表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バカだけど戦えば強いってどうよ?   作者: 狸之大将
村で過ごすってどうよ?
35/38

タヌピスが眠かったわけ

「ハァ…ハァ…」

「どうした舞…もう終わりにするのか?」

「そんな…これ以上激しくされたら私…」

「いいから力抜けよ…」

「もういや…」










「もういやってなんだよバカ野郎!お前が朝練に付き合ってくれって言ったんだろうが!」

ここはヒマコレアジト前

タヌピスと舞はここで朝練をしているのだ

「だけどタヌピスのトレーニングがハードだから…」

「特にきついことしてないんだがなぁ…」

そう言いながらタヌピスは次の項目に移ろうとしていた

「いいか?まず体術の基本は相手をどうぶっ飛ばすかってのを考えるんだ」

「つまり?」

「弱点をみつけるあとは体の芯を探すんだな」

タヌピスが中段に拳を構えた

「体術に構えはない自分の構えやすいところに拳を構えるといい」

「わかったわ」

舞は下段に拳を構えた

「構える場所が決まったらあとは相手を殴るっていう気持ちを乗せて拳を出すんだ」

シュッ!と

タヌピスが突き出した拳は

風を切る音を立てていた

「こうかしら」

舞も拳を突き出すが特に風が切れる音もしない

「まぁ最初はそんなもんだな」




1通り終わり区切りがついたところで舞はこんな質問をした

「ところでタヌピスは剣は使わないの?前まで使ってたけど」

「ん?あぁ、俺は剣はもう使いたくないんだ」

「なんで?」

「それは言えないな、けど1つ言うとしたら俺が剣を使ったら大変な事になるってのだけ話しておこう」

「闘技場の時に使ってたような」

「あれはまだ力が復活してない状態だからなあれに頼るしかなかった」

ウンウンと感慨深いものを感じながら

タヌピスは思い返していた

「さてと、休憩はこのへんにして次は組手だ」




野原に立つ2人の姿

タヌピスと舞の組手が始まる

「さぁ、どっからでもかかってきな」

舞はそのまま突っ込む

気でそのまま裏を取るようにステップを踏んだ

「やあっ!」

蹴りを入れるが

タヌピスはその蹴りを素手で掴んでいた

まるでフェイントを見切ってるかのように

舞は1度距離をとり次の作戦を考えていた

「ならこれでっ!」

舞が地面を叩くとタヌピスの周りに岩の壁が出た

「これは包囲網か」

すると上から岩石を落とされた

「今度こそは!」

「今度こそは、なんだ?」

舞は裏を取られていた

「まだまだ!」

次は水の魔法でタヌピスの足をロックした

「む?動きにくいな」

機動力が低下してる今のうちに

舞は力を溜め始めた

「鬼モード!」

蓄積した魔力を一気に放出させて

舞は鬼モードになった

そして水の力を強化しタヌピスのロックを固くした

「ふーむなかなかやるねぇ」

「まだまだこんなもんじゃないわ!」

そして次は雷の魔法を使い水に電気を流した

「グッ、うぁぁぁぁぁぁあ!?」

「やった!」

「わけねーだろアホ」

すぐ後ろを見るとタヌピスがそこに立っていた

「それお前幻覚見てるよ」

「じゃああんたも幻覚見てるよ」

タヌピスも後ろを見るとそこには舞がいた

「こりゃ1本取られたなぁ」

「終わりよ!」

舞が鬼の力を拳に乗せてタヌピスに殴りかかった

「舞…終わりという言葉はマジで止めさせる時に言うことだな」

タヌピスが深く息を吐き

すぐさま体に力を入れた瞬間

タヌピスを中心に衝撃波が放たれた

「なっ!?」

「終わりだ」

そのままタヌピスは舞の腹に拳を叩きつける瞬間に

手を止めた

「まぁ最初にしては上出来だろう」

「もー!悔しい!」




朝練が全部終わると2人はアジトの中へ戻った

「ねぇタヌピス、この特訓って意味あるの?」

「意味がねぇなら俺もここまで続けてねぇよ朝練は俺の日課みたいなものだからな」

「え?もしかしてこっち来てからもずっと朝練してたの?」

そうだ

そう言われてタヌピスが朝ずっと眠そうにしている理由がなんとなくわかった気がした

「つーわけで俺これから二度寝するからもしペンが起こそうとしてきたら止めてくれ」

バタンとタヌピスの部屋のドアが閉まりすぐに寝息が聞こえてきた

「早っ」

舞は汗だくの体を洗い流そうと浴場へ向かった




「いたた…」

初日でこれだけ肉体疲労と打撲が多少ある

これがほぼ毎日続くという話になると

舞は少しゾッとした

けどこのトレーニングは強くなるため

自分の身を守るために身につけるんだと思うと

何故か苦しいとは感じていなかった

「体術の基本…かぁ…」

お風呂に入りながら舞は少し考えていた




「タヌピス、お昼もお願いできない?」

「んぁ?いいけどハードワークは体に毒だぜ?」

「それでもいいの、お願い」

舞の真剣な表情を見て

タヌピスもしゃあねぇと思い

椅子から腰を上げて舞とともにいつものトレーニング場所へと向かった




「で?今度も同じ体術でいいのか?」

「いいえ、それじゃないわ」

じゃあなに?とタヌピスが首を傾げていた

「武器を使えるようになりたいの」

ほぉ〜と関心していた

「けどまず自分の体を作らないと武器なんて…あーそういや鬼の力があるのか。」

「そう、それで武器なんだけど大剣を使いたいの」

「うーわ投げ出そうと思った瞬間の俺しか得意にしてない武器キタコレ」

「あんた他の人に擦り付けようとしてたの…」

「いやはや刀に関してはぺるしぃ槍に関してはペン柔術と体術に関してはしょまう太刀に関してはきょっけとその手のプロがいるんだからさぁ…」

「あれ?クロマの名前が無いんだけど」

「でだ、大剣の使い方だけど」

(あ、流すのね)




「まずこれを持ってみろ」

タヌピスが取り出したのはいつぞやの魔王戦の時に使った

相棒の剣である

「重っ!」

「鉄、というかこういう素材で出来てる剣はこれくらい重い。とりあえず鬼モードでそれを持ってみろ」

そう言われて舞は鬼モードを開放した

「まぁなんとか持てるわね」

「その状態で俺と模擬戦だお前はそれ使っていい」

「タヌピスは?」

「俺はこれだ」

そういって出したのは木の大剣

何の変哲もない木刀である

「あんた正気?」

「いいからかかってこいって」

そう言われて舞は全力で剣を振ってタヌピスに斬りかかった

「嘘…」

その一撃をタヌピスは弾き返していた

しかもその木刀は折れてすらいなかった

「これが答えだ、自分にまだ力がないのに武器を使おうとするとそうなるんだ」

「うう…じゃあどうすれば…」

「簡単なことよ、体術を極める」

全く意味がわからなかった

体術を極めると自ずと武器も使える…?

想像がつかない

「と言うかまずはアレからだな」

「アレ?」






「ハァ…ハァ…」

「おいおい…まだ出て間もないんだけど…?」

「タヌピス…お願い…ちょっと休憩…」

「ダメだ、あと3kmちょいなんだから頑張れ」

そう、タヌピス達は今ランニングをしているのだ

村の中のちょっとした草原でただただ

「普通に」ランニングしてるだけである

「ほい、ゴール」

「つ、疲れた…」

ゴールしてそのまま舞は地面倒れ込む

しかしタヌピスが舞を持ち上げて

強制的に立たせた

「何やっとる、まだ終わっとらんぞ」

「嘘でしょ…」



「29...30…」

「あー!もう無理!」

次は何をやってるかというと

腕立て伏せ30回

腹筋30回

背筋30回

スクワット30回

何の変哲もない

「普通」の筋トレだ

「んじゃ後はストレッチだな」



「いっちに…さんし…」

「タヌピス、あんた体硬いわね」

「うるさいなぁ、そういうとこではお前は強いな」

「まぁね、これでも体は柔らかい方だから」

ストレッチが1通り終わりタヌピスはアジトへ戻ろうとしていた

「あのさ、タヌピス」

「んー?どうした?」

「これって本当に意味があるの…?」

「それはどういう?」

「だって、今やってたのは普通に走って普通に筋トレしただけじゃない」

確かになと

タヌピスは腕を組みながら聞いていた

「だからこの前みんながやってたような普通じゃないトレーニングの方が意味があると思うんだけど…」

「やっぱり、何もわかってないんだな」

「え?」

「俺が今の今までやってた事が本当に無駄だと思うなら次からのトレーニングは参加しなくていい」

「ちょっと待って!別にそういうことじゃ…」

「じゃあどうしてお前は俺のトレーニングに疑問を抱いてた?」

何も言い返せなかった

自分はタヌピスのことを否定していて

それでも自分はそういう事は言っていないと

そんなのはただの傲慢だ

まだ結果も出てないのに最初から否定して

「バカみたい…私…」

「…」

タヌピスはうなだれている舞を目の前にしても

何も言わなかった






そして次の日の朝

タヌピスはいつも通り同じ時間帯に起きて

朝練に行こうとしていた

すると目の前にいたのは

「タヌピス、今日もよろしく…いや、よろしくお願いします!」

「何があったかは知らんけど、お前が意味の無いと思っていることを続けると?」

「今はまだわからないけど…でもまだ何もわかってない!だから教えて!これを乗り越えたら何があるのか!」

その言葉を聞いてタヌピスは口角を上げて

ニヤリと笑った

「そうかい、なら俺の地味で普通のトレーニングに付き合えや」

「どんとこいっての!」



「はっ!ふっ!」

「拳の突き出しに少しタイムラグがある、迷ってるのか?」

今日もタヌピスとの組み手の時間

いつもの如くタヌピスが舞の攻撃を全て見切っている

「マジで当たってもいいから、かかってきやがれ」

「後悔しないでよ!」

舞は鬼の力を開放してタヌピスに殴りかかった

舞から突き出される拳は的確にタヌピスの顔を捉えていた

しかしタヌピスは視界から消えてしまった

「えっ?」

「消えたわけじゃないぜ?これは体術だ」

よく見るとタヌピスは舞の視線の死角に回っていた

早く動いたわけじゃない

しゃがんで見えないところに消えただけだった

「このっ!」

しゃがんでるタヌピスめがけてまた殴り掛かるが

今度は足元をすくわれた

「キャッ!」

「俺を殴ることしか考えてないから足がお留守だぜ」

そのまま舞はお尻から地面に落ちてしまう

「まだまだ!」

舞はそのままタヌピスに突っ込んできた

「一撃で終わらせる!」

「じゃあ俺も秘伝の技を見せてやる」

そしてタヌピスが構えたのは

拳を中段に構えるわけでもなく

ボクシングの構えをとるわけじゃなく

右手は中段

左手は下段に構え

そして拳を「開いて」

手が完全に「開いている」状態で構えた

「鬼殴り!」

舞の突き出した拳は今度も的確に拳はタヌピスの顔に一直線だった

「いくぜ!タヌピス式必殺体術!一本背負い!」

一瞬だった

タヌピスが舞の懐に飛び込んで

脇の下に手を回し

もう片方の手で袖を掴み

足を払って

「投げ飛ばした」のである

そして舞は一回転して地面に落ちた

「嘘でしょ…」

鬼モードが解けて舞はぐったりしている

「今のは記憶に無いが俺の親父が得意としてた武道、柔道の技だ」

「そして今の技も能力は使ってない…」

完敗だった

こっちは能力どころか

鬼の力を使って戦っていたのに

タヌピスはほぼ生身で相手をしていたのだ

「私はもうどうすれば…」

「舞、お前が負けたなんて誰が言った?」

そう言われふとタヌピスを見ると

口から血を流して立っていた

「嘘…どうして…」

「お前アレを無意識でやってたのかよ、逆にすごいな」

舞が投げ飛ばされそうになった瞬間に

タヌピスの顔面にパンチを入れていたのだ

「おかげで奥歯が一本抜けちまったぜちくしょう」

「ご、ごめん…」

「なんで謝る必要があるんだよ、当たってもいいからって言ったのは俺だろうが」

でもなんでそんな動きができるようになったのか

舞も自分では気がついていなかった

「じゃあこのままランニングに行くぞ」

「あ、うん…」

そしてその後はいつも通り

ランニングをして筋トレをして終わった






そうして5日が経った

「いっちに…さんし…」

いつもの如く舞とタヌピスは朝練をしていた

「準備運動はこんなもんだな、怪我しないようにちゃんと伸ばしたか?」

「大丈夫よ、心配いらないわ」

「んじゃ今日はこいつと組み手をしてもらう」

そう言ってタヌピスが前に出した人は

「ふわぁぁぁぁぁあ…眠い…」

クロマだった

「今日はこいつと戦ってもらうぜ、なんでもこの前の修行の時にボッコボコにされたんだってな」

そう、前にクロマと組み手をした時はボッコボコにされたのだ

「んじゃ2人とも位置についてくれ」

「ふわぁぁぁぁぁあ…」

「うるせぇなクロマぶっ飛ばすぞ」

「ぬぁ、はいよじゃあ気合い入れるわ」



舞も位置につき

2人は向かい合っていた

「んじゃ、組み手よーい始め!」

クロマは前のごとくその場から1歩も動かなかった

それを見た舞はクロマの腹に殴りかかろうとしていた

「はぁっ!」

クロマはそれを拳で弾き返そうとする

すると

「ん?」

クロマの視界から舞の姿が消えた

「こっちよ」

クロマが後ろを向くと舞がいた

「まさか俺の裏を取れるようになってるとは、タヌピス!何の特訓したんだ!」

「ん?何、驚く事は無い。ただのランニングとただの筋トレさ」

「そんな程度でこんなに動きが変わるわけが!」

クロマは舞の動きを見切ろうとする

しかし舞の動きは

静かであるがそれでいて速く力強さが残っている

クロマがギリギリ目で追えている感じだ

「じゃあ俺も本気を出さねば」

クロマは舞がくると予測したところに

拳を突き出した

するとタイミングよく予想通りに舞が飛び込んできた

拳が舞にクリーンヒットするが

何かいつもと違った

それはクロマが得意としていた

芯を殴ることなのだが

「芯を殴ったのに…吹き飛ばない…?」

それを見たタヌピスはいつぞやと同じ

口角を上げてニヤリと笑っていた

「そうさ、普通のランニングに普通の筋トレ何の変哲もない普通のトレーニングだけど。動きのキレを上げるための筋肉とそれを補う体力をつければ自ずと動きは速くなるものだろ?そして芯も太くなり吹き飛ばされにくくなる」

だからこそのトレーニングだ

とタヌピスは言う

「デタラメだよ!ただのトレーニングでこんな!」

「そうね、私も最初はそう思ってた。けどね私は強くなったのよ!」

舞の目には迷いはなかった

ただ相手をぶっ飛ばす

それが目に浮かんでいた

「これぞタヌピス式トレーニングってわけよ」

「まだだぜタヌピス、俺はまだ負けたわけじゃないからな」

そう言ってクロマは全身を硬質化した

「このまま殴りかかれば!」

「ふむ、クロマも奥の手を使ったか。けど、こっちにも切り札が無いと思ってたのか…?」

鉄拳アイアンフィスト!」

「よし!今だ!」

「いくわ!奥義!一本背負い!」

クロマの殴りかかってくる脇に手を回して

もう片方の手で袖を掴み

足を払って

クロマを投げ飛ばした

「やった…?」

「グッジョブ!綺麗に決まったな!」

「だぁぁぁあ!悔しいなぁ!」

「硬い体になったからと言って無敵じゃねぇんだぞ?クロマ」

「俺もまだまだ修行が足りないってことだな…」

そのままクロマはとぼとぼ落ち込んだ状態でアジトに戻っていった

「さて、俺も戻るかな」

「あの!タヌピス!」

「ん?どうした舞」

「あの…ごめんなさい…意味無いとか言って…」

「別に最初から気にしてなかったからいいけどな」

「でもはっきりわかったわ強くなるにはまず基礎を固めなければいけないって」

「…」

「だから…本当にごめんなさい…」

ギュッと自分の服を掴んで今にも泣きそうな顔で頭を下げていた

「まぁ俺はただ体をちょっと動かせるようにしただけだ」

「けど!」

「けどな」

タヌピスは舞の肩に手を置いて

「頑張ったのはお前だ、俺の力で強くなったわけじゃない。その頑張りは絶対に忘れるなよ」

そう言ってタヌピスはアジトへ戻っていった

「私の頑張り…普通のことで…」

今までのトレーニングを思い出してみるが

よく考えてみると

慣れると全く辛くない毎日やる分には苦行ではないメニューだったのだ

「基礎を固める…私の体を動かせるようにしただけ…」

そこにはタヌピスの優しさも感じた

確かにタヌピスは言っていた

ハードワークは体に毒だと

それでもタヌピスは特訓に付き合ってくれた

「この思いは無駄にしたくない…」







クロマとの組み手が終わった次の日の朝

「いっちに…さんし…」

タヌピスが見たのは舞が準備運動している姿だった

「今日は俺よりも先客がいるとは驚きだな」

「ええ、私も頑張るって決めたから」

ニシシ、とタヌピスが笑っていた

「じゃあ今日もやるか、意味の無い普通のトレーニングを」

「いいえ、意味ならあったわ」

「お?なんだ、言ってみろ」

「そんなの言わなくてもわかるでしょ?」

舞はそう言ってニッコリと笑った

「悪かった、じゃあ言い方を変えよう。今日も一緒に強くなるか?」

「ええ、もちろんよ!」


そうして今日も朝から

何気ない

本当に普通のトレーニングが始まろうとしていた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ