1-3 ダンジョンライバーに、なりにいこう。③
大学のラウンジ。夏休み故に人気がないそこのテーブルで、藤倉が頭を捻りながらタンマツの設定を続けていた。門楠はその後ろに立ち、上から画面を覗き込みながら藤倉へと指示を出す。二人がやりとりを続けながら設定を変更し、ようやく納得できるものができたのか藤倉は一つ大きく息を吐いた。
「ふーっ、疲れたぁ……やっと設定が完成したよ、もう」
その様子を見て、門楠は軽く藤倉の背中を叩き、彼をねぎらう。
「おつかれさん。僕達の中でも一番凝ったことをしようとしてるんだ、ちゃんと思うような物ができてよかった。おかげで僕も色々タンマツのことについて知ることができた」
二人の作業が終わったことを確認し、そばで自分のタンマツの動作確認をしていた青本と桐谷がそばへとやってくる。青本は買ってきたばかりらしい、紙コップに入った人数分のコーヒーをテーブルに置き、自分の分に口を付けた。
「これで全員分のタンマツ準備が終わったな。ここで一つ提案があるんだが、1度互いのタンマツや配信での設定を共有しておきたい。それぞれができることを把握していたほうが探索もスムーズに進むだろうし、何より配信中に本名を呼び合うような間抜けなことにならないよう、ライバーとしての設定も確認しておきたい」
それを聞くと、桐谷は嬉々とした様子で自分のタンマツを取り出してステータス画面を表示する。
「いいねいいね、私もみんながどんなキャラクター設定で配信をするのか気になってたんだ!やろう、やろう」
「じゃあ、僕から行くぞ。桐谷とかを最初にしたらやたらと長くなりそうだからな。アイドルタンマツらしく、配信特化型に組み上げてある。戦闘中かどうかは問わずに僕達の様子は余さず配信に乗せることができるはずだ。その代わり戦闘能力は皆無に等しいからな、敵と切った張ったするのは任せるぞ、本当に戦力にならないからな!」
「門楠の今の話に便乗するようだが、オレのスカウトタンマツも直接戦闘能力にはかなり乏しい。その代わり情報収集能力やエネミーへの妨害性能を高めている。戦闘そのものではちょっとした干渉しかできないが、事前に敵の動きを予測して初手から戦闘を有利に進めることに関しては任せてくれ」
「門楠のアイドルタンマツと青本のスカウトタンマツはそもそも戦闘力を上げ辛いから仕方ない。その点私のウィザードタンマツはある程度の戦闘力は保証されているから敵との戦いでも十分迎撃ができるだろう。まあ、実のところかなりサポートとリソース回復回復寄りに性能をチューニングしたから、基本的にはザコ散らしが役割になるだろうけどね」
「ちょ、ちょっちょっ、ちょっと待ってよ! つまり三人共直接戦闘能力はあまりないセッティングしてるってこと!?」
「そりゃあ、君が戦闘特化のアサルトタンマツを使ってるからね。だから私達も、それとそれを使う君のことをアテにしてタンマツの構成を組んだのさ。何より、あれだけ凝ったアイデアを出したんだ、見せ場は君に譲りたくなるだろう? だから遠慮なく全部かっさらって行くといい!」
「……わかった、じゃあ遠慮なく! まず桐谷が言う通り、俺のアサルトタンマツは根本的に戦闘特化型。とりあえず構成は攻撃防御両方に強く出られるようにしてあるから、大抵の相手はイチコロにできるし、そうそう簡単にやられることもないと思う。ただ、タンマツのエネルギー消費自体は激しいから、そこのフォローはお願いするね。みんなのタンマツって、そういうのができるように設定してあると思うし」
「そのための役割分担だからな。頼りにしてるぞ、藤倉」




