのゲームは禁止の遊びになった

「じゃあどうする?何かいい案は?」

「そうだな…村の子供達も参加できそうなのがいいよな」

「それ運動会じゃないの?」

ぺるしぃがそう言うと

確かにそうだった

「みんなが簡単に楽しめる遊び…それに大人数で遊べるとなると…」

「やっぱり少し難しいな」

うーん。

また最初の時みたいに悩み始めた

「そういやアイ、今ってこっちは何の季節なんだ?」

「え?あぁはい。今こっちの世界では冬を超えて落ち着いてきた年です」

「つまりあっちで言うと?」

「そうですね2月のはじめくらいですね」

「2月のはじめ…節分か!」

「おお!いいじゃねぇかタヌピス!」

「これは俺も賛成だ」

「僕もそれでいいと思うよ」

よし!

バン!と机を叩きタヌピスは決心した

「みんなでこっちの世界に節分を広げようじゃねぇの!」

おう!

とみんなの気持ちが1つにまとまった





「で、豆を探しに来たはいいけど」

「広くね?」

「思ったそれ」

タヌピス、ぺるしぃ、しょまうチームは

森の中に入って食べれそうな豆を探していた

もう既に文句たらたらなタヌピスとしょまうを横目にぺるしぃはどんどん先に進んでいく

「おいぺるしぃ、なんかアテはあるのか?」

「あるさ、確かこの辺に…」

すると目の前に出てきたのは

「神社…?」

「なんだぁ!?ぺるしぃ神頼みで頼むのか!?」

しょまうが後ろでゲラゲラ笑っていたら

ーうるさいばかものが!目が覚めたであろうに!

「へ?」

神社の扉が開いて中からユグドラシルが出てきた

「やぁユグドラシル、また手伝って欲しい事があるんだけど」

「なんだお前かぺるしぃ俺の力を借りたいって次はいったいどんな苦行だ?」

「豆探してるんだよね」

「は?」

ユグドラシルの頭の上には「?」が浮かんでいた

「あー、いやもう1回聞くわ。今度はどんな苦行だ?」

「だから豆を探しに来たんだって」

「また探しものか!」

次は後ろの2人が「?」を浮かばせていた

「また?ぺるしぃ1回ここに来たことあるのか?」

「あぁ、僕が野菜を持って帰った時あるだろ。あの時も探してくれたんだ」

へぇ〜

となんとなく納得した2人だったが

目の前の奴は納得してなかった

「また探しもの…次は…2人っきりじゃなくて…」

それを聞き逃さなかったタヌピスが

「おー!そうだ!じゃあチーム分けをしよう!俺しょまうチームとぺるしぃとユグドラシルチームだ!」

「ん?まぁ僕は構わないけど。ユグドラシルは?」

ユグドラシルはフリーズしていた

それを見たぺるしぃはもっと近寄るが

「ハッ!あ、あぁ!いいだろう!探すのは茶色の粒達が沢山ついたカカオ豆みたいなものだ!さあ行くぞ!」

即復活してぺるしぃを連れてユグドラシルは走っていった

「フッ…我ながらいい仕事をしたものだ…」

「何が?」

「気にするなしょまう。さて、俺達も行くぞ」






「まーめまーめまめお豆の子遠いとこからやってきた〜」

「タヌピスそれジ〇リの替え歌?」

「んだ、山の上の豆って替え歌」

と、変な替え歌を作りながらタヌピスとしょまうは豆らしきものを探して歩いているが

「みっかんねぇな中々」

「希少価値が高いものなのかな?」

山の中をひたすら歩いていく2人だったが

タヌピスが足を急に止めた

「ん?どうした?」

「んー、ちとまずいなこれは」

何がだ?

しょまうがそう言った瞬間に

タヌピスは動いていた

「そぉらっ!」

近くにあった岩石をタヌピスは前方に向かって投げた

すると着弾点から何かが出てきた

身体は獣なのだが

二足歩行しているのだ

「こいつらは…?」

「さぁな?でも気を抜くなよ何があるかわからん」

グルルルルル…

声を出しながら威嚇してくる獣人のような者達

「そうだ、こんな時こそ」

タヌピスが首元から出したのは

動物と話せる魔法のペンダント

『立ち去れ人間、ここは俺達の縄張りだ』

『バカ、伝わるわけないだろ』

「悪いな何も知らないで入ったんだ」

タヌピスがそう言うと獣人達は驚いたように目を丸くした

『お前は俺達の言ってることがわかるのか?』

「あぁ、この魔法のアイテムのお陰でな」

『なら聞こうか人間、ここに何しに来た』

「豆探してんだけど」

『は?』

ユグドラシル同様何を言ってるのか分からないようで

首を傾げていた

『もう1度聞こうか何しに来た?』

「だから豆探しに来たって言ってんだろボケ」

ユグドラシル同様ポカンとしてる獣人達

それを言って返答を待つタヌキ

「なんだこの状況…」

一人だけ何やってるかわからないしょまうは

ただその光景を見るだけだった


『ということはこの森に豆を探すためにお前は入ったのか』

「そういうことだ、スマンが俺はここが縄張りだってことを知らなかったんだ。すぐに立ち去らせてもらうよ」

いくぞ

しょまうに声をかけてその場を後にしようとする

すると獣人が

『待て』

タヌピスに止まるよう要求した

「なんだ?まだなんかあるのか?」

『お前がここに意図的に入り込んだのでは無いことはわかった』

「んじゃいいだろ、帰してくれよ」

『だが許す許さないのと俺達のポリシーとは話は別だ』

んー?と

タヌピスはそのポリシーとやらのことを知らないので

首を傾げた

『縄張りに入ってきた奴らは全員、その度胸を認めて手を合わせているのだ』

「あぁ、そういうこと…」

タヌピスは諦めたように拳を構えた

「ん?どういう事だ?タヌピス」

「手合わせしたいんだとよ」

なるほどぉ!といいしょまうも拳を構えた

すると獣人が

『お前ら、武器はいいのか?』

「武器は…俺が本気を出す時に使う予定なんだ、使ったら大変なことになるからな」

「あ、ちなみに俺は武器を使う概念はない!って通じてる?てか武器の話してた?」

おう。

そう言って獣人に向き合う

『行くぞ!』

飛び出た影は3つ

一つは大刀

一つは槍

一つは鎌の影が見えた

「俺はあの大きいの相手にするけどお前めんどくさいの任せるか?」

「ってことは槍と鎌だな、よしきた!」

タヌピスがダッシュで大刀持ちの獣人へ突っ込んで行った

「まずは小手調べ」

タヌピスは手のひらからエネルギーを放出して

エネルギー弾を作る

それを獣人に投げつけると空中に逃げた

そのスキを見逃さなかったタヌピスは

すぐさま空中への追撃を行った

「空中なら回避は不可能だ!」

『と、思ったか?』

ガァン!とタヌピスの拳を大刀で弾き飛ばした

その衝撃でタヌピスが地上へ吹き飛ばされた

獣人が着地しタヌピスの落下地点を見るが

『ん…居ないな』

辺りを見渡しても誰もいない気配すらない

そう思ったら地面から

「ハロー」

『なっ!』

「おっしゃァ!超至近距離!アイアンフィスト!」

鉄のように硬化した拳を獣人目掛けて突き出す

しかし獣人は驚きはしたが

慌てずに大刀で拳を流した

(これは…)

タヌピスは完璧に入ったと思った拳が受け流されて

少し驚いていた

「厄介だな…」

そう思いタヌピスは空中に紋章を描いた

「叫べ大蛇!そして駆け抜けろ!雷電ライトニング大蛇スネーク!」

描いた紋章から雷の蛇が出てきた

それを剣で払おうとしたが

『む?』

蛇は体を捻って剣をするっと避けていった

そのまま心臓目掛けて飛んでいくが

それを獣人は

「なにぃ!?」

そう掴んだのである

しかも素手で

『ぬるい』

「ならッ…これでどうよ!」

ダン!と地面を叩いて

岩の槍を無数に飛ばす

しかしそれは全て届かず

剣で薙ぎ払われた

「これは…」

マズいとそう確信した

逃げるか?

全力で逃げれば逃げ切れる自信はある

しかし何らかの方法で森から出られなくなるところまで予想がついた

「こいつはちょっとやばいかの…」

珍しく冷や汗を垂らすタヌピス

しょまうの方を見るが同様に手こずってるようだ

『どうした?もう終わりか?』

「いや悪い、俺たち本気出したらマジで大変なことになるから本気出してないんだけど。まさかこんなことになるとはな。」

『それは俺たちを舐めているのか?』

「いいや違うさ。お前らのためでもありここのためでもある、だからどっちにしてもお前らのためってこと。」

『意味がわからん。なら本気を出せ、俺が許す』

フフッ

タヌピスは不敵な笑みをこぼした

「言ったな?後悔するなよ?」

しょまうにも合図を出し本気を出してもOKと伝えた

偽剣創造ソードメイク

タヌピスは剣を作り出した

その刃の色は燃えるような赤

それでいてシンプルな刀の形状をしている

「完了。炎龍・赤炎刃せきせんじん

『ついに使うか、剣を』

「あぁ、でもこれはお前らが許したんだ、後悔するなよ!」

タヌピスが横一閃で獣人を斬った

と思ったが

『当たるわけないだろ、そんな剣』

「当たらなかったな?後悔すんなよ?」

パチパチ…となにか音がする

獣人は分からずこの音の元を探す

すると

『あっ!』

「今気づいたのか。もう遅いぞ」

そうタヌピスの得意属性は火

そして今戦っているのは森の中

つまりどういうことになるかと言うと

『火事だ!』

「俺たちが本気を出したら大変なことになるって言ってたけどな。あれは強すぎてってわけじゃなくて、二次災害が大変なことになるってこと、OK?」

「ホォワチャァ!」

しょまうも朱雀の力を開放して獣人達と戦っているがこれもひどい

バッコバコ殴っては燃えて殴っては燃えているのだ

『やめろ!お前たち!俺たちの森を燃やすな!』

「って言われても俺たちは本気出していいって言われたから本気だしただけよ」

そしてもう一度しょまうに合図する

「つーわけで!さいなら~!」

全速力でその場から離脱するタヌピスとしょまう

後ろで何かを叫んでいたが聞こえてはいなかった


命からがら逃げてきたタヌピスは一度落ち着くために近くの木に寄りかかった

「ふい~なんとかなったな」

「でもどうする?火なんて放ってきたらあいつら怒って追いかけてくるだろ」

だよなぁ…と察しながらも対策を立てようとしていた

「なぁしょまう。守護者のお前に少し聞きたいことがある」

「んあ?なによ」

「あいつらと戦ってて何か感じなかったか?」

「あー」

そういえばって感じでしょまうが思い出した

まずタヌピス達が魔法と拳を使い耐え切れる雑魚はそういない

つまり奴らはただの獣人ではなかった

そういう考えになる

じゃあ何か?それは今のタヌピスには感じ取れなかったしわからない

でも現状力のある守護者のしょまうにどういうことか聞こうとしていたのだ

「まずあいつらは多分神格を持ってる」

「神格か…そりゃまた厄介なことで…」

神格は魔王の力と同じいわば神の力だ

タヌピスが持っているのは魔王の力

しょまうが持ってるのは先祖返りの遺伝子を受け継いだ力

これも神格に近いものを持っている

「それにしても俺たちの固有魔法オリジナルスペルを弾き飛ばすなんてやるなあいつら」

「多分通常魔法では倒すことが出来ないだろうね」

タヌピスは様々な魔法を使うことが出来るがそれは一般に出回ってない

つまり固有の魔法

けどタヌピスの場合は一個一個が頭の中で適当に考えた魔法を撃っているので

中身がスッカスカのものもあったり考え込んで作った魔法もある

今までタヌピスが使用してきた魔法も全て固有魔法なのだ

だけどオリジナルで作ったからといって威力がバカみたいにあるわけではなく

あくまで自分自身で作った魔法というだけなのだ

それに代わって通常魔法は一般にこの世界に広がっている魔力があり覚えようと思えば誰でも使える魔法を指す

「と言っても、まだ神格があるって決まったわけじゃないからなんとも言えないけど」

「そうだな…一旦ユグドラシルの元に戻って作戦を」

タヌピスが動こうとした次の瞬間

「のおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

地面に埋まった

腰まで

「は?」

「いや、は?じゃねぇよふざけてるわけじゃないんだってしょまう」

気配を感じたのでしょまうは周りを見渡してみる

すると木の上に影が見えた

「もう来たのか」

『ー~@#%”&’&’”*?*>』

「何言ってるか分かんねぇな。ペンダント貸してくれ」

そう言われてタヌピスは動物と話せる魔法のアイテムをしょまうに投げた

「よし」

『哀れなものだな』

「おお、ほんとに聞こえた」

む?と獣人は不思議そうにしょまうを見た

『今度はお前が話せるのか。人間の技術にはよく驚かされる』

「そうだ、タヌピスに何をした?」

『簡単なことだそこに落とし穴を作った』

「なるほど、『落下地盤フォールアスファルト』か」

通常魔法落下地盤は相手の足元に穴を作るという魔法なのだが

普通はこんなに効かない

せいぜいすぐ抜け出せるレベルなのだ

しかしタヌピスは未だに抜け出せない

「これはやはり…」

「あぁ、間違いねぇ。神格持ちだ」

しかし抜けようにも抜けられない

タヌピスを守りながら

しょまうは戦わねばならないのだ

『お前らも本気を出すように俺も本気を出そう』

そう言って取り出したのはさっきの大刀ではなく

「槍?」

「朱槍…まさかゲイボルグか!」

『その通り、俺の名はクーフーリン。この森の狩人だ』

「伝承とは違うが、こっちのクーフーリンは獣なのか…」

『では行くぞ』

フッ、と風のように消えたクーフーリン

その一瞬を見逃さなかったしょまうは

すぐに防御姿勢を取った

そのわずか0.1秒

タヌピスが瞬きをした瞬間

ガキィン!

拳と槍がぶつかった

『へぇ、結構やるじゃないか』

「守護者を舐めてもらっては困る。これでも朱雀なんでね」

(いかん俺は見えなかった)

タヌピスはその一瞬を見逃した

昔なら何の問題もない行動も今のタヌピスでは

出来たものも出来ないのだ

『ならこれで』

フッと目の前から姿を消したと思ったら

一瞬で背後に回られていた

「しょまう!」

「そこまでだ!」

ピタッとクーフーリンの動きが止まった

「全く、お前はいつもやり過ぎる。」

『げっ!師匠!』

「師匠!?」

「おい、しょまう今師匠つったか?」

あぁ。しょまうが頷いた

「ってことはあいつは…」

「初めまして、若き戦士。私はスカサハこいつらを束ねている」

背中に担ぐは紅き朱の槍

体つきは華奢

しかしその中に秘めたる何かを感じる

「こいつは…」

「すまない、ここは私の顔に免じて引いてはくれないか?」

スカサハはそういうと埋まってるタヌピスの魔法を解いた

「けど、俺達も喧嘩を売られた身だそう簡単に引き下がるわけには

「聞こえなかったか?」

心臓に槍が刺さった

「カハッ…」

気がした

(今のは殺気!?けどイメージだけだった!)

「タヌピス!大丈夫か!」

「あ、あぁ…」

こいつはやばい

今の自分じゃ到底勝ち目がないと察した

強い

タヌピスの本能がそう言っていた

「しかしこちらにも非があるようだ。礼と言ってはなんだが…そうだな一つお前達の悩みを聞いてやろう」

「そ、そうか…それなら…」

「それはダメだ。」

「なっ…!?」

まだ何も言ってない

頭の中で考えただけだ

(戦いを教えてくれ)

そう頭の中で考えただけなのに

「私に教えを乞うのはまだ早すぎる。そしてお前は若すぎる。」

「ぐっ…」

「だが、いい目をしている。目の奥に執念のような何かを感じる。これは私からの質問になってしまうが…問おうお前は何を成す?何をこの世界で成したいのだ?」

「俺は…」

グッと拳を握りしめる

「最初は…退屈な世界から抜け出したいのと…仲間を探したい。それだけを考えてここへ来た。けど俺はなんも考えていなかった何もわかってはいなかった」

「タヌピス…」

「俺は今実感したよ。俺は弱い」

「あぁそうだ、お前は弱い。」

「けどいつかは…いつかは俺がみんなを守れるくらい強くなりたい!そしてこの世界を救う!それが俺の成すべきこと!」

パチパチとスカサハは拍手をした

「その信念に敬意を、やはりお前は面白い。やはりあいつらの息子か」

「ん?スカサハ今なんて?」

「いや、気にしないでくれ。さて本題に戻ろう、何を聞く?」

「それなら…」







夕方頃タヌピス達はアジトへ戻ってきた


あの後タヌピスはスカサハに豆の情報を聞き

大量に収穫して帰ってきたのだ

今はその豆を挽く作業をしている

しかしタヌピスの顔は曇ったままだった

「タヌピス、なんか元気ねぇな。なんかあったのか?」

「ペン、そこにはちょっと今は触れないで置いてくれ」

しょまうが詮索を止めた


パチ…パチ…と

豆が焼ける音だけ聞こえる

世界に自分しか居ないような感じに


ス…

(もっと強くならねば…俺が…)

…ピス…

(みんなを守れるくらい強く…)

…タヌピス

(俺が…)

「タヌピス!」

タヌピスがその声を聞いて我に返る

その横には心配そうに顔を覗いている舞の姿がそこにはあった

「どうしたの…?なんかあったの?」

「…いや何でもないさ」

「そう、ならちょっと付き合ってよ」



舞はタヌピスを外に連れ出した

「星が綺麗…やっぱりいい景色ね」

「あぁ、そうだな」

「なんか心ここに在らずって感じだね」

「あぁ、そうだな」

「タヌピス!」

またさっきと同じような声で意識を引き戻される

「ねぇ、私はそんなに信用出来ない?悩みすら言えないの?」

「そんなことは無い!」

「じゃあどうして!」

その目には涙が浮かんでいた

「何で…何も言ってくれないの…?」

「舞…」

タヌピスは前みたいにグッと拳を握りしめた

「じゃあ…少し長くなるけど、聞いてくれるか?」

その言葉を聞いて舞の顔は明るくなった





「実は森でこんなことがあってな」

「なるほど、そんな事が」

タヌピスは豆を探している時に

スカサハに出会い自分の弱さを実感させられたと

そう舞に説明した

「それで、俺は強くなりたいとそう強く考えるようになって気がついたら周りが見えなくなってて…ホントどうしようもないバカだよな…」

「そんなことは…」

「けど、なんかスッキリしたぜ。ありがとな舞」

「私は…タヌピスは弱くてもいいと思うよ…」

その言葉を聞いて少しタヌピスは驚いた

「大事なのは強さじゃない、本当に大事なのは」

舞がタヌピスの胸にトン、と拳を当てる

「ここ」

その時タヌピスの頭にはある光景が蘇った


(いいか!本当に大事なのは心!優しい心を持つことが強さへの大事な一歩だ!)

タヌピスは微笑んだ

「いつぶりに聞いたかな、その言葉。」

「え?」

「大事なのは心、強さはいらない…か」

ポンポンとタヌピスが舞の頭を撫でる

「ありがとう、大事なことを思い出せたよ。」

「いいのよ、あまりタヌピスの暗い顔は見たくないから」









次の日

タヌピスと舞以外は外に出ていた

村の子供達も一緒だ

「ねーねーペン兄ちゃん何するんだ?」

「今からな、節分っていうちょっとした催し物をやるんだ」

「はて?節分とは?」

長老がそう聞くときょっけが

「元々厄祓いの儀式みたいなもので家内安全や福を内に寄せる。そんなことだったはずですよ俺も良くわかってないですけど」

「鬼が来るからみんなは豆をぶん投げるんだぞ!いいな!しょまう部隊!」

「「「おー!」」」

「しょまう…あんまり変なこと教えたらダメだよ…」

「ぺるしぃ兄ちゃんはあんまり乗り気じゃない?」

「いや、何となく嫌な予感がするだけだよ」

すると奥の方から

「が、ガオー!食べてしまうぞー!」

棍棒を持った舞が来た

「舞…」

「いやぁぁぁぁあ!!!見ないでぇぇええ!!」

舞の格好はホットパンツ並に短いパンツと

ブラのようなものしか付けてない

もう際どすぎる衣装を着ていた

「み、みんな豆を投げろ!」

子供たちは豆を投げ始めた

「タヌピス…」







「俺は大事なものを思い出させてくれたお前に改めて礼をしたくてな」

着替えながら話をするタヌピス

「いいのよ、ホント当たり前の事をしたまでよ。」

「だから」

ポンと夜みたいに頭を撫でる

「また俺が前を見失ったらその時はまた頼む」

「…うん」

さてと、とタヌピスが着替えを終わると

「舞、今から始まる節分、まぁ豆撒きだな。俺は本気で行くからマジでやばいと思ったら止めてくれ」

「う、うん?わかった…?」

「さて…」

パキパキ…とタヌピスの体がみるみるうちに大きくなっていく

「こ、これって…」









「た、助けてー!鬼の親分!」

ドシン…ドシン…と

何かがやって来る

その姿はまさに鬼

角が生えて体は大きく

目は白い

化け物そのものだ

「ギャァァァァァァア!!!!!!」

子供達が泣き叫ぶ

大人も慌てふためいてる

「おい!これってまずいんじゃないか!」

「クソっ!こんな時にタヌピスがいねぇ!」

「タヌピスが…?」

ぺるしぃは何かを察した

「あれ…さ、タヌピス…じゃね…?」

「え?」

ヒマコレ勢は鬼を見る

するとタヌピスの特徴がそこにはあった

「あの傷は…!」

昔の戦争の時の傷

タヌピスが力の大半を失った傷がそこにはあった

「なんだよ、お前何して」

「グルゥァ!!!!!」

タヌピスはみんな目掛けて棍棒を振り下ろした

「危ねぇ!」

ペンが槍でそれを受け止める

するとそこからクレーターが出来た

「けどなんだこいつの動きは、まるで村人を見てない…!?」

「いや違うよペン、タヌピスは自分に何らかの呪いを付けて村人達に絶対危害が当たらないようにしてるんだ」

「でもぺるしぃ、狙いが俺達で何をすれば止まるんだ?この状態だと何も出来ないぞ」

「多分呪いを解くというか弱める条件があるはず。タヌピスはそれを考えろってことで…しょ!」

ぺるしぃが棍棒をはじき返す

「けど!なんもヒントねぇんじゃ対処のしようがねぇだろ!」

「節分…そうか!豆撒き!」

「きょっけが何か思いついたらしい!」

「村のみんな!こいつは俺達にしか危害を加えない!体に豆を当てるんだ!」

そういうと子供たちは本気で怖がりながら

タヌピス鬼に豆を投げ始めた

シュっ!と素早い動きでそれを避けた

「なっ!それアリかよ!」

「ペン!こいつにそれを求めたらダメだ!」

「グルゥァ!!!!!!!」

タヌピスは今度は棍棒を振り回す

「クソっ!めんどくせぇ!」

そんな時小さな子供の豆が1粒当たった

すると

「グルゥァ!?」

シュー…と当たったところが焼けていた

「やっぱりそうか…」

きょっけが確信をもった

「みんな!こいつの弱点はその豆だ!投げて投げて投げまくれ!」

よっしゃ!と村の大人達も総出でタヌピス豆を投げる

するとどんどん小さくなっていった

「グ…ルゥァ...」

バタッと

タヌピスに戻り倒れてしまった

「やった!」

子供達が喜んでいた

「ふぃ〜全くめんどくさい演出してくれたな…」

「ご、ごめん。ちょっと私のせいもあって…」

「舞はなんも悪くないだろ、何した?」

「いや…まさか私の技をコピーするとは思ってなかったから」

「あぁ、そうかこの技は舞の応用だったか」

タヌピスが今回コピーしたのは

舞の「鬼化」アレを少し応用してみたのだが

「制御できない巨人になったと、まるで狂戦士だな」

しかしタヌピスのおかげで節分は大成功だったのだ

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