表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私と店長の他愛もない話。  作者: 仮『どん』
最終章 いついつまでも他愛ない話。
37/41

#34 家に帰るまでが小旅行。

「おい莉那! 尾行はいかんだろ尾行は!」


「何を言ってるのですか? 慧くん、気になる男女のペアがあって偶然駅前で見かけたらそりゃあ尾行か発信機をつけて逃がさないようにするかどちらかしかないでしょう」


「お前もう脳内が週刊○春のスクープ記者並みになってるぞ。 いいのかそれで?」


「ふっふっふ、慧の応援が終わったとなればこの夏に残る楽しみはあの二人だけ! なんとしてでもくっ付けさせて一夜の過ちをスクープしてみせますよっ!!」


「……なんで俺こんな奴に告ったんだろう」




 ○




「帰ってきましたね!」


「……そうだね」


 予定通り、2泊3日の小旅行も今日で終わり。

 朝一番のバスに飛び込んで、となり町に着いた後、行きにも乗った電車を使っていつもの町に帰って来た。


 現在、午後3時くらい。

 駅前の時計は少し見にくいから正確には分からないけど、たぶんそれくらいだと思う。


  結局、日本史の先生(=店長父)にも気づいてもらえなかったし、妹さんにも再会出来なかったし、少し気になる店長母にも会えなかったし。

 そんなわけで、私の腹の中には少しの後悔とわざとそんなプランを立てた店長への不満が残る。


 だけど、店長は私のそんな気持ちを察してかこう言うのだった。


「旅行なんてのは、少し物足りないくらいが丁度いいんだよ」


 私が即座に「どうして?」と聞くと。


「だって満足しちゃったら次がないでしょ? 『もっと居たかったなー、遊びたかったなぁー』って思える内は、次があるから」


 そう言って夏のギラギラ太陽を溶かすような笑顔を見せるのだった。


 ……にしても、『次があるから』、ね。


 本当はどんな意味なんだい? いつもの天然ボケなのかい? と聞きたいところだが、私にそんな勇気はないし、もし天然じゃなかったら怖い。


『次』があって欲しいんだろうか、この人は。


 まあとにかく店長が天然ボケで今の私は安心なのです。

 将来は困るかもだけど……? ってなんで私の未来予想図に店長が!! 出てくんな、帰れ!


 ばさばさばさっ! と、頭上の未来予想図をデリートデリート。 前のインド料理店でもそうだったけど、最近私の描く未来予想図に店長はよくご出演される。

 なんでだろうね。 事務所の超プッシュでしょうかね。 あの女優さんを思い出しますね。 あ、また出たばさばさばさっ!



「はぁー、ぜぇっ、はぁー!」


「どうしたの? 夏風邪?」


「原因不明の病に依る処の大きい夏風邪及びに未来改変の恐れありかと……」


「ごめんね彩音ちゃん、何言ってるか分からない」


 私にも分からない。

 なんだ未来改変って。


「ふふっ」


 思わず口から出た自分のでまかせに、少し頬が緩んでしまう。

 そしてそれを店長は見逃さない。


「彩音ちゃん、本当に大丈夫? まぁ前から変な子だとは思ってたけど」


「……何か言いました?」


「いえいえ何も。 喫茶店に戻ったらレモン水作ったげるからそれまでは辛抱ね」


 ……このうざったい態度に見え隠れする謎な優しさが、なにか引っかかるんだよなぁ。



 ◇◆



「店長ってなんで私にだけ一人称が『僕』なんですか?」


 ほぼ解決済みの疑問を答え合わせするために、聞いてみた。

 そういえば莉那ちゃん曰く、自分だけへの特別扱いに女子は弱いらしい。


 ……私はどうだろう、うん、ないよね。 ないない、絶対ない。


「んー、無意識なんだけどね。 たぶん。 ていうか君はもう分かってるんじゃないの?」


 ほほぅ、流石に分かってらっしゃる。


「美久さんのお姉さんの真似、ですよね」


「8割正解、と言ったところかな。 真似って言うよりは勝手に似ちゃったんだけどね。 君があまりにも昔の僕と、それと『あの人』にも似てたから。 気づけばこの口調になってた」


「なんだ8割かー。 どこが似てるんですか? 美久さんのお姉さんってことは相当な美人ですよね。 てことは店長は私を美人だとーー」


「優しいところ、かなぁ?」


 むむ、むかつく。 わざとだろこの人。


 でも、そう話す店長がもう遠い目をすることはない。

 あの旅行先で、自分で何らかの答えを出してくれたのだから。


 それを見て、私は少しホッとした。


「じゃあ店長。 私に接する時の店長と、美久さん達に接する時の店長。 どっちが本物の店長なんですか?」


 ずっと聞きたかったこと、出来れば本人の口から聞きたかったことを、いま聞いてみる。

 もう大丈夫だろうと確信を持って。


「またまた分かってるくせに。 ……どちらも本物の僕だ」


 今回は、ちゃんと私の目を見て言ってくれる。


「フフフ、店長も成長しましたね」


「何故に上から目線なんだ君は」


 笑い合って、いつもの暗い路地へと向かう。

 あの静かだけども心地よい、例の喫茶店に帰るために。




 ○




「思ったよりあの二人、仲が進展してるようですねぇ。 会話はよく聞き取れませんでしたが、あの雰囲気を見てれば分かりますよ。 私を舐めてもらっては困ります!!」


「なんか昨日からテンションおかしくないか、お前」


「そりゃあ試合後の帰り道で唐突に告白なんかされたらテンションもおかしくなりますよ。 今はそんなことよりあの二人です。 突入しますよ? 慧!」


「……ふーん。そんなこと扱いなんだ。 まぁいいか、ってオイ! 人の店に裏口侵入は駄目だろ!!」


「レッツゴースクープ!!」


「話聞けよ!」




あれ、まだ続くの……?



ここまで読んで下さった方。

更新を待っていて下さった方。


本当にありがとうございます。

また更新遅くなってすいません。


やっぱり終わる前に皆を集めとこうと思いまして一話伸ばすことにしました。


そう、居酒屋の彼、とかも。


はい。今回はこの辺りにしておきます。

ではまたです。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ