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ブルースカイ・プロジェクト 〜元無能力者の下克上闘争〜  作者: 満月シキ
始まりの街編

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第二話「光輪のツルギ」

 作戦決行20分前。

 俺とメイガはまずレクターに作戦の概要を説明した。

 俺たちの今回のターゲットは網使いの能力者。


 最近俺が住んでる街では5歳以下の子供の失踪が相次いでいる。


 今の所把握している中で21人の子供達が行方不明になっていて、無能力者だけではなく能力者の子供までが被害に遭っている。


 それも一夜に複数人失踪しているようだ。

 俺たちはメンバー総出で調査、張り込みを開始して犯人の詳細とアジトの特定に成功した。


 どうやら犯人は複数の能力者と共犯して誘拐していることが分かった。


 その数12人。


 能力の系統もまさに誘拐に適した感じの能力者が集まった感じだった。


 そいつらにはそれぞれバラバラな所に隠れたアジトがあって、犯行直前にアジトに必ず全員待機したのち、犯行を行なっている。


 今回の作戦は、11組のバディがそれぞれ分散して、誘拐犯の1人のアジトを張り込みをする、

 30分後の同時刻に同時に奇襲を掛けて、それぞれ撃破するという作戦だ。


 仮に早く決着がついても、戦闘に苦戦しているバディがあったら応援に行ってやらないといけない。


 相手は能力者。

 どんな能力を知ってたとしても無能力者の俺たちには限界がある。


 レクターに戦闘はまだ早いから、もしもの時の応援要請を呼んでもらう役割をさせることになった。

 一応自衛用で短双剣を持たせている。


 「質問なんですが、もしピンチになった時、他のバディにはどうやって伝えるんですか?」

 「そん時は、この“クライシスバンド“を使うんだよ。」

 「あーアジトを出る時に貰ったやつですか?」

 「そそ。ここのボタンを押すと赤色に光るから、その時は私たちが他のバディに応援を要請してるって感じ。」

 「逆に他のバディが応援要請してたら他の色に光るってわけ。

 バディによって色が違うからそれで判断すればいいよ。」

 「と、いってもレクターくんは入ったばかりでバディの色とか覚えてないと思うから、私かレクターくんに光っ た色を教えてくれるだけで大丈夫だよ。」

 「はい、ありがとございます……。」


 レクターからは緊張が見える。流石に加入したばっかで作戦に参加するとなると緊張もするよな。

 時間はまだあるし、雑談でも挟むか。


 「レクターはノヴァさんの勧誘で入ったのか?」

 「はい、俺が同年代の能力者の子にいじめられてる時にリーダーが助けてくれたんですよ。」

 「やっぱそうだよなぁ。

 さすがノヴァさん!」


 革命軍の大半はノヴァさんから勧誘されている。俺もそのうちの1人だ。


 「ねね、リーダーってどんな感じでいじめっ子を倒したの?」

 「実を言うと僕は気絶しちゃってて、リーダーがどんな風に倒したかは見ていないんです。」

 「ノヴァさんのことだし、お得意のストレートパンチで全員ぶちのめしたんだろ!

 さっすがノヴァさんだ!」

 「リテルさんってすごくリーダーのこと好きなんですね。」

 「わかる!リテルってリーダーと過ごしてる時すごい楽しそうだもんね。」

 「そうか?」


 実際ノヴァさんと過ごすのは楽しい。やっぱり客観的に見てもそう見えるのか。

 

 「リテルさんはなんで革命軍に入ったんですか?」

 「え、俺は良いよ別に。」

 「えー教えてくださいよー。」

 

 別に俺の過去を語ることに抵抗はないけど、作戦前にこんな暗い話をして良いんだろうか。


 「あまり良い話じゃないけどそれでも聞く?」

 「……はい。」


 まぁレクターも過去のことを話してくれたしな。俺だけ喋らないってわけにもいかないか。


 「俺もレクターと一緒でノヴァさんに誘われたんだ。

 5歳の頃に家族が能力者犯罪に巻き込まれたんだ。

そん時に炎使いの能力者が起こした大規模な火事に巻き込まれて全員死んだ。

 唯一家にいたじいちゃんも1週間後に病気で死んだ。

 身近な人が連続で死んでさ、すごい絶望してたんだ。

 なんで俺には能力がないんだろう。

 能力があれば、家族を殺した奴に復讐できるかもしれない。

 能力があれば、じいちゃんの病気を治せたかもしれない。

 毎日絶望してた。」

 「それは……辛いですね。」

 「うん。でも、そんな絶望してた俺にノヴァさんが声をかけてくれたんだ。

 大切なものを守りたいなら俺と一緒にこいって。

 そん時に勧誘されて、革命軍に入って今ってわけ。」

 「やっぱ無能力者って無力だよね。」

 「はい、僕たちはそんな世界を生きてるんですよね。」


 こんな話をしているとこの世界のクソさを目の当たりにする。


 当たり前のことが俺たちはできない。

 俺はこのまま息苦しい世の中で生きるのは嫌だ。

 

 「だから俺は、この世界を変えたいんだ。」

 「世界を変える?」

 「ああ。いつか能力者と無能力者がお互いに仲良くなってさ。

 一緒に雑談したり、

 学校に行ったり、

 恋をしたり、

 そんな当たり前を作るのが俺の夢だ。」


 今はまだ実力も足りないけど、いつか必ず実現したい。


 「私は何回も聞いたけどさ、相変わらず無謀な夢だよ。」

 「む、無謀だと!?」

 「でも、その無謀さが良いんだよ。私も見てみたいしね。そんな夢見たいな世界。」


 俺だってみてみたい。多分それは無能力者のみんなが望んでいることだろうな。 

 何年かかるか分からないけど、必ず叶えてみせる。


 「リテルさん。」


 真剣な眼差しでレクターが俺を見つめてる。

 そんなの無理ですよ的なことを言うのか?


 「僕にも手伝わせて欲しいです!」

 

 なんだって!?今手伝わせて欲しいって言ったか?

 これまでこの話をした仲間には無理だのかっこつけだの散々言われたが、まさか協力したいと言ってくるとは。

 笑われなかったのはメイガとノヴァさん以来だな。


 「さっきリテルさんの話を聞いて思ったんです。

 僕って甘かったんだなって。


 僕は単純に居場所が欲しくて、故郷から遠いところに行きたくて革命軍に入ったんです。

 居場所さえあればいいやって。

 あとは、それなりに作戦をこなして、それなりに生ていこうとしか思っていませんでした。

 でも、リテルさんの話を聞いてると、俺もみて見たくなったんですよ。

 世界が変わる瞬間。

 世界の不要物が必要とされる瞬間を見たくなってきました。

 というかそっちの世界の方が楽しく暮らせそうですからね。」


 俺はこの笑顔を忘れないだろう。

 この先の未来に希望を持っているような顔。

 そんな顔をされたら期待に応えたくなったな。


 「手伝うって言っても今の段階じゃ、ちょこちょこ作戦こなすぐらいで本当に先のことだと思うけどいいか?」

 「はい!ずっとついていきます。」

 「でも、いずれレクターくんにもバディの相手がみつかると思うから物理的に厳しくない?

 基本的にバディで作戦をこなしていく感じだから私とリテルと一緒に行動すること自体少なくなるだろうし。」

 

 確かに今回みたいな全員参加の特殊作戦以外は基本みんな別々の作戦をこなしていかないといけない。

 レクターにバディが見つかれば俺たちと会うことができるのはアジトに用がある時ぐらいだろう。

 でも、俺自身もレクターと一緒に行動したい。


 今後も俺とメイガとレクターの3人で作戦に挑んでみたい。

 

 「俺からノヴァさんにお願いしてみるよ。」

 「本当ですか?」

 「ああ。メイガもいいか?」

 「私は大丈夫!多い方が盛り上がるしね!」

 

 メイガがいいならこの作戦が終わったら直談判してみるか。

 そのために、さっさと終わらせないとな。


 「トリオで活動するんだからチーム名決めない?」

 「いいですね!かっこいいです!」

 「まぁ、まだ活動できるかわかんないけどな。」


 やっぱり明確な目標がある人が集まると仲良くなるもんだな。

 さっきレクターと会ったばっかなのに、前から知り合ってたみたいな空気だ。


 「そういえばメイガさんはなんで革命軍に?」

 「え?私はいいよ!そんなことよりチーム名考えるんでしょ?!」

 

 メイガが赤面してる。

 バディで作戦を一緒にこなしてる時もたまに赤くなってたけど、いまいち理由がわかんないんだよな。

 理由を聞いても全然応えてくれないし。

 この際ちゃんと聞いてみるのもありか。

 いや、今までストレートに質問して誤魔化されたからな。

 ここはレクターの質問に答えさせてから、その流れで聞こう。

 

 「俺も気になるなー。」

 「えぇ……。」

 「いいじゃないですかー。僕らの仲なんですから。」

 「んんんんんんんんん。」


 わかりやすく戸惑ってるな。

 そんなに答えたくないか?

 と言うかメイガが入った理由って俺も答えられるじゃん。

 このまま話ても埒があかないし、ささっと言ってしまうか。


 「俺が誘ったんだよ。

 8年前ぐらいかな、ノヴァさんと一緒に監禁された子供の救助作戦に出た時に被害者の中にメイガがいたんだよ。」

その時について行きたいって言ってきた感じ。」

 「あれ、でもリーダーって基本ソロで動いてるんですよね。」

 「あん時は俺とノヴァさんしかいなかったから、俺と一緒に行動してたんだ。」

 「え!?ってことはリテルさんって2人目のメンバーってことですよね。」

 「まぁそうだな。ついでに言うとメイガは3人目だな。」

 「大古参じゃないですか。2人ってよっぽど強いんですね。」


 そんなストレートに言われると少し照れるな。


 「まぁ他の奴らと比べたら強い自覚はあるけどな。」

 「僕も、リテルさんとメイガさんみたいに強くならないとな。」

 「まぁレクターくんはまず戦闘経験を積まないとね。」


 それもそうだよな。トリオで活動しようにも戦えなきゃ意味がない。

 そのためにも、ただ戦うだけじゃダメだな。

 

 「じゃあ、今回レクターも戦闘に参加しよっか。

 「え、僕も参加するんですか。」

 「成長するなら結局経験が大事だからな。」

 「そ、そうですね……。

 なんだかまた緊張してきました。」

 「大丈夫だよ!何かあっても絶対リテルが守ってくれるからさ。」

 「……メイガさんってリテルさんのことすごい信頼してるんですね。」

 「え!?あーまぁ?、付き合い長いしね?」


 また、赤くなってる。まぁ理由は作戦が終わったらでいいや。

 さて、そうこうしてる間に突入まであと1分前。 

 

 「じゃあベアポーション飲むか。」

 「このポーションまずそうな色してますね。」

 「実際まずいよ。

 ステーキを7回洗って、干した味する。」

 「た、確かに?」

 「わからなかったらわからないって言いなよ?」


 このベアポーションは簡単に言うと、体にシールドを纏う感じの“アビリティアイテム“だ。

 効果時間は1時間。

 このポーションを飲んだら、負った傷を軽減する能力がある。

 効果中は腕を切られても切り落とされないし、炎で焼かれても死ぬことはない。

 だけどポーションには耐久値があって、一定の攻撃を受け続けると効果が切れてしまう。

 それに、あくまで軽減するだけであって痛みは感じる。

 どの道ダメージは少ない方がいい。


 「じゃあ戦闘用意。」

 

 俺のメイン武器である剣。

 メイガの武器、拳銃。

 そして、レクターの短双剣。

 準備は整った。


 「この作戦が終わったら、チーム名考えないとね。」

 「そうだな。2人も準備はいいか?」

 『はい!』

 

 初めてのトリオでの戦闘。

 どんな感じなのか…。

 ワクワクがずっと止まらない。


 「突入まで5……4……3……2……1……。」


 このワクワクを早く爆発させたい。


 「作戦開始!」


〈アビリティアイテム〉

能力者犯罪が増えていく中で、死亡者数が年々増え続けていた。

そんな中、とある能力者がどんな人でも使うことができるアイテムを作った。それがアビリティアイテム。

様々な種類のアイテムがあり、世界的に流行ってからは死亡率がかなり落ちた。今では生きてく中で必須な物になった。

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― 新着の感想 ―
Xからです。 「無能力者」だからこそ応援したくなる! タイトルから「能力者に立ち向かう熱い下克上ものかな?」と思って読み始めましたが、2話まででも主人公リテルの立ち位置がしっかり見えて、これからが…
能力を持たない者が虐げられる世界で、それでも「世界を変えたい」と言い切るリテルの真っ直ぐさが熱かったです! 新入りのレクターがその夢に共鳴して仲間になる流れも王道で気持ちよく、三人での初戦が楽しみに…
Xの企画から来ました。 革命という重いテーマで、これからどんな展開になるか気になります! まだまだ謎が多いキャラクターたちと世界観に引き込まれました。 特に「ステーキを7回洗って、干した味する」の表現…
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