目的の定まらない散歩
チュンチュン…と
外の鳥が朝を知らすように鳴いている
外見は岩で出来た二階建ての家
中は木で出来ている
そんなファンタジー世界に来たような家で今まさに
「ンガァァァァァァァア…スピュルルルルルルル…」
タヌピスは爆睡している
「おーいタヌピス、アジト建てるのに徹夜したのはわかるけど起きろー」
とペンが起こしに来るが
「ンガァァァァァァァア…スピュルルルルルルル…」
チッ、とペンが舌打ちしたあと
「よっ」
とかなり小さめの水の玉を作って顔に投げ飛ばした
「ンガァァァァァァァア…ぶゎぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
と飛び上がるように起きたタヌピス
「てめぇ…今幼女と風呂入る夢見てたのに…」
「顔洗うついでだ。おら起きろ」
と言ってペンは下に降りていった
このアジトはかなりの人が住めるようになっている
なぜなら残りのヒマコレメンバーと仲間が残っているからだ
ふぁぁぁぁぁと大きな欠伸をしながらタヌピスが下に降りていった
するとトコトコと席とは違うところへ行った
「おい?どこ行く?」
「ちょっと顔洗ってくる〜」
あいつ寝ぼけてんなと思っていたがあることをペンは思い出した
「あ!タヌピス!洗面所には行くな!」
へ?とペンの注意はあと1歩のところで届かなかった
洗面所とお風呂は繋がっているのだが
タヌピスが開けた扉の先には
お風呂上がり一糸まとわぬ舞の姿があった
「ふぁぁぁぁぁ…あ…?」
「い…」
「い?」
「イヤァァァァァァァァァァァア!!!!」
「ノオオオォオオォォオォオオオ!!!!」
「ご、ごめんなさい」
と朝っぱらから土下座をかますタヌピスと
朝っぱらから真っ赤な舞だった
「あ、あんたね!ノックくらいしなさいよ!」
「いや、舞俺が忘れてたのも悪い。てかぺるしぃとマロン!お前らは食ってばっかいねぇで注意しとけよ!」
「いやぁ、ペンの魚がうまいから」
「そうですよペンさんうまいの食ったら人は喋らなくなるんですよ」
「釣った魚がうまいって言ってくれるのは嬉しいけど…注意しろよ…」
ごめんごめんと2人が言った
さて!と飯も食い終わってタヌピスが席に座りつつ言った
「アジトも完成して、村も少しは復活した。そこで今のこの村に足りないものはなにか」
「はい」
「どうぞぺるしぃ」
「食材が不足してるんだよ。水はペンが作れるけど果実やら野菜やらは僕作れないからね」
なるほど…
タヌピスがう〜んと唸っている
「目的が定まらねぇな」
は?とその場の全員が言った
「なんつーかやることが多すぎるんだよ。だから何をやっていいかわからないって話になる」
あぁ、なるほどと納得の声が上がった
「んじゃ今日はこの周辺の散歩ってことでどうよ?街も見に行きたいし」
「俺もこの近くに海か川がないか探したいな」
「僕は果実やら野菜の種がないか探さないと」
「俺はめんどくさいから行かないよ兄貴」
「じゃあ私も留守番かな。この前街を見に行ったし」
「じゃあ舞さんとマロンさんは村で何かやりましょう」
よし!とタヌピスが力強く机を叩いて立ち上がった
「なんも考えてないけど!とりあえずなんかしに行こう!」
お、おー?と各々少し微妙な返事をした
「ほぇ〜これが街かぁ〜」
タヌピスはあの後ぺるしぃとペンと別れて行動することにした
そして今街に来ている
しかし通り過ぎる人(?)なのか獣のハーフなのか
耳やら尻尾が生えてる人たちがタヌピスのことを不思議そうに見ている
当然だろう
この世界にはないであろうジャージを来ているためだった
「うーんこの格好じゃ目立つのかぁ…」
とは言っても金アジトに置いてきたから服買えないんだよなぁ…
と思ったら
「ははは!俺に勝ったら賞金50万ソル与えるぞ!」
と言ってる大きい男がいた
ソルってのはここの通過かな?
「なぁそこの人、ちょっといいか?」
はい?と近くの獣人に声をかけた
「ここで服を買うならいくらくらいソルがかかるんだ?」
「普段着なら5000ソルくらいで足りるかなぁ…装備も揃えたいなら5万ソル?」
そうか、ありがとうとタヌピスが大きい男の前まで行った
「俺に挑戦しようってのか?ひょろひょろじゃねぇか!」
「さて、そのひょろひょろをなめていいのかねぇ?」
ちゃんと賞金はくれるんだろうな?と確認し
あぁ、もちろんだと男が実物を見せてくれた
周りをみたら客がズラリと並んでいた
やれさっさと始めろやらワーワー騒いでいる
「じゃあいくぜ!」
と男がダッシュで近づいてきた
「もちろん武器はなしだからな!拳で語り合おうぜ!」
あぁ、そうか。とタヌピスは中段に拳を構えた
「おらァ!」
男が右ストレートを放ってきたがタヌピスは動かなかった
ハァァァァ…と息を吐き集中力を高めている
それが限界まで達した時に一気に放出する
「神光・一線拳!」
と中段に構えてた右手をそのまま前に突き出し
男の拳にぶつけたその瞬間
「ノァァアァァァァア!!!!」
と男に電撃が走った
「これぞタヌピス式戦闘術「属性激破」だ」
と男が感電して動けなくなった
「じゃあ俺の勝ちってことで。お金はもらってくよん」
ウオオオオオオ!!!と観客が叫び始めた
「あんたすげぇな!ここ周辺で最高の戦士だよ!」
「カッコよかったぜ!」
とタヌピス向けてお金を渡し始めた観客たち
「いいところだなここは」
とファイトマネーをもちそう言った
「いらっしゃいませ〜」
と20代くらいの人が奥から出てきた
タヌピスはさっき勝った金で服を買いに来たのだ
「シンプルめな感じで動きやすいやつを探してるんですけど」
「はいわかりました少々お待ちくださいね」
店は木で出来ていて落ち着いた雰囲気だった
木の香りがしてハンガーやらも木で出来ていた
『おい!タヌピス!俺は着るならあれがいいぜ!』
と魔王が言っていたのはスーツのようなものだった
「スーツかぁ…確かにカッコイイけど力を無くした俺が着るもんじゃねぇでしょう」
お前変身する時着れるんだからいいだろ
というタヌピスのもっともな意見でスーツの購入はなしになった
数分経って奥から店員が戻ってきた
「こちらなんてどうでしょう?」
と持ってきたのはパーカーのようなものだった
しかも大好きな色の黒
「こちらは火山に住むインフェルノタイガーの毛でできたフード付きの服です」
とそれを差し出してきた
「どれどれ…」
肌触りは悪くなく動きやすいなかなかいい服だった
「耐火性もあるのでいいんじゃないかと」
「いいですねこれ。あとズボンもあれば欲しいんですが」
「じゃあその上着とセットのやつを持ってきますね」
そして奥からインフェルノタイガーの毛でできたズボンを持って戻ってきた
サイズバッチリオールOK
「以上でよろしいですか?」
「あ、ちょっと待ってください。」
と言ってタヌピスが指さしたのは白いTシャツのようなものだった
「あれは何ですか?」
「あちらはモコモ草と言うものからできた服ですよ」
触ってみると綿に似た肌触りだった
「じゃあこれも下さい」
はい、と奥で会計を済ませたが10万ソルと言う値段になった
ファイトマネー70万から60万になった
あ、ちなみにプラスの20万は観客からです
「ふむなかなかカッコイイんじゃないかな?」
買った服を早速着て歩くタヌピス
この服なら珍しがられずに歩ける
どうも日本の服となんも変わんない気がするけど
歩きながら色々な店を見てみる
宿屋、レストラン、服屋、武器屋などなど
色んな店があった
「ん?」
とタヌピスが気になったのはカフェのようなところだった
「面白そうなところだな。落ち着いた雰囲気もあるし入ってみるか」
ドアを開けて入ると中には瓶が多く敷き詰められていた
ポーション屋かなんかだろうか
「い、いいいいいいいい、いら、いら、いら…」
とあばばばばばと慌てながら店員が話しかけてきた
髪は白でロングヘアーこの地帯特徴の獣耳もあり
高校生に近い大きさだった。色んな意味で
「お、おい、落ち着けよ…こっちまで慌てそうだよ…」
「すすすすすす、すみ、すみ、すみ…」
はぁ、やれやれとこの時間は5分くらい続いた
この店はカフェもやってるということで
一応おすすめのものを頼んでみた
話してるうちに相手の反応も穏やかなものになってきた
「もう大丈夫か?」
「は、はい。すみません慌てちゃって私人見知りで…」
そうなのかと言ううちにゴリゴリと潰して
そこにお湯を入れてコーヒーみたいなのを作った飲み物のような何かができた
「これは?」
「コヨミ豆というのを潰してお湯でドリップしたものです」
飲んでみると少し甘いようなココアを少し苦くしたような味がした
「へぇうまいもんだな」
「そうですか!ありがとうございます!」
「ここは人気あるの?」
いえ…と首を横に振った
「なんせここは目立たないところにあるこじんまりとした店ですし来る人も少ないのです」
そかそかと言いながらコヨミドリンク(今つけた)を飲む
「じゃあ俺がここの常連になろうかな?」
えぇ!?とその子はビックリしてそういった
「どうしてこんな店を!?」
「こんな店とか言うなよ…俺は結構気に入ってるぞここ」
「嘘じゃないです…よね?」
「あぁ、嘘じゃない俺を信じろ」
は、はいわかりました
とちょっと慌てつつも了承したのだった
「じゃあよろしくな、俺の名前はタヌピスだ」
「わ、私はミミ、サーチ・ミミです」
じゃあミミちゃんな
とタヌピスが言うと
うぅ…と顔を真っ赤にしてうつむいてしまった
「ところでここって何の店なの?」
「あ、えっとここは薬の店です」
薬?と聞くと
「主に自分の足りない部分を補える、ドーピングのようなものでしょうか。自分を強化する薬なのです。」
へぇ〜と関心するタヌピス
「それは魔力の底上げできる薬とかあるの?」
「あ、はいありますよ」
と言って棚から出したのは中に緑色の液体が入った小さいビンだった
「…」
どうかしましたか?とミミが聞くと
「これ飲んで大丈夫なの?」
「は、はい味は保証しませんけど…」
いくら?と聞くと
7000ソルということだったので
お試しという感じで6本買った
俺、ペン、ぺるしぃの3人で2本ずつである
「じゃあまた来るね」
と言って席を立とうとしたら
ギュッと袖を捕まれた
すると少し涙目になりつつ上目遣いで
「ちゃんとまた来てくれる…?」
ドキッとした
あまりにも可愛すぎるのだ
「あ、あぁまた来るよ」
というと掴んでた袖を離して
「うん!また来てくださいね!」
と最後は明るい笑顔で手を振ってくれた
必ずまた来ようとタヌピスは決めたのだった
ドアを開けて外へ出ると日がもう傾いていた
そうしてタヌピスの1日の目的のない散歩は
終わりを告げたのだった




