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私と店長の他愛もない話。  作者: 仮『どん』
最終章 いついつまでも他愛ない話。
39/41

#35 私と店長達の他愛もない話。

……久しぶりです。仮『どん』です。


ごめんなさい。

ここまで更新が途切れるとは……。


こんな仮『どん』の小説ですが、遂に完結しましたので残り2話をお楽しみください。

「店長日記?」


シャワー浴びてくる、と言って店の奥へと消えてしまった店長。

それなら暇つぶしにでもと久しぶりの店内を掃除していたら、キッチンの奥で妙なモノを見つけた。


『店長日記』


学校で使う物より一回りほど小さいノートの表紙に、その四文字は刻まれていた。


うーん、店長日記ねぇ。


ーーこの日記を巡り古今東西あらゆる職の店長達がバトルロワイアル!

……なんてことはないですよね、さすがに。

うん。 どーやら最近読んだマンガに影響されてしまったみたいだ。 ちゃんとしないと。


よし、今度こそ読んでみよう、店長日記。

彼の意外な一面が見れるかもしれないんだし。 まあ今更何見ても驚かないけど。


私は持っていた(ほうき)を壁に立て掛けると、その小さいノートの1ページ目を捲った。





・4月○日


新年度だし、何か始めようと思う。

日記とかどうだろうか。

返事がない。 当たり前か。

寂しいなぁ。


・4月□日


驚いた。 久々にお客さんが来た。

可愛らしい女の子だった。

中学生かな?


・5月△日


この日記の存在をすっかり忘れていた。

というのも、僕の毎日は退屈ではなくなったのだ。

彼女に感謝しなくては。


・5月20日(月)


昨日起こったことを書く。

美久が訪ねてきた。 謝らないといけないと思いつつ、なかなか話を切り出せない。

それはそうと、そのあと彩音ちゃんと居酒屋に行った。

彼女は酔い潰れた僕を店まで運んでくれたらしい。 ありがたい話だ。


・5月21日(火)


二日連続で日記を書くのは初めてかもしれない。

今日は高校生の恋愛相談を受けた。

色々あって、次の土曜日に彩音ちゃんの彼氏役になることになった。

年の差カップルというやつだろうか。


・5月24日(金)


久し振りにお墓参りに行ってきた。

漫画、読んでくれただろうか?


その後、彩音ちゃんと店でカップルになる為の特訓をした。

黒歴史だ。

思い出したくない。


・6月26日(日)


長らく放置していた。 放置はダメだ。 数少ない読者を困らせてしまう。

というかこの日記は書いていて意味があるのだろうか? 疑問だ。


今日は野生の妹が現れた。

と思ったら逃げ出した。 何なんだアイツは。

その後は彩音ちゃんと夜更かしをした。

途中、将棋やしりとりを楽しんだ。

彼女は寝てしまったのでさっき部屋へと連れて行った。 幸せそうで何より。


・7月◎日


明日から旅行だ。

そろそろ僕も過去と向き合わなくては。





日記はそこで終わっていた。

店長も店長で色々考えているようだ。

知ってたけど。


「ふーん、店長こんなの書いてたんだ」


「えっ」


「えっ?」


「えっ??」


後ろを振り向くと、風呂上がりの店長が立っていた。

持っていた荷物を派手に落とすというおまけ付きで。


「「……………………」」


気まずい沈黙。

知らない誰かにクスクスと笑われているような気がする。


「えっ、えーと、あの……」


ダメだ、なんて言ったらいいか分からない!


でも、この状況を作ったのは私なんだ。

あのノートを見つけてなかったらこんなことにはなってなかったのだ。


なんとかしないと。

店長はすごい恥ずかしそうに俯いている。

これは相当なダメージを受けてるはずだ。


「あ、あの、店長……?」


えーと、こんな時はどうしたらいいんだっけ?

と、とりあえず謝ろうか。 うん。

せーのっ!


「店長、すいま──」


──ガッシャアアン!!


私の謝罪会見は最後まで行われなかった。 何者かによる妨害が起こったのだ。


「泥棒か?!」


店長は俯いていた顔を上げると、そそくさと玄関へ逃げ出した。

まさかこのまま誤魔化すつもりなんだろうか。


にしても誰だ?

本当に泥棒だとしたら店長が心配だけど……。


『うわっ、なんでお前ら! ってか全部見てたの?!』


店長が珍しい大声を発する。

心配して損した。 やっぱりさっきのアレは泥棒なんかじゃなくて──


「やあ、彩音ちゃん久し振りだね」


「フフフ、全部見てたわよ?」


莉那ちゃんに美久さん。

後ろには慧くんと刑事(デカ)さん、居酒屋の井上さんまでこっちを見ている。

さっき笑われていた気がしたのは本当だったのか!


「まあ最終回ということだし全員集まった方が、ね?」


「井上さん、そんなこと言ったら後で消されますよ?」


「まあまあ彩音ちゃん。 そんなことより秘密の旅行で二人の距離は縮まったんですか? あんなことやこんなことは──」


「貴様はまたその話か!!」





「……騒がしいなぁ」


「まあ子供はああでなきゃね。 で、どうだったの旅行は」


「まあ、想像に任せる」


「そう。 よかったわね」


「…………」


「…………」


「ごめん」


「もういいわよ。 分かったんなら」


「……うん」




──『私と店長達の他愛もない話。』

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