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2-12 違法建築注意報。狂気の産物につき②

人混みを押し合いへし合い押しのけながら進んでいくと、少し開けた空間に出る。果たしてそこはブラン城らしき城の城門であり、そこを守るように人影が2つ立ちはだかるように立っている。人混みはそれを囲むようにして数メートルほど離れてじっとしていた。立っていたのは細身で長身の男が2人。


片方の男は血のように赤い帽子を目深に被り、その円形のサングラスもまた陽光を赤く反射させている。影のように黒い古風な洋装に身を包み、その上に帽子と同じく真紅のコートに袖を通していた。人の形をしているが、その威圧感は明らかに人ではない何かのそれであった。サングラスで顔こそ隠れているが、病的なほど白い肌の端正な顔立ちに薄く笑みを浮かべ、ライバー達を眺めている。――――艶のある漆黒の長髪のその間、側頭部から汗が垂れていた。彼の姿を見ているだけで、なぜだか全員の心に『痩せ我慢』の言葉が浮かび上がる。


もう片方の男は短く切り揃えられた黒髪に青白い肌。その整った彫りの深い顔立ちは理知的な印象を受ける。彼は冷淡な表情のまま、観察するような視線をライバーたちへ向けていた。その瞳の奥には獣性を感じさせる暗さがある。黒く全身に張り付いた衣服の上に濃紺色のロングコートを着込んでいる。が、よく見るとコートの下は衣服ではない。首を境にして黒くなっている部分は地肌であり、その下では何かがうごめいているようにも見える。キレー牧師がその両手に挟み込むようにして剣を構える。


「このフリークスの気配……よもやこのようなダンジョンで吸血鬼と相対することになるとは思いもしなかったな。なるほど、久方ぶりの本業というわけだ。ならばあえて言わせてもらおう――ここは任せて先に行くといい」


「ねえいいのぉ!? 本当に任せちゃっていいのぉ!? あっちの赤い服の方の人とか俺のガワにものすごく因縁がありそうなんですけど!?」


ヴァン兄貴の言葉を聞いてか、赤い装束に身を包んだ吸血鬼が、狂気的にすら思えるほどの笑みを浮かべて答えた。


「気にせず行くがいい、ヒューマンよ。見たところ君達のスジはいい、覚悟も悪くない。だがやはりまだ青すぎるな。ここでもぎ取るには惜しい。フフフ陳腐な台詞だがそうだな、今日のところは見逃してやるとしよう、先へと進むといい」


「だ、そうだ。ここは素直に彼の言葉に甘えるべきだと思うがね?」


「似た声で喋るんじゃねぇよてめぇら! 誰が何を言ってるのかわかんなくなる! 配信画面に映さねぇとややこしくなって視聴者のみんなが混乱するだろうが!」


赤い装束の吸血鬼とキレー牧師の会話にヴァン兄貴が手元のアイドルタンマツを2人に見せつけながらツッコミを入れる。濃紺色のコートの方の吸血鬼がヴァン兄貴のタンマツの画面を覗き込むように見つめていた。


「……配信、とはな。今の世の探索者はなるほどおかしなやり方をする」


「てめぇも同じような声かよ! マジでわからなくなるぞやめろや!」


「言っている場合かヴァン兄貴! とにかくこっちを襲わない内に先へ進むぞ!」


ジョンが引きずるようにヴァン兄貴を連行し、機動戦士月神部屋の4人はブラン城の中にあるであろう、東京ビッグサイトの入口を目指して入っていった。対峙するキレー牧師と吸血鬼達。全員がニヤリと笑みを浮かべ、同時に敵を倒すべく躍りかかる。辺りに激しい戦いの音が鳴り響いた。

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