舞の憂鬱
北の国に戻ってきたタヌピス達
「3日で戻しておくから3日経ったら来てくれ」
そうダルタニアンと別れてから3日経って
タヌピス達は南に戻ってきた
「すげぇ…」
タヌピスが見たのは元通りのチームの拠点だった
畑も井戸も海も民家もヒマコレX拠点も
全て元通りになっていたのだ
するとヒマコレ拠点に何か貼られているのが見えた
「これが俺達の力だ恐れ入ったか…ねぇ…」
それからしてチームのみんなが戻ってきて
ワイワイガヤガヤと襲撃が嘘のように宴を始めている
そんな中のヒマコレ拠点内部
「つーわけで、今回の魔王討伐を祝して…乾杯!」
「イエーイ!!」
「お疲れ様」
ヒマコレのみんなも宴を始めていた
「んで、タヌピス北の国で魔王を撃退して俺を迎えたわけだけど、これからどうするんだ?」
クロマがそう言うと
「んー、数日はオフの日にするかな、ひっきりなしに冒険してても疲れるだけだろうに」
それもそうだなと周りのみんなも納得してる感じだった
「…」
「んぁ?どうした舞?なんか元気ねぇな俺の作った飯まずかったりしたか…?」
「え…?あ、あぁ!いやそんなことないよ?美味しいから安心して!」
そうか?とタヌピスは納得してない感じだったが
それはそれとしてって感じで話を続けた
「まぁオフつっても、もしイベントとか来たらそれに参加したりもすっからそこは覚悟しといてくれ」
「はいはーい!俺からも1ついいか?」
「なんだ?しょまう」
「次行くところどうする?」
「あぁそれ俺も気になってた」
「僕も僕も」
そう、北の魔王を撃退して交流を深めて
クロマも回収したのでとりあえず北は一旦区切りってことで次に行くところを決めようとしていたのだ
「つっても残りは…ゆっちにりょっけにピノだろ?あと3人少々ならすぐ見つかると思うがなぁ」
「お前ヒマコレX以外の仲間忘れてねぇか…?」
「それにあたって俺に一つ情報がある」
きょっけが手を上げていた
「ん?なんだ?きょっけ」
「このアウターワールドには5大陸の他に外側に浮遊している大陸があるんだ」
「ほーん、んで?」
「で、その島国の一つ機械の島『メタリック』に機械に長けた人物がいてそいつがなんでもロボットを作るのが上手いし乗るのもうまいらしい」
ヒマコレXNo.7りょっけはロボの使い手で
自分でロボを作ってロボに乗って戦うのが得意とする
しかもロボの作り方は錬金術
つまり魔法陣から錬成するのだ
「次に射撃の島ここは『バレット』と呼ばれる島でそこに太ったプレイヤーがいるらしい」
「太ったっていう理由だけじゃピノとは言い難いよなぁ」
ヒマコレXNo.8ピノ主に銃を得意として戦闘するのだが
ヒマコレX1体が大きくそれに身長もでかいのだ
「そして最後に魔術学校ベルフェルこれにも特殊な人物の目撃情報が上がっている」
「特徴は?」
「そこにはクソゲーの帝王と呼ばれているタブレットを操作して戦う男がいるらしい」
「それもう確定じゃないの?」
「ゆっちだな」
ヒマコレXNo.6ゆっちタブレットから魔法を組み
それを発動させるという自由度の高い魔法を使う
ヒマコレX内でもタヌピスと同レベルの自由さを持っている
「あと、『天使の楽園』とかいうところから来た自然を操る女、力を無限に増幅できる女、見たものをコピーして力として使うことが出来る男とクソゲー帝王が一緒に行動してるらしい」
「ほーん、なんかゆっちも仲間を作って行動してるみたいだな」
「なんでもその男が異様に強いらしい」
「ほほう…?どういう能力を使う?」
「まず、全ての魔道の放ち方がわかればそれを全て発動することが出来る」
「俺みたいだな」
「そんで自分がピンチになったらありえん火力の一撃を放つことができるらしい」
「あ、それなら俺も一つ情報があるよ」
しょまうも手を上げていた
「バレットの島の話なんだけどなんかカズ…なんとかと1191A…?とかそんなコードネームのタッグがその太った人と一緒に行動してるらしいぞ」
「あ、じゃあついでに俺も」
「お前ら…情報があるならついでとかじゃなくて最初から言え…」
タヌピスが眉間にシワを寄せていた
「で?何よクロマ」
「あぁ、メタリックの話なんだけどなんかそのロボットの発明家と一緒になんかすっげぇ頭いいやつがいるらしいんだわ」
「だいたい何となく察した、メガネかけたヤツじゃないかと」
だいたい話を聞き終わって
タヌピスがパン!と手を叩いた
「まぁ話はこのへんにしてとりあえず今は宴を楽しもう!」
「おっしゃぁ!今日は食いまくるぜ!」
「タヌピス〜僕ご飯おかわり」
「ぺるしぃはよく食うなぁ」
しかしみんなが騒いでる中舞だけは騒ぐことなく
うつむいていた
宴が終わり次の日の朝
村人達ははしゃいでいるが
ヒマコレ拠点内には人気がなかった
舞を残して
数十分前
「んじゃ今日から少しの間お休みな、みんな自由に過ごしてくれ。飯の時間はだいたい7時くらいだから」
そんなタヌピスの言葉から各々自由に時間を潰しているらしい
「よし…!」
「そんな気合入れて刀もってどこ行くつもりよ」
「ふぎゃぁぁあ!?」
「うおおおぉ?そんなに驚かれるとは思ってなかったんだがな…」
後ろを振り返ると
天井に逆さまになって立っているタヌピスがいた
「わ、私がどんな格好で外に出ようが勝手でしょ?」
「んー、まぁそうなんだけどケガ人にあまり無茶させたくないっていう俺の考えなんだが…」
「安心して私もそんなに無理する気はないわ」
「そうか…ならいいんだけど」
そう言うと舞はクスッと、微笑んだ
「ん?どうした?」
「いえ何でもないわ、ありがとう心配してくれて」
「べ、別に心配してるわけじゃねぇし、ただ戦力がいなくなって欲しくないだけだし」
「ふふっ、やっぱり嘘が下手ね」
チッとタヌピスは恥ずかしそうに顔をそらした
「タヌピスはこれからどこへ行くの?」
「俺は行きつけのカフェに行くつもりだけど」
「そう、わかったわ。じゃあ帰ってきたらね」
「ん?おう?」
「じゃあ行ってくるわね」
頭の上に疑問符を大量に並べているタヌピスと別れて
舞はまず人を探すところから始めた
まず向かったのは近くの森だった
目当ての人はすぐに見つかった
「ぺるしぃ、会いたかったわ」
「ん?舞かどうしたの?僕になんか用事?」
舞は首を縦に振った
「私と勝負してくれない?」
最初はぺるしぃもなぜ?と疑問に思ったが
舞の目が真剣だったので何か理由があるんだろうと
そう思い
「わかった、僕でいいなら相手になるよ」
異空間から小刀を取り出してぺるしぃはそれを構えた
舞も刀を構えた
ふう、と一息ついてぺるしぃに突っ込んで行った
「はぁぁぁぁぁあ!!!!」
「鷹の目!」
ぺるしぃの目には舞の動きががゆっくりに見えていた
舞の斬ろうとしているところを的確に見切って
避けている
「ふっ!」
見切った後ぺるしぃは小刀で刀を思い切りぶった斬って刀を上に弾く
斬った時に刀から火花が散った
舞は刀を弾かれた瞬間その振り上げた勢いで
後ろへ後退した
「へぇ、結構やるなぁ」
「でも多分勝てないわよ」
すると舞が体に力を込め
体の中の力を一気に開放した
「ほえ?」
ぺるしぃがアホみたいな声を出したけど
無理もない
見たこともないやつが目の前に立ってるのだから
「フシュゥゥゥ…」
「お…鬼…?」
「そう、私はこの力を使いこなしたいの…けどまだ制御できないから…怪我したらゴメンね…」
ぺるしぃの視界から一瞬で舞が消えたと思ったら
後ろから殺気が飛んできた
「鷹の目!」
ぺるしぃの目には異様な光景が見えていた
ゆっくり見えるはずの舞の動きから
斬撃が飛んでいたのだ
「マジか…」
ズドォォォオン!
森にあった大木が真っ二つにされて倒れた
「ふい〜危ないところだった」
「今のを避けるのね…さすがヒマコレXねそのへんの魔物とは訳が違うわ」
「けど殺す気もとい死ぬ気でかかってきてるなら僕もやるしかないね」
そう言ってぺるしぃも力を開放して
叢雲を取り出した
「ふぅ…」
ぺるしぃが息を吐いて
「ンッ!」
そのまま息を止めて突っ込んでいった
振り上げたぺるしぃの叢雲から竜巻が発生して
舞の方へ向かってきた
「はぁぁぁぁぁあ!!!」
鬼の力を得た舞はそれを横一線に斬って蹴散らした
が
「!?ぺるしぃは?」
「後ろだよ」
後ろを向くと刀を心臓に突き立てて
ニッコリ笑っているぺるしぃがいた
「僕の勝ちだね」
ヘタリとその場に座り込んでしまった
「あ…れ…?」
「僕としたことが、少しやりすぎたかな」
戦闘から数分後ぺるしぃはなぜそんなことをしたのか聞いてみた
「私はこの前の戦闘で何も役に立てなかったから少しでも強くなれるようになりたかったの」
「それで僕達ヒマコレXのメンバーのところへ行って実践形式の戦いを申し込んだのかぁ」
そう言うと舞はコクリと首を縦に振った
それを聞いてなるほどなぁとぺるしぃが納得した
「もちろんそれはいい事なんだけどさっきの戦闘で僕の背後を取った時の殺気は尋常じゃなかったよ?」
「え…?」
「人を殺す、相手を殺すっていう気持ちが前に出すぎてたんじゃないかな。出過ぎてて逆に位置がわかりやすかったんだ」
「なるほど…」
そしてぺるしぃは舞の目を見てこう言った
「ついでに僕さっき戦闘してる時に気がついたんだけど舞にも目の力があるみたいだね」
「え?そんなことがわかるの?」
「うん、何となくだけどね多分舞のやつは相手を金縛りにする目だと思うよ」
自分でもわからなかったことを一瞬で見切った
やはりヒマコレメンバーは格が違うと舞は確信していた
「ところでぺるしぃと戦ってたけどなんでそんなに強いのかってのがわからなかったのどうしたら強くなれるの?」
そう言われてぺるしぃは考え込むが
「んー、僕にもよくわかんないんだ」
「え?」
「ただひたすら負けたくないって言う気持ちを心に持って自分の中にいる者に信頼を置いて自分の信念を貫く。僕が戦闘中に考えてる事はそんなことだよ」
凄く普通なことだった
負けたくない
その気持ちこそがヒマコレメンバー全員に共通する
力の源なんだと思う
「純粋に力の差とか元々の能力の差じゃないの?」
「それは違うよ舞、僕達は元々先祖返りの力があったとしても弱かったからね。鍛錬を積んでそして技術を磨いて強くなったんだ」
「やっぱ場数の違いなのかなぁ…」
「僕はそうだと思うよ」
話が終わってぺるしぃが立ち上がって
「じゃあ僕はまた散歩に出るから舞も頑張ってね」
「うん、ありがとうぺるしぃ」
「あぁ、そうだ」
そう言うとぺるしぃは異空間からあるものを取り出した
ぺるしぃが取り出したのは
緑色の勾玉だった
けどそんなに大きい訳では無い
勾玉に糸が通っててブレスレットになる感じだ
「これは?」
「僕が昔使ってた自然の力を感じ取ることができるお守りみたいなのだよ」
「貰ってもいいの?」
「もちろん」
舞はすぐに手首に巻いてみた
すると
「え?」
目の前に広がったのは自然の力が光となって
蛍のように輝いている光景だった
「すご…」
「見えたみたいだね、この光一つ一つが精霊この精霊たちの力を使いこなす修行もいいんじゃないかな」
「ほんと、何から何までありがとうぺるしぃ」
「まぁ僕に出来る事はこれくらいしかないから後は舞の頑張り次第だよ」
そうねと舞が言って
ぺるしぃと別れた
次に向かったのは海だった
もちろんそこにいたのは
「師匠、折り入ってお願いが」
「ん?舞かなんだいきなり」
「私と勝負してくれませんか?」
「なんで?」
そう言われてペンは即答で疑問を飛ばした
「なんでって…わからないんですか?」
「わかんねぇから聞いてんだろ、バカかお前は」
もっともな理由だった
ペンは舞が何をしたいのか知らない
なぜ自分と戦いたいのかわからない
「私は!強くなりたいから!」
その言葉を聞いてペンはため息をついた
「いつかも言ったかもしれないが、俺はそんな簡単に強くなったわけじゃない。だからただがむしゃらに戦いを挑んでも意味が無いことがわからないのか」
「うっ…」
何も言えなかった
そうだ
戦ってばかりで強くなれるはずがない
自分に足りないものが何なのかをまず見つけなければならないのだ
「私はまだわかってなかったみたいです…」
「わかったみたいだな、じゃあほれ」
そうやってペンが渡してきたのは
「釣竿…?」
「なんだ?釣りのやり方は知らんか?」
「いやそういうわけじゃないんですけど…なぜ…?」
「お前は修行がしたいんだろ?だから」
わけがわからなかった
なぜ釣りをして修行になるのか
ただの暇つぶしなんじゃないのかと
舞はそう思っていた
「釣れない…」
舞がその場に座り始めて1時間
魚は1匹も釣れないのだ
「師匠これ竿が悪いんじゃ…」
そう思い横を見るが
ペンの籠の中には魚が入っていた
それも同じ竿で
「なんだ舞、もうギブアップか?」
「………」
「まだやれるって顔してるな」
舞の顔を見てペンはこう言った
「集中しろ、他の雑念を捨て去れ、全てをその1点に集中させるんだ」
そう言われ舞はまず釣竿から伸びる糸に集中し
魚を釣るということ以外を捨て去った
辺りが無音の空間のようになる
すると舞の竿が引き始めた
「よし!今だ!引け!」
「はい!」
思い切り振り上げた針の先には魚が引っかかっていた
「やったぁ!やりましたよ!師匠!」
「まぁ1匹釣れただけでも良しとするか、で舞俺の言いたい事はわかったか?」
「あ…」
そう今の一瞬で集中力と雑念を遮断する
その両方を身につけることが出来たのだ
「何も考えてなかったわけじゃないんですね…」
「俺が遊び感覚で釣りしてるとでも思ってたか?」
「いいえ…私は少し勘違いしてたみたいです」
そうか
そう言いペンはまた海と向き合った
「じゃあ師匠またよろしくお願いします」
「多分お前は次はしょまうときょっけのところに行くんだろうから場所は教えてやるよ」
「ここは…?」
そう言われて来たのは岩石が大量にある野原だった
「ん?舞じゃんどうしたんだ?こんなところに来て」
「あ、朱雀様こんにちは」
「しょまうでいいんだよ、堅いなぁ」
「どうしたしょまう、誰か来たのか?」
きょっけが岩石の裏からひょっこり出てきた
「しょまうときょっけはここで何をやってるの?」
「俺達はここで体術の鍛錬中だ!」
「武器にばかり頼っててもダメだから己の肉体を鍛えるというわけでだ」
2人がそう言って修行に励んでるみたいなので
舞も修行が目的が来たということを伝えると
「そうか!舞もやるか!じゃあ一緒にやろう!」
「じゃあまず体力をつける修行な!」
そう言って2人は手を出した
「ん?何をするの?」
「何って、とりあえずじゃんけんするんだよ?」
「は?」
全然何を言ってるのかわからなかった
修行をすると言ってるのに
いきなりじゃんけんをするとか言い始めた
やはりヒマコレメンバーは訳がわからない
「いくぞー!じゃーんけーん!」
「ぽん!」
そうして出したのは
しょまうときょっけがパー
舞がグーだった
「んじゃ!舞が鬼な!」
「え?鬼?なんの?」
「だから鬼ごっこするんだって!」
ほんとに訳がわからなかった
この人達は修行と言ってるのに遊ぼうとしてるのか?
「わかったわ…じゃあやりましょ…」
「んじゃ!さっさと捕まえないとスタミナ切れで死ぬからな!」
「え?」
そう言った瞬間しょまうときょっけの姿が一瞬で消えた
「み、見えなかった…」
「おいおい舞、そんなんじゃいつまで経っても捕まえられんぞ?」
後ろを向くとしょまうがそこにいた
「なっ…」
「本気、出さなくていいのか?」
そう言われて舞は
体の中から力を開放させて
鬼の力を呼び出した
「ハッハッハ!これこそホントの鬼ごっこってな!」
「後悔しないでください…よっ!」
すると2人の姿が一瞬で消えた
舞は高速で移動するしょまうを追いかけている
音速を超える速さで動いている二人の姿は普通の人には見えないだろう
「ハッハッハ!面白くなってきたじゃないか!」
舞は今なら目で追って見られるが
しょまうの足の回転数が尋常じゃないくらい回ってないのだ
こっちはかなり回転数を上げて走っているのに
しょまうは大股で歩くかのような
そんなに動いてない足で一瞬で移動してるのだ
「ぐっ…ハァ…ハァ…」
舞の方はかなり速く足を動かしているので
スタミナの消費が激しい
一方しょまうは激しく動いてないから
スタミナが温存されてるのだ
「次の突進にかける…」
そう言って舞は地面を踏み砕き
一瞬で間合いを詰めてきた
「取った!」
「残念だけど、そんな簡単には捕まらないのだよ?」
すると伸ばして届いたはずの手の先には
しょまうの姿が無かったのだ
「あうっ!」
そのまま勢いで転んでしまった
「ハーッハッハ!甘いな!舞よ!」
「今何を…」
「ん?」
「しょまうはバックステップをしてて空中に浮いてたはず…」
「俺はそのまま横に体をひねって避けただけだよ?」
とてつもない身体能力だった
「やっぱり舞は体力温存が苦手だねぇ」
「なんだしょまうもう終わったのか?」
舞が後ろを向くときょっけが立っていた
「舞のスタミナ切れで終わりだよ」
悔しかった
1度も触れることが出来ないのが
けど足腰が今ので鍛えられたという実感はあった
「じゃあ次に行ってみよう!」
そう言って次に手に持っていたのは
「バット…?」
「ん?舞は野球知らない?」
「いや知ってるけど…」
「じゃあ舞がバッターね」
と言って渡されたバットを
持つことが出来なかった
「重い…!」
「そのバット1トンあるよ?」
どんな仕組みでこんなバットが出来るのか
逆になぜこんなバットで野球をやるのか
理由は一つだがそれすらも信じがたかった
なぜか?遊んでいるからである
「んじゃプレイボール!」
しょまうがピッチャーで
きょっけがキャッチャーで始まった3人の野球
しょまうが投げたボールはそこまで速くなかった
せいぜい90km/h出てるかそれより遅いかそのへんだろう
だけど舞はバットに当てることすらできないのだ
「重くて上手く振れない…」
構えることができたが手がプルプル震えているし
いざ、振ろうと思ったら重くて早く振ることができないのだ
「舞〜当てなきゃ面白くないだろ〜」
そう言い適当に投げてくるボールに
「くっ…ふっ…」
またバットを振るが空振りで終了
これで何回目なのかわからない
「ハァ…ハァ…もう腕が上がらない…」
「むー、つまらんなぁ。じゃあ次にするか」
「じゃあこれが最後な!」
そう言って今度渡そうとしていたのは
「縄…?」
「舞はなぜそんな驚く顔をするんだ?縄跳びできないとか?」
そう縄跳び、小学生の頃にやったことがある人はあるだろう
あの縄跳びだ
「ぴょんぴょん飛ぶと楽しいんだぞこれが!」
そう言って2人は縄跳びを始めた
舞もそれに合わせて飛ぼうとしたが
「あ…れ…?」
飛べないのだ
飛ぼうとしてるのに
上に跳べないのだ
「これは…どういう…」
すると舞があるものに気がついた
舞やしょまうの足元に魔法陣があるのが見えた
それは重力操作系魔法陣「グラビティ」だった
それで身体にかかる重力を操作していたのだ
「ほらーやっぱり跳べてないじゃん」
舞が跳ぼうとしてるのに跳べないのに気がついた
しょまうがそう言ってきた
「と、跳べるわ!見てなさい!」
そう言って縄を回すが体が上に行く事は無かった
「むー、これじゃ舞にちっとも面白さが伝わらないじゃないか」
しょまうがつまらなさそうな顔をして言った
2時間びっちり遊びメニューをやった舞はヘトヘトだった
「疲れた…」
「いやぁ〜楽しかった!」
しょまうはニコニコしている
「んじゃ舞、これ殴ってみろもちろん生身でな!中の力は使うなよ!」
そう言ってしょまうが持ってきてるのを見ると
高さは30m幅は10mあるくらい
かなり大きい岩を持ってきたのだった
「こんなの壊せるわけないでしょ!」
「いいからいいから!1回殴ってみろって!」
もう1度岩と向かい合ってみるが
絶対に割れる気配がない鬼化すればワンチャンあるかもしれないが
しょまうは能力を使うなと言っているのだ
「ああ!もう!どうにでもなれぇぇええ!!!」
バゴォォォオオオオオオン!!!
舞の突き出した右手が痛みを感じる事はなかった
なぜなら
「嘘…」
突き出した右手は岩を砕きその場に崩れ落ちたのだから
「他にも感じることは無いか?」
そう他にもあった
体が軽いのだ
普通にジャンプしても家の屋根まで行けるくらい
そんなジャンプ力が身につき
さっきのしょまうと言うまでにはいかないが
走るのにも力をそこまで使わなくても良くなったのだ
けれどまだ回転数は多いしジャンプ力や
パンチの威力も他の人達に比べたら
まだまだ序の口の方だった
「また遊ぶか?」
そうしょまうときょっけが笑顔でこっちを向いていた
「うん、また遊びましょう!今度は負けないわ!」
「ほほう!上等じゃないか!次は捕まえてみな!」
「それはそうと2人はクロマのいる場所知ってる?」
「あぁ、それなら…」
きょっけに言われてやってきたのは
「暑っつい…」
火山の麓だった
「しかもここ活火山じゃない…」
ドッカンドッカンと
今でも噴火して岩石が飛んでくる
そんな中
「よっ、ほっ、はっ、ほっ」
軽快に飛んでくる岩石を受け流しては
岩石の側面を蹴りで軌道をずらして攻撃を当たらないようにしてる
「クロマも耐久だけじゃなかったのね」
「ん?なんで舞がここにいるんだ?」
「色々あってね」
ここに来るまでの経緯を話すと
クロマはなるほどといった感じで納得してた
「ところでこれは何の修行?」
「あぁ、これは敵の攻撃を受け流す修行だよ」
打たれ強いクロマだが全部の攻撃をくらうわけにはいかないので
こうして飛んでくる岩石を受け流しているらしい
「舞もここに来たならやってみるか?」
「そうね、少しやらせてもらうわ」
「んじゃちょっと待っとけ」
そう言うとクロマは地面に手を当てた
そしてグッと力を込めると火山が噴火して
そこから岩石が飛んできた
「ハァッ!」
さっき手に入れた体術で
軽快に芯を突いて破壊していった
「おーやるぅ」
「でもこれじゃ簡単過ぎるわ」
「なら俺と組手をしてみるか」
クロマは力を込めて自分の体を鋼鉄に変換した
「俺を1歩でも後ろに動かしてみ、それができたら大したもんだ」
「望むところよ!」
舞はクロマの腹に正拳突きをクリーンヒットさせる
が
「え…?」
「どうした?」
ビクともしない
後ろに下がるわけでもない
逆に自分の拳から血が出たのだ
「もう終わりか?」
「ガァッ!」
舞が体の中から鬼の力を呼び出し
クロマに再度突っ込んだ
「ガァァァァアッ!!!」
さらに強いパンチを突き出すが
「んー」
クロマにはノーダメージ
もはや動く気配すらなかった
「やめだ、俺も動かないと組手じゃないしな今思えば」
「グルゥ…」
舞はさっきと同様
クロマの腹めがけて突っ込んで行った
しかし狙いは顔に
一瞬で間合いを詰めて拳を出した
「取った!」
「甘い!」
それを紙一重でクロマが避けて
舞の勢いを使って
脇腹に蹴りを入れた
「ガハッ!」
そしてそのまま前に蹴り出された
「い、今のは…」
「そう、ここの岩石で手に入れたカウンターだ」
それも芯に入りすぐに立ち上がることができない
それくらい威力もあるカウンターだった
「簡単に言うと舞は壊す事しか考えてないんだ」
「ゴホッ…と言うと…?」
「俺は壊すと同時に避けるということを考えているんだなぜかってーと受けてばかりじゃいつか力尽きるからよ」
壊すよりも避ける
ダメージをくらわない事が戦いの中で大事な事だとクロマは言った
「まぁそのへんは鍛錬の中で見つけるといいよ」
夕暮れ時
タヌピスを残して舞はヒマコレメンバーからの
修行を受けて自信満々でいた
「来たわね…」
タヌピスが村の門をくぐってアジトの方まで歩いてきた
「ん?なんだみんなで俺を出迎えて、俺は今日誕生日でもなんでもないぞ?」
「ちげぇよタヌピス舞が修行して欲しいつって俺らのところ来たからよ、残りはお前だけらしいんだ」
「なるほど、ペンの言う通り修行したなら何を教えたんだ?」
「僕は実践形式の戦い方」
「俺は無我の境地に至る方法と集中力」
「俺達は基礎体力向上と肉体強化で」
「俺はカウンターと体の芯に攻撃を当てる方法だな」
そのメニューを聞いて
バカでかいため息を吐いた
「あのなぁ?大事なことを教えるの忘れてるんじゃねぇの?」
それを聞いて舞は目を輝かせていた
「それを教えて貰って私は強くなるのよ!」
「ふーん、なるほどそうなったか」
何かを確信したかのようにタヌピスはやれやれと
首を振っていた
「こうなったっつーかこうしたのはお前らのせいだからな?もう後悔するなよ?」
「どういう事よ」
ペンがそう言うと
タヌピスは手を出してそこにとどまるようにジェスチャーした
「じゃあ俺からのレクチャーだ、やる事はただ1つ俺と組手をするだけだ」
「わかったわ!今の私ならタヌピスに勝てるかもしれないわね!」
その言葉を聞いてタヌピスがヒマコレメンバーに
目線を出して口パクでこう言った
『絶対に手を出すなよ』
タヌピスの目を見ると殺気が放たれているのがわかった
それを見たメンバーはただ事ではないと確信した
「じゃあぺるしぃ、このコインをトスしてくれ」
「あ、うん、わかったよ」
「勝負の始めはあのコインが地面に落ちた瞬間そこからスタートだ」
「いいわ!望むところよ!」
キィン!
ぺるしぃの指からコインが飛ばされた
落ちるまで約3秒
舞は刀を取り出し構える
2
タヌピスは何も持たず目を瞑っている
1
場が静寂に包まれる
キィン!
地面にコインが落ちた音がした
「ハァッ!」
強化された体でタヌピスに突っ込む舞
その瞬間
「人魔接続」
タヌピスは力を開放して魔王の力を纏った
辺り一帯が魔の空気に包まれる
それを見て振り下ろした舞の刀が止まった
「あ…あぁ…」
「どうした?」
「くっ…うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
再度タヌピスめがけて刀を振り下ろそうとするが
手を出したら死ぬ
そんなオーラが出ているタヌピスに刀を振り下ろす事ができなかった
「なら俺から行くぞ」
そう言ってタヌピスが構えたのは
中段の拳
それも灼熱の拳を構えている
そこから繰り出される技は
「まずい!あれは閻魔の衝撃だ!」
「お前!舞を殺す気か!」
「黙れ」
出てこようとするペンときょっけを目と力だけで止まらせた
「来るなと言ったよな?こうしたのはお前らのせいだと」
ペン達はその言葉を聞いてただ止まることしかできなかった
自分達が教えていなかったとても1つ大事なこと
それを今からタヌピスが教えようとしているのだ
「あ…あぅ…あ…」
「終わりだ、閻魔の衝撃」
タヌピスが繰り出した右手は
丁度舞の顔面ギリギリで止まっている
「あ…あ…」
その場に脱力しきった舞は
その場で恐怖から目から涙が
それに恐怖の余り漏らしてしまった
「これがお前に足りなかった物だ」
「タヌピス!やり過ぎだ!」
きょっけが前に出てくる
「なら、お前はこの自信満々で自分が勝つと慢心しているやつを戦場で戦わせようとしてたのか?」
「それは…」
その場にいた者は反論できなかった
確かにそうだ
今思えば体力や技術それに精神力を鍛えただけ
大事なことを忘れていたのだ
それは
「恐怖心…」
「そうだ、自分と力が釣り合わない奴を見極めて時には逃げる、退くことが大事だという事だ」
そう言いタヌピスは舞のところに向かった
「という事だ、少し手荒で悪かったな」
「ふぐっ…えぐっ…」
「泣くなよ、まだお前には伸び代があるしその恐怖心さえ大事にすればまだまだ強くなれる」
「グスッ…」
「まぁ…なんだ、俺もやりすぎた感があるからな何かして欲しいことはあるか?」
「…ぶ…て」
「ん?」
「おんぶして…腰が抜けて立てないの…」
「あ、あぁ…そ、そうか」
「そのまま体を洗ってもらえると助かるわ…」
「なんでそこまでしなきゃいけないんだ!?」
「さっきして欲しいことはって…」
「ぐっ…」
「男に二言は…?」
「な、ない…」
夕暮れ時
まだ飯も食わないそんな夕方
タヌピスから大事なことを学んだメンバーと舞
そしてその戦場を後にした
「はぁ…ひぁっ!?タヌピス変なとこ触らないでよ!」
「いや体が動かねぇっていうから体洗ってやってんのに文句言うなよ」
「そ、そんなこと言って…あっ!ほらまた触ったでしょ!そんなに胸元ばっかり洗わなくてもいいの!」
「馬鹿野郎、そんなに胸ばっかり触ってないわちゃんと足とかお尻とかも触ってるだろうに」
「完全にセクハラよ!?それ!」
舞が腰を抜かして動けないらしいので
タヌピスが一緒に風呂に入って体を洗っているのだが
また変な方向に向かっているのである
「確かに触ってもいいとか言ったけど…手つきエロいし…」
「あ〜ハイハイ俺が悪うごさいました〜」
舞はその言葉を聞いて少しムッとしていた
自分にはまるで興味無いような感じで振舞っているからだ
なら少し誘惑してやろう、そう思った
タヌピスはシャワーで舞の体の泡を流し
役目を終えてそのまま浴場を後にしようと思ったら
後ろから抱きつかれて
背中に柔らかい感触が広がった
「ぬぁっ!?」
「ねぇ…せっかくだから…一緒にお風呂に入らない…?」
「は、はぁ?なんでそんなことになるんだよ!」
「私の体触っても特に動じなかったし…ねぇ…いいでしょ…?それとも…やっぱり私の体が好きなの…?」
何かを誘っているように
凄くエロいそんな感じで
舞が耳元で言ってきた
「ほ、ほう…なら一緒に入ってやろうじゃねぇか…」
という訳でタヌピスが後ろで舞がその上に座って一緒に入る状況になっていた
「タヌピス…」
「なんだよ」
「その…硬いのが当たってる…」
「ギクッ…」
舞は大きなため息をついて呆れていた
「やっぱり意識してたんじゃない…バカ…」
「仕方ねぇだろ!こんな状況なんだぞ!?」
両者顔を真っ赤にしてお風呂に入っている
数分の無音の時間が過ぎて
舞が話を切り出した
「あのね…さっきはありがと…」
「あん…?何がだよ」
「私が少し強くなったからってうぬぼれてたの…わからせてくれてありがと…」
「別に?朝も言った通り戦力が無くなるのが惜しいだけだっつーの」
「ふふっ、やっぱり嘘が下手ね」
タヌピスはフン!とそっぽを向く
「だけど、ほんとにありがとう。あのままだったら私死んでいたわ」
「だろうな、慢心してる奴ほど死ぬ確率が高いものなんてないからな」
「それでも、ほっとかずに指摘してくれる。貴方が好きよ…」
「へ?」
「ん?」
今何と言ったかタヌピスは一瞬頭がフリーズした
そして舞も自分が今何を口走ったかわからなかった
「今…なんとおっしゃいました…?」
「え?いや…えーっと…」
なんとも言えない無言タイムが続く
すると扉の方から足音が聞こえた
するとノータイムで扉が開いた
そこにいたのは
「えっ…?」
タオル1枚しか巻いてないアイの姿だった
「あっ…なんか忘れてると思ったら…そうだアイの事すっかり忘れてた…」
そう、朝からタヌピスが見かけなかったアイ
まさかこんな所で遭遇するとは思っていなかったのだ
2人でお風呂に入ってる姿を見て
アイは顔を真っ赤にした
しかしこれは怒りで真っ赤になってるわけではなかった
「あ、あの…失礼しました〜」
パタン、と扉が閉められた
「ちょおまて!アイ!これには少し事情が!」
「私は何も見てませんからぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」
全速力で部屋から逃げ出すアイ
その姿は一瞬で目の前から消えた
「あ、えーっと…?」
そうして後ろを振り向くと
やってしまった感満載の舞がそこにいた
「で、何でこうなった」
お風呂から上がったと思うと
何故か自分のベッドに入り込む舞がいた
「今日は何でも私の言う事聞いてくれるんでしょ?」
「た、確かにそう言ったが…何故俺と寝るんだ…?」
「今日は1人で寝るのが怖いの…お願い…」
目をうるうるさせながらタヌピスに甘えてくる舞
それにグッときてしまったタヌピスは
「よ、よかろう…」
OKを出してしまった
その言葉を聞いてよっしゃ!とガッツリポーズする舞がいた
「しっかし今日は大変だったな、すまんなあいつらの暇つぶしに付き合わせて」
「いいえ、私も修行になったし何よりも楽しかったわ」
「クロマに関しては思いっきり蹴ったらしいからなんとも言えないが…」
「それでもいい修行だったわ」
ふわぁ…と舞があくびをした
「もう今日は疲れただろ、ゆっくり休め」
「うん…お休みタヌピス…」
チュッ
タヌピスの頬に何か柔らかいものが当たった
暖かくそれでいて少し湿っている
「い、今のは…!?」
舞の方を見るがもう眠りについていた
よっぽど疲れたようだ
「俺だけ消化不良だが…まぁいいか…」
もちろんこの夜はタヌピスは眠ることができなかったという




